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《GSOMIA破棄の後遺症、これ以上の状況悪化は防がなくては》
中央日報(日本語版)は8月28日、こんな見出しの社説を掲載した。
GSOMIAは、日米韓の安全保障の基盤であり、韓国による破棄について、同紙は「アチソン・ライン」というキーワードを記して、「在韓米軍撤収を含む、北東アジア安保戦略の大幅な修正を米国が検討しないという保証はない」と懸念を示した。
アチソン・ラインとは、1950年に当時のディーン・アチソン米国務長官が「共産主義を封じ込めるため」に考案した防衛線だ。宗谷海峡から日本海を経て、対馬海峡、台湾東部、フィリピンへと抜ける海上に設定した。朝鮮半島は当初、ラインの外側にあった。
朝鮮戦争を経て、防衛ラインは対馬海峡ではなく、朝鮮半島の中央(38度線)に敷かれた。自由主義国・韓国は米国の防衛対象国となってきた。
だが、GSOMIA破棄決定で、東アジア情勢は激変しそうだ
文氏が「光復節」(8月15日)の演説で「平和経済を構築し、南北統一によって独立を完成する」と語ったように、統一朝鮮ができれば米国の防衛ラインは後退し、対馬海峡まで南下する可能性が高いのだ。
日本は直接、「赤化朝鮮」と対峙(たいじ)しなければならない。自国の外交・安全保障政策を根本から見直す必要が出てくる。
東京国際大学教授で、日本防衛学会の村井友秀会長は「朝鮮半島は、その歴史のほとんどで中国の支配下にあり、密接不離の関係だった。在韓米軍は、このまま韓国の『反日』政権が続けば5~10年で撤退するだろう。文氏の世界観では、(中華思想の)『中華』『小中華』『異民族』の順番で世の中を見ている。むしろ、赤化朝鮮は中国の勢力下の『小中華』になるのを誇らしく思うだろう」と分析する。
中国の影響下に赤化朝鮮ができれば、日清戦争(1894年)以前の混沌(こんとん)とした東アジアが再現する。
村井氏は「日本にとっては、『信頼できない味方』(=韓国)がいなくなり、今ほど隣国を気にしなくて済む。ただ、赤化朝鮮や、習近平国家首席が率いる共産党独裁国家の中国とにらみ合ううえで、日米同盟を深化して発言力を大きくし、抑止力を強化すべきだ」と語った。
日本の海上自衛隊は、最新鋭ステルス戦闘機「F35B」の運用が予定されるヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型や、世界最大級のイージス護衛艦「あたご」型などを保有し、世界屈指の海軍力を持つとされる。今後、具体的な防衛策を、どう構築すべきか。村井氏は続けた。
射程1000~5000キロの中距離弾道ミサイルも配備するほか、水中の無人探査機にAI(人工知能)を組み込み、日本海沿岸をパトロールさせ、小型無人機のドローンも大量に配備する。戦闘機や戦車の無人化も急ぐべきだ。日本海側に針むしろのように配備し、守りを固めるべきだ」
北朝鮮の「核・ミサイル」が温存されたまま統一朝鮮ができれば、日本の安全保障にとって深刻な脅威になる。
防衛大の武田康裕教授(国際関係論)は、日本が自前でミサイル防衛を果たすのには、現状より防衛費の10%程度の上乗せが必要との試算を出し、近著『日米同盟のコスト』(亜紀書房)にまとめた。
具体的には、新たな「早期警戒衛星の整備」に850億円、「敵基地攻撃能力の取得」に860億円。また、高高度防衛ミサイル(THAAD)などを配備し、迎撃するのに1660億円。ミサイルの被害を最小化する「国民保護の充実」に2300億円で、計約5700億円が新たに必要だという。2019年度の防衛費(約5兆2500億円)の約10%強だ。
武田氏は「地殻変動を見せる半島に、いまのうちからしっかり目を向け、備えを急ぐべきだ」といい、続けた。
「日本は、長崎県・五島列島→同・対馬→島根県・隠岐諸島→新潟県・佐渡島→北海道へと伸びる新たな防衛ラインに沿って、個別に防衛施設の強化に乗り出すべきだ。新たに配置する隊員らの確保や、防衛予算の上積みに国民の理解を得るのは容易ではないだろう。それでも、『今、そこにある危機』に対処してこその、安全保障なのだ」