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【北京=西見由章】中国が上海江南造船所で建造を進めている2隻目の国産空母は、艦載機をリニアモーターで発進させる電磁式カタパルト(射出機)を採用する見通しだ。中国軍事筋が産経新聞に明らかにした。中国の空母戦力は運用面なども含めて米海軍とは大きな開きがあるが“世界最先端”の技術導入を通じて差を縮めたい考えだ。
電磁式カタパルトは2017年7月に就役した米海軍の新型原子力空母「ジェラルド・R・フォード」が、従来の蒸気式に代わる形で初採用した。射出機の速度の制御が可能となり発艦時の安全性が高まる一方、高度な技術も必要とされる。
中国海軍軍事情報化専門家委員会主任の尹卓少将は17年12月、中国中央テレビの番組で、2隻目の国産空母には電磁式カタパルトが採用されるとの見方を示した。フォードの射出機は「依然として重大な技術的問題を抱えている」として実用化までに時間を要すると分析した。
遼寧や初の国産空母には射出機がなく、船首に傾斜のあるスキージャンプ式甲板を設置。艦載機の殲(せん)15は自らの推力だけで発艦するため搭載燃料や武器重量が大きく制限されている。通常動力型空母に蒸気式カタパルトを導入すると蒸気が不足し空母の速力が落ちるため、電磁式の開発が急務だった。実用化されれば艦載機の作戦半径と搭載武器重量が飛躍的に向上する。
軍事筋によると、上海で建造している空母は電磁式カタパルトを導入するために設計を変更し、工期が予定より遅れているという。「大連の造船所とは競合関係もあり、カタパルトの導入よりも早期の進水を優先させるかもしれない」(小原凡司・笹川平和財団上席研究員)との見方もあるが、先の軍事筋は「装備開発部門は電磁式の導入を主張している」と明かす。
政府が敵基地攻撃能力の保有も視野に入れ、「日本版トマホーク」といえる長距離巡航ミサイルの「国産化」を検討していることが分かった。2022年度の試作品完成を目指す。政府は米国などから長距離巡航ミサイルを導入する方針を固めているが、緊迫する北朝鮮情勢や中国の海洋進出に対処するには、独自開発による防衛力整備も必要と判断した。
政府は18年度予算案に米国製とノルウェー製の長距離巡航ミサイルの調達費を計上した。米国製は900キロ、ノルウェー製は500キロを誇る。防衛省幹部は「長距離巡航ミサイルを持つことで、敵の脅威圏外からの攻撃が可能になる。空自パイロットの安全性は格段に増す」と説明する。
一方、自衛隊が保有する対艦ミサイルの射程は約170キロ。技術的には長距離巡航ミサイルの国産化は可能とされていたが、「専守防衛」の立場から開発は見送られていた。
これに対し、12日に開かれた自民党安全保障調査会(中谷元会長)などの会合では「長距離巡航ミサイルを保有するなら国産化も検討すべきだ」との声があがった。装備品の海外調達費を抑え、国内防衛産業の成長を促す狙いもありそうだ。
読売新聞は11月20日朝刊で「日本版トマホーク」の開発検討について報じている。計画段階の射程は300キロ以上で、専用車両や護衛艦、P1哨戒機、戦闘機などからも発射可能にするという。最先端技術で、ステルス性能などを高め、米国の「トマホーク」より高性能を目指すようだ。
自民党国防族は「これまでは『専守防衛の範囲を超える』という批判に配慮してきたが、北朝鮮情勢などで局面は変わった。敵基地攻撃能力につなげるためにも国産化は自然な流れだ」と指摘する。
マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は2日、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の金正恩政権が「米国と世界にとって最大の差し迫った脅威」であり、問題を早急に解決しなければ武力衝突に「どんどん近づいていく。あまり時間は残されていない」と強い危機感を示した。
西部カリフォルニア州で開かれた安全保障に関する会合で語った。「ミサイルを発射し核実験をするたびに成功でも失敗でも技術が上がっていく。そしてわれわれへの脅威が増す」と指摘した。
一方、韓国で多くの人命が犠牲にならずに済む軍事攻撃オプションは存在しないと強調、国際社会が一致して北朝鮮に強い経済的圧力をかける必要性を訴えた。特に中国に対し、国連安全保障理事会決議に基づく制裁以上の圧力をかけるよう要求。そうすることが「ますます中国の利益になる」と語った。(共同)