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「韓日関係が『最悪』という主張には同意しない」--韓国大統領府の高官は、6月7日に行われた記者懇談会でそう語った。
文在寅政権発足以降、日韓慰安婦合意の事実上の破棄や、1965年の日韓請求権協定を覆す内容の徴用工判決などが相次いだことで、日本と韓国の関係は「戦後最悪」とまで言われている。
冒頭の発言はそうした見方を否定するものだが、大統領府の「現実離れ」した認識に、韓国のマスコミや世論も驚きを禁じ得ないようだ。
韓国経済新聞は社説で〈日本で今月末に開催される「G20会議」を控えた状況で不適切であり、事実でもない発言〉〈最悪でなければその根拠をまず提示するのが、心配する国民に対する道理〉などと書いた。(6月10日付「中央日報」日本語版)
『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)の著書がある韓国人作家の崔碩栄氏は、次のように語る。
「文政権の“かけ離れた現実認識”は韓国で批判されることの一つです。6月10日に発表された韓国日報と読売新聞による共同世論調査では、両国民の8割が『日韓関係が悪い』と評価しています。
つまり、一般国民の感覚と文政権の感覚には相当な距離があるということ。鈍いからか、現実を認めたくないかのどちらかでしょうが、どちらも政権としては致命的な問題です」
文政権の“現実離れ”は、経済面でも同じだという。崔氏が続ける。
「文大統領は今年5月9日、テレビ対談で『巨視的に見れば、経済は成功』と発言して国民を驚かせました。なぜなら、国民はそう思っていないからです。
大統領に好意的なマスコミも、経済状況については厳しい評価をしているのが現実です。この対談の1週間前に発表された世論調査では、国民が最も低く評価しているのが経済政策でした。62%が文大統領の経済政策を否定的に評価しています」
経済や外交という、国民生活と国家の将来を左右する政策分野で、政権と国民の認識の乖離が際立っている。
「そのような『現実感覚』で日韓関係の危機をきちんと把握できるか、日本国内の空気を読みとることができるかは疑問です」(崔氏)
日韓関係改善への道のりはまだまだ遠そうだ。