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アメリカのマクドナルドで座席に体を横たえて寝ていた男性の写真が最近、ソーシャルメディアで急速に拡散された。ただ、おそらく最初に意図された目的とは違う意味をもつようになっていた。
この写真は、ジョージア州ファイエット郡のマクドナルドで撮影された。
当初、「これだから(中略)ファイエットヴィルから引っ越したくなる」との説明とともに、フェイスブックに地元の話題として投稿された。
投稿した女性は、「街の中心部のマクドナルドにいたら、座席で寝ているこの男を見た。座席で寝ている人がいると従業員に言いに行くと、彼女の反応は『ええ、知ってます、ははは、いいんです』だった。私は『よくなんかないけど、まあ知らない』と言った」と書き、怒りを表す絵文字で文章を締めくくった。
ところが、男性はホームレスで、実はこのマクドナルドで1日2シフトを働いていて、シフトとシフトの間に休息を取っていたことが判明。すると地元ファイエットヴィルで、男性をあざけるのではなく、支援しようという声が高まった。
地元テレビWSB-TVの記者マット・ジョンソン氏が、男性はサイモン・チャイルズ氏(21)だと突き止めた。チャイルズ氏は、母親が最近亡くなり、生活苦に陥ったと説明した。
さらに、幼い息子の子育て中で、家族を養うのに苦労していると話した。
チャイルズ氏はWSB-TVに、「自分の写真が出ているのはちょっと傷ついた」と述べた。
「悪く書かれて、誰も気にしていないんじゃないかと思っていた」
しかし、チャイルズ氏の窮状が報じられると、息子におむつや服を贈る人が現れるなど、地域で温かい反応が起きた。
「この地域でそんなことをしようと気遣う人はいないと思っていたけど、そうじゃなかった」
近所のレストランの調理師2人は、チャイルズ氏に車を貸すと呼びかけた。地元の理髪師は、仕事探しの面接のためとして、無料でチャイルズ氏の散髪を申し出た。
WSBのジョンソン氏は26日、散髪後のチャイルズ氏の写真をツイッターに投稿。「昨夜、私たちのニュースが放送されてから、サイモンは地元の理髪店で無料で髪を切ってもらった。新しい仕事のチャンスにも恵まれていると、彼は言った」とツイートした。
チャイルズ氏はWSB-TVに、フェイスブックに自分の写真が出たおかげで、仕事のオファーがいくつかあったと話した。また、自分と息子が安定した住まいを見つけられることがとてもうれしいと述べた。
一方、チャイルズ氏に恥ずかしい思いをさせようと、同氏の写真を最初にフェイスブックに投稿した女性に対しては、ソーシャルメディアで批判が巻き起こった。
ある人は「誰かに恥をかかせるのはかっこよくない」と投稿。チャイルズ氏を批判しようとした彼女の狙いについて、「裏目に出た」と評した人もいた。
この女性はWSB-TVの取材に対し、撮影には応じなかったが、チャイルズ氏に恥をかかせる意図はなかったと述べた。
困難に直面しているチャイルズ氏に、思いやりを表明する投稿もあった。
あるツイートは、「母親を亡くし、それでも残りの人生を生きていかなければならないのはどんな感じか知っている」とし、「すでに弱っている人を傷つけるのはだめだ」とつづった。
チャイルズ氏が経験したのは、「見知らぬ人への辱め(stranger-shaming)」の一例だ。自分が不快と思う行為などを写真や動画で撮り、ソーシャルメディアにアップする。
電車など公共交通機関で脚を広げて座る男性、図書館で眠る学生、赤いズボンをはいた男性、居眠りしている通勤者などが、これまで物笑いの種となっている。
多くの場合、写真は特定の行為を批判する目的でつくられた私的グループで共有される。
例えばフェイスブックには、飛行機内で不適切な行動をとる乗客の情報ばかり集めたページが存在し、51万人以上が「いいね」をクリックしている。