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THAADの韓国配備は北朝鮮の脅威を理由としたものだったが、同システムのレーダーは最大探知範囲が1000キロに及ぶことから、自国内の弾道ミサイルを無力化されることを懸念した中国が強く反発。褒賞観光団の渡韓や韓流アーティスト・作品の自国内での上演を制限するとともに、中国に進出した韓国企業にも様々な圧力を加えた。韓国側が被った損失は、莫大な規模になる。
こうした事態を受け、韓国政府は2017年10月31日、中国との間で「THAAD追加配備、米ミサイル防衛システム(MD)への参加、韓米日軍事協力の3つをしない」ことで合意し、事態の鎮静化を図った。それから1年以上が経ち、ようやく褒賞観光団が戻ってきたというわけだ。
しかし、それもいつまで続くかわからない。
26日、国連総会が行われているニューヨークで韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会った中国の王毅外相は、「我々がTHAAD問題を重視していることを知っているではないか」と述べたという。中国の要求はあくまでTHAADの撤収だということだ。
中国の習近平国家主席
も今年6月に大阪で行われた韓中首脳会談で、THAAD問題について「解決策が検討されるよう望む」とクギをさしている。
これだけでも頭の痛い韓国だが、「国難」の本番はこれからだ。ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約の消滅を受けて、米国が新たな中距離ミサイルの開発と配備に前のめりになっているのは周知のとおりだ。その標的は中国とロシアであり、配備候補地には当然、韓国も入っていると考えるべきだ。
そして、中国は米国の中距離ミサイルが日本やオーストラリア、そして韓国に配備された場合、強力な対抗措置をとることを予告している。本来、韓国は自国の国益を守るため、米国からの配備要求をのらりくらりとかわすべきなのだろうが、日本との軍事情報包括保護協定破棄で米韓同盟の信頼は揺らいでおり、その余地は狭まっている。
文在寅政権は自らの判断ミスで、米中の板挟みに陥ってしまったのだ