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涙の新王者を大歓声が包んだ。22日に東京都墨田区の両国国技館で行われた世界ボクシング協会(WBA)ミドル級タイトルマッチで村田諒太(31)=帝拳=が、王者のアッサン・エンダム(33)=フランス=にTKO勝ちした。採点が議論を呼んだ前回対戦から5カ月。2012年ロンドン五輪金メダリストが雪辱を果たした。
村田は5月の試合の数時間後に母校の南京都高(現京都広学館高)の友人らが集まったバーに顔を出した。そこでは判定に不服を示さず静かにシャドーボクシングをした。1学年後輩の平松孝澄さんは「自分の方が泣きそうで、逆に『しょうがないやろ』と励まされてしまった」と述懐する。
村田はリング上のインタビューで「勝つということは相手を踏みにじり、その上に自分が立つということ。勝つ人間は責任が伴う」と、高校時代の恩師で平成22年に亡くなった武元前川さんの教えを口にした。試合を見守った武元さんの妻、敬子さんは「すごい重圧の中、本当に頑張った。いつまでも謙虚」と感極まった表情を浮かべた。
沖縄県の宮古島(宮古島市)への陸上自衛隊警備部隊とミサイルの配備をめぐり、防衛省が8月に計画していた駐屯地の建設着手が10月以降にずれ込む見通しとなったことが8日分かった。用地買収など最終的な手続きが予定より遅れているためだ。政府関係者が明らかにした。
同駐屯地は、昨年3月の同県与那国島への艦艇を警戒する陸自沿岸監視隊の配備に続くもので、宮古島では初めて実戦部隊の拠点となる。防衛省は、中国の脅威に備える南西防衛の強化に向けて、早ければ10月に着工したい考えだ。
沖縄本島より西は陸自が配備されていない防衛の空白地帯だったが、与那国島に沿岸監視隊を配置し、有事の際に初動対処にあたる警備部隊と地対空・地対艦ミサイルを宮古島と石垣島(石垣市)に置く計画だ。
宮古島の部隊配備に向けて防衛省は、平成28年度予算で用地取得費などで108億円を計上した。しかし一部住民らの反対運動で地元との調整が難航し、用地も取得できず、経費の過半を29年度に繰り越した。
部隊配備は今年1月の宮古島市長選で争点になり、配備受け入れを表明した現職の下地敏彦氏が3選を果たしたことを受け、防衛省は配備計画を加速させてきた。駐屯地の施設整備は造成・建設工事が順調に進めば3年程度で完成させ、32年にも800人規模の部隊を配備できるとみられる。
沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡の距離は約300キロに及ぶ。中国海軍艦艇の進出を抑止するうえで、陸自の12式地対艦誘導弾(射程約200キロ)を本島と宮古島に配備しなければ海峡全体をカバーできず、部隊配備は急務となっている。
一方、石垣島への陸自配備をめぐって防衛省は石垣市で6月に2回目の住民説明会を開き、市側の受け入れ環境を整えるための努力を続けている
任期満了に伴って衆院選と同時に22日投開票が行われた沖縄県宮古島市議会議員選挙で、政府が同市で進めている陸上自衛隊配備計画に反対し、自衛隊を侮蔑する「問題発言」を繰り返した現職の石嶺香織氏(36)=無所属=が落選した。
福岡県出身の石嶺氏は今年1月の同市議補欠選挙で初当選したが、9カ月で“退場”となった。
自衛隊に対する舌禍も影響したとみられる。宮古島市民の民意は、石嶺氏の望むものではなかったようだ。
石嶺氏は今年3月9日、自身のフェイスブック上に「陸自が宮古島に来たら絶対に婦女暴行事件が起こる」と投稿。同12日に謝罪したうえで撤回を表明した。3月21日には宮古島市議会で、辞職勧告決議案が可決されたたが、石嶺氏は辞職を拒否した。
さらに4月22日にも那覇市の沖縄大学で開かれたシンポジウムで「(宮古島に)自衛隊員がたくさん来たら、居酒屋でバイトしてる高校生とか大丈夫かなあとか、女の子たち大丈夫かな、そういう不安があった」と発言していたことが後に発覚した。
宮古島市議選は、定数が前回比2減の24となり、現職15人、前職1人、元職2人、新人15人-の計33人が立候補した。石嶺氏は26位だった。