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韓国は1日、建軍71周年の「国軍の日」を迎えた。同国南部の大邱(テグ)空軍基地で記念式典が開かれたが、何と、在韓米軍司令官が欠席した。同盟国・米国の警告を無視して、日米韓の安全保障上の基盤である日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定する一方、「核・ミサイル」を手放さない北朝鮮との統一に盲進する文在寅(ムン・ジェイン)政権の「反日・離米・従北・親中」姿勢への、ドナルド・トランプ政権の怒りを反映したものといえそうだ。「米韓同盟の危機」が、また明確となった。
◇
国軍の日は、朝鮮戦争で当初劣勢だった国連軍が1950年9月に仁川(インチョン)上陸作戦を成功させ、韓国軍が翌月1日、38度線を突破して北朝鮮に反撃を開始したのを記念して、《韓国軍の威容を国内外に示し、国軍将兵の士気を高めるため》に制定された。
新大統領が代わる5年ごとに軍事パレードが行われてきたが、70周年だった昨年はパレードが見送られた。「南北融和」「北朝鮮との平和統一」を掲げる文政権の「従北」ぶりが指摘された。
今年は「強い国軍」をテーマに、大邱空軍基地で記念式典が開かれ、初のステルス戦闘機「F-35A」が一般公開されるが、気になるニュースが入ってきた。
中央日報(日本語版)は9月30日、在韓米軍のロバート・エイブラムス司令官の式典不参加を報じたのだ。同司令官は昨年11月に就任し、国連軍司令官も兼務している。
同紙は、不参加の理由を「ワシントンでの米軍制服組トップの統合参謀本部議長の交代式に参加するため」と伝えたが、それだけなのか。
実は、エイブラムス氏は以前から、文政権の「反日・離米・従北・親中」姿勢に、複雑な思いを抱いていたようだ。
司令官に就任直前の陸軍大将時代、米上院軍事委員会で「(文政権下の対北融和政策などで)米韓合同軍事演習が中止され、在韓米軍の即応能力は低下したが、在韓米軍は性急に撤収させるべきではない」と発言していた。
だが、文政権の「従北・親中」姿勢は変わらなかった。
韓国は8月22日、GSOMIAの破棄を一方的に決定した。米国にとって、対北・対中戦略上、不可欠な軍事情報上のネットワークであるため、マイク・ポンペオ国務長官は「懸念と失望」を表明。ランドール・シュライバー国防次官補は「米国の安全保障の利益に悪影響を及ぼす」「再考を望む」と、文政権に伝えた。
ところが、韓国外務省の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官は同月28日、ハリー・ハリス駐韓米国大使を同省に呼び付けて、「米国の失望表明は、両国関係強化に役立たない」と抗議したのだ。
さらに、文氏の外交・安全保障ブレーン、文正仁(ムン・ジョンイン)統一外交安保特別補佐官は9月9日、高麗大学での講演で、「南北関係で最大の障害物は、国連軍司令部」「韓国国民が(実態を)知れば『国連軍司令部は撤収せよ』というはずだ」と言い切ったのだ。
そもそも、文政権は2017年10月、中国に対し、
(1)米国の高高度迎撃システム「THAAD」の追加配備はしない(2)米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない(3)日米韓安保協力を軍事同盟にしない-という「三不の誓い」を立てている。
文政権によるGSOMIA破棄決定は「反日」が原因というより、中国や北朝鮮に対し、「レッドチーム入り」した証なのかもしれない。日韓関係は戦後最悪だが、米韓関係も冷め切っている。
トランプ氏は8月末、フランスで開かれたG7(先進7カ国)首脳会談で、「文在寅という人間は信用できない」「何で、あんな人が大統領になったんだ」と、各国首脳の前で酷評した。ニューヨークで9月25日に行った安倍晋三首相との日米首脳会談でも、「文大統領は、北朝鮮からも信用されていない」「尊敬されていない」と語ったとされる。
今回の、在韓米軍司令官の「国軍の日」記念式典「欠席」報道を、どうみるか。
元韓国国防省北韓分析官で、拓殖大学主任研究員の高永チョル(コ・ヨンチョル)氏は「エイブラムス司令官の欠席は、『北朝鮮主導の赤化統一を目指す態度は許されない』という強い怒りの表れだろう。文政権は、戦時作戦統制権(指揮権)の米軍(国連軍)からの移管まで求めている。米韓同盟を崖っぷちに追いやった。韓国国民は危機的現状を認識すべきだ」と語っている。