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米国との貿易摩擦が長期化する中、習指導部は巨額投資と巨大市場の開放をテコにEUとの関係強化を図っているが、期待したほど一帯一路への支持は拡大できていないのが現状だ。
中国共産党は27日、収賄容疑で調査していた国際刑事警察機構(ICPO、本部・仏リヨン)前総裁の孟宏偉前公安省次官を党籍剥奪処分にしたと発表した。同事件をめぐってはフランスにとどまる孟氏の妻がマクロン仏大統領に、中仏首脳会談で待遇改善を提起するよう求める書簡を送付。訪仏後まで処分の発表を遅らせたのは、事件に注目が集まるのを避ける狙いがあったようだ。
中国外務省は習氏が外遊に出発した21日、EUの駐中国大使らに新疆ウイグル自治区へのツアーを提案した。100万人以上のウイグル族らを強制収容しているとの批判に反論するのが狙いとみられるが、EU側は「準備が必要」だとして拒否した。中国側の政治的主張に利用される懸念があったとみられる。
イタリアのマッタレッラ大統領は習氏との会談で「人権擁護の重要性」について言及。マクロン氏も人権問題について習氏に提起したもようだ。
一帯一路への参加を推進したイタリア経済発展省のジェラーチ次官は26日、中国海南省で香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの取材に、イタリアに続いて欧州の少なくとも2カ国が覚書を交わす予定だと明かした上で「実際のところ、すべての欧州諸国が一帯一路への参加を望んでいる」と言い切った。
ただEUの屋台骨である独仏は中国への警戒感を解いていない。一帯一路の事業は債務超過に陥る発展途上国が相次ぎ、その投資効果に懐疑的な見方も強まっている。「普遍的価値観や安全保障に基づいた米欧関係とは異なり、中欧関係は中国による投資の明確な効果が短期間で表れなければ容易に後退する」(同紙)との指摘もある。