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時代を見通す日本の基礎情報

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中国・王外相「尖閣領有権を一方的に主張」する大暴言の背景に日中の“軍事費格差

中国の王毅国務委員兼外相による、沖縄県・尖閣諸島に関する大暴言に、日本はやっと反撃を開始した。相手を出し抜く共産主義国家の狡猾な外交感覚に加え、外交力の背景となる経済力や軍事力でも日本は隣国の後塵(こうじん)を拝している。菅義偉政権は現在、新型コロナウイルス対策や規制改革に邁進(まいしん)しているが、並行して経済力や防衛力の整備、日米同盟の強化に乗り出さなければ、南シナ海の国々のように領土・領海を強奪されかねない。

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 「(尖閣諸島は)歴史的にも国際法上も疑いのない、わが国の固有の領土で、有効に支配している。尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は、そもそも存在しない」

 茂木敏充外相は27日の参院本会議で、王氏との日中外相会談(24日)で、こう伝えたことを明らかにした。中国海警局の武装公船による領海侵入や接続水域での航行、日本漁船への接近事案なども取り上げ、王氏にこうした行動をやめるよう申し入れたことも披露した。

 そのうえで、王氏が会談後の共同記者発表で、尖閣諸島の領有権を一方的に主張したことについて、「中国独自の立場に基づくもので、まったく受け入れられない」と批判した。

 王氏の大暴言をめぐっては、覇権主義的で傲慢不遜な言動への怒りだけでなく、識者やSNS上で、「茂木氏がすぐに反論すべきだった」「日本外交がナメられた」「衆参予算委員会の集中審議(25日)で、与野党議員が1人も取り上げないのは平和ボケだ」という批判が噴出している。

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評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「情けない話だが、『その場で中国側の発言を否定していない』という客観的事実が世界に発信された。中国がこうした態度を取ることの背景には、経済的・軍事的に大きく成長したという部分がある」と分析した。

 IMF(国際通貨基金)によると、中国の名目GDP(国内総生産)は2019年時点で約14兆1400億ドル(約1471兆7053億円)と、米国に次いで世界第2位だ。日本は世界第3位だが、552・5兆円と半分にも満たない。

 軍事・防衛費に目を向ければ、防衛省が9月末、過去最大となる総額5兆4898億円の21年度予算の概算要求を決定した。前年度当初予算比では3・3%増で、新領域「宇宙・サイバー・電磁波」に重点を置いたが、中国の軍事費は約1兆2680億元(約20兆585億円)と遠く及ばない。予算だけでなく、マンパワーや海上、航空戦力でも明らかに劣る=別表参照

 ■バイデン氏、対中軟化の危険性

 尖閣諸島周辺では、中国海警局の公船の大型化が進んでおり、軍艦並みの機関砲を搭載した1万2000トン級の巡視船も確認されている。以前は天候が荒れれば、一時的に姿を消していた中国公船だが、大型化が進むことで退去しなくなり、結果として年間での接続水域への侵入は過去最多を更新している。

米大統領選で、民主党のジョー・バイデン前副大統領の当選確実が報じられたことが、日中関係を含めた世界の均衡に影響する懸念もある。

 ニューヨーク・ポストは10月中旬、バイデン氏の次男が中国などの外国企業から多額の報酬を得ていた疑惑を報じた。バイデン氏はオバマ前政権の副大統領時代、オバマ大統領とともに、中国を巨大市場とみて甘やかしてきた。これまでドナルド・トランプ大統領が取り組んできた「対中強硬姿勢」が軟化する危険性がある。

 第2のチベットやウイグル、香港のようにならないため、日本は経済力・防衛力を整備強化すべきだが、さらにどうすべきか。

 前出の潮氏は「世界最大の軍事力を持ち、(自由・民主主義といった共通する価値観を持つ)米国との同盟関係を強化しなければならない。菅首相とバイデン氏の電話会談が行われ、『尖閣諸島への日米安保条約第5条適用が確認された』というが、政権移行チームのホームページには、そうした言及はない。日米の考えにギャップがある可能性があり、認識の違いをなくす努力を続けなければならない。また、当然ではあるが、茂木氏が共同記者発表で、王氏の暴言を黙認したように報じられたことはあり得ない。二度とこのようなことがあってはならない」と語っている。




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