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「(北朝鮮の)金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、われわれの署名した契約(=共同文書)、さらに重要である、われわれが交わした握手を尊重すると信じている。その一方で、中国は貿易に関するわれわれ(米国)の態度を理由に、合意に悪い圧力をかけている可能性がある。そうではないことを望んでいる!」
ドナルド・トランプ米大統領は9日、自身のツイッターにこう投稿した。北朝鮮の非核化をめぐり、正恩氏を評価しながら、中国に対する不信感をにじませていた。
米中両国は6日、「貿易戦争」に突入した。年間500億ドル(約5兆5000億円)相当の製品を対象にした制裁措置(追加関税)のうち、340億ドル(約3兆7400億円)分について、先行実施したのだ。
世界経済の最大リスクとなった「米中貿易戦争」について、トランプ米政権の暴走を指摘する向きもあるが、それだけではない
台湾国防部(国防省に相当)は7日、米海軍のイージス駆逐艦「マスティン」と「ベンフォールド」が同日、台湾海峡に進入し、東北方向に向かったと発表した。台湾への軍事的圧力を強める中国への牽制(けんせい)といっていい行動だ。
中国の触手は尖閣にも及んでいる。そのゆがんだ野望を感じさせる組織改編が1日、行われた。
尖閣周辺の接続水域や領海への侵入を繰り返してきた中国海警局(海警)が、中国共産党の最高軍事指導機関・中央軍事委員会指揮下の人民武装警察部隊(武警)に編入されたのだ。軍事組織に位置づけられた海警は4日、編入後初めて、公船3隻を尖閣周辺の日本領海に侵入させた。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「これまでは、警察の『警』という文字を使って、『これは軍隊ではない』という隠れみのを付けていたが、(尖閣強奪への)本音をさらし出したのだろう。そもそも、中国海軍の船を改装して、海警局の船として利用しているという指摘もあった」と語る。
組織改編直前、看過できない動きがあった。
潮氏は「中国は、有事とは言いにくい『グレーゾーン事態』を狙って、揺さぶりをかけてくる可能性がある。例えば、尖閣諸島に中国人を漂着・上陸させて、『わが人民を保護する』と主張して、五星紅旗(中国国旗)を掲げた病院船を尖閣諸島に横付けさせるつもりではないか。病院船は有事の際、攻撃を受けず、国際法上保護される」と語る。
習政権が「戦争」も意識しているとみる意見もある。
評論家の石平氏は「病院船を出してきたのは、この海域で戦争が起きて死傷者が大量に出ることを想定した動きだろう。海警が軍の所属になったことも、尖閣周辺での日本との対峙について、中国が軍事レベルに引き上げたことを意味する。習政権は尖閣戦争を強く意識しているのではないか」と指摘する。
米中貿易戦争が激化するとの見方から、すでに人民元の急落傾向がみられている。
石平氏は「中国にとって、米国は最大の輸出相手国であり、米中貿易戦争の激化は中国経済に甚大なダメージを与える。すでに、中国国内では、退役軍人やトラック運転手の抗議デモなど不穏な動きが起きている。内憂外患のなか、習政権は突破口として尖閣有事を仕掛ける可能性がある。尖閣周辺での一連の動きは、米中貿易戦争とは無関係ではないだろう」と語っている。