対韓国宣伝サイトの「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は28日、韓国の文在寅大統領を激しく罵倒する論評を掲載した。
訪韓したトランプ米大統領と金正恩党委員長が非武装地帯(DMZ)で対面する可能性が示唆される中でのことだ。韓国は日米との間で不協和音を抱えているが、北朝鮮までが「韓国はずし」に走る実態がまたもや鮮明になった形だ。
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文在寅氏は24日、朝鮮戦争に参戦した韓国軍と国連軍の元兵士ら功労者182人を青瓦台(大統領府)に招いて昼食会を開催。あいさつで「1953年7月27日に戦争の砲煙は消えたが、まだ完全な終戦はなされていない」とし、「悲痛な歴史だが、北の侵略に打ち勝ったことで韓国のアイデンティティーが守られた」として、功労者らを称えた。
これに対して同サイトは、韓国が北朝鮮との対話を主張しながらも、「南朝鮮の執権者までもが前面に出て『北の侵略』と『韓米同盟』をうんぬんし、米国と共に朝鮮戦争を挑発した者たちの罪を否定し、戦争を扇動する動きを見せるというのは実に驚くべきこと」と主張。
さらには「まともな思考と精神がまひした者の奇怪な醜態と言わざるを得ない」などと言葉をきわめて文在寅氏を非難し、「現在の南朝鮮執権勢力もやはり、保守「政権」の轍を踏み、同族対決と外勢依存の軌道をなぞっているということを見せつけている」と断じた。
北朝鮮は27日にも外務省局長の談話を通じ、「(朝米対話の)仲介など必要ない」として韓国を突き放している。
こうした北朝鮮の言動について、メディアには「トランプ米大統領が29~30日に訪韓するのを前に米韓の連携をけん制する狙いがありそうだ」との論調がある。確かにそのとおりだろうが、それだけではないような気もする。米韓をけん制することだけが目的なら、必ずしも文在寅氏個人を攻撃する必要はないからだ。
いずれにせよ、このような「口撃」がいつまでも続けば、韓国の世論とて穏やかではいられまい。
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今後、南北関係は難しさを増すだろう。すでに本欄でも指摘したことだが、韓国では政府系シンクタンク・統一研究院が毎年発行してきた『北朝鮮人権白書』の2019年版の公開が遅れていることが問題視されている。国民への残忍な人権侵害を非難されることを何より嫌う、金正恩党委員長への「忖度」であることは明らかだ。
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だが、このところ内政で失点続きの文在寅政権である。北朝鮮からここまでけちょんけちょんに言われながら、いつまでも「忖度」を続けるのは難しいだろう。
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そして言うまでもなく、公開したら公開したで、北朝鮮からの「口撃」も激しさを増す。文在寅政権はこの難局を、どのようにして乗り切るのだろうか。