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日本を取り巻くアジア情勢の変化 世界の情報を辛口で伝える情報部ログ 世の中はめまぐるしくかわっていきます その中で取り残されない為の情報をお伝えします Changing Asian situation surrounding Japan Tell the world information by information Department log The world is rapidly mood In order not to lag behind in its informed the <a href="https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=3BDZ68+72TSYA+4IRQ+5YJRM" rel="nofollow">なんでもまとめてお売りください!宅配買取「いーあきんど」</a> <img border="0" width="1" height="1" src="https://www19.a8.net/0.gif?a8mat=3BDZ68+72TSYA+4IRQ+5YJRM" alt="">
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韓国ネイバーニュースなど現地メディアは4月中旬、海軍の情報収集艦が5年にわたって無人機(UAV)の運用を怠っていたとして「目を閉じたまま 性能発揮できず」などと報じた。
韓国海軍は「新紀元」と「新世紀」の2隻の情報収集艦を運用。情報収集には軍と国家情報院(旧KCIA)が関わっているとされる。
このうち新世紀艦には北朝鮮軍の情報を収集するため、2003年から米国AII社の無人偵察機RQ-7「シャドー400」を3機配備。全長約3・5メートル、幅約4メートルと小型で、滞空時間は約7時間。韓国陸軍も使用していたため、海軍への導入に問題はないと判断された。
韓国の月刊誌「月刊朝鮮」などによると、海軍の無人偵察機は、02年6月に北朝鮮との間で哨戒艇同士の小規模な砲撃戦が発生した延坪島近海など、軍事境界線(北方限界線=NLL)に近い西海5島近辺を警戒するため導入され、北朝鮮の港や大口径砲、ミサイル基地などを映像で監視しているとされた。
「遊覧か」「税金は?」…そんな体制ゆえ「同盟国で唯一、米軍からGPS認められず
ところが07年と10年に操縦装置やエンジンの故障で相次いで2機が墜落。残る1機も不調で飛ばせず、10年以降はUAVを運用していなかったことが明らかに。3機とシステム一式で計260億ウォン(約28億3千万円)がスクラップになっていたのだ。
この理由について、月刊朝鮮は「無人偵察機は艦上の射出機から発射し、海上に墜落後は網で回収するため、艦上運用では制限が多い」と指摘する。つまり、2本の棒の間に渡した網の中に機体を押し込んで回収するため、揺れる海上での運用が難しいというわけだ。しかし、そうしたことは当然予測できたことで、なぜ陸軍装備を安易に海軍へ導入したのかという点はメディアの間で非難の的となった。
また、こうした装備は事故での喪失をある程度見越し多めに導入しておくことも各国の常識だが、韓国ではわずか3機のみの導入で、補充もなかった。
遊覧観光船との批判
無人機が運用できない事態を放置したまま、「対北朝鮮の警戒は万全」との姿勢をとってきた軍には非難が集中。また、新世紀艦は広いプラットホーム(甲板)を設けるなどUAV運用を重視した艦だが、5年もUAV抜きで航海していたことから、「遊覧でもしていたのか」「燃料費の税金は…」といった批判も出ている。
航法に商用GPS
一方、新紀元艦も致命的な欠陥を露呈した。同艦はシャドー400のような航空機型ではなく、ヘリコプター型のUAV「S-100」(オーストリア・シーベル社製)を4機導入。全長3メートルとコンパクトで滞空時間は6時間。東亜日報(電子版)は「UAE(アラブ首長国連邦)も130機を導入した」とその性能と実績を紹介したが、13年10月に問題が発覚した。
聯合ニュース(電子版)や世界日報などによると、同機は「GPS電波妨害に脆弱(ぜいじゃく)であることが分かった」というのだ。国会国防委所属のソン・ヨングン議員が海軍の資料を基にこの問題を取り上げ、「航法装置が商用GPSであるため、電波妨害などの電子戦に無防備だ」と指摘したという。
どうやら原因の根本は「米国の同盟国で韓国だけが米軍の軍用GPSの利用を認められていない」(朝鮮日報電子版)点にあるようだ。
同紙などによると、韓国では最新の戦闘爆撃機F15K、主力戦闘機F16Kなど空軍はもちろん、次期主力戦車のK2や地上戦術情報システム、さらに潜水艦やイージス艦までが商用GPSの運用能力しか付与されていない。
韓国軍は「米軍用GPSの導入には時間や予算が余計にかかる」と釈明するが、現実は米軍からGPSの電波のうち軍用モードの使用暗号の提供を断られている状態だ。先の「シャドー400」の墜落も、このGPS問題が原因と見る向きもある。
衛星を売り飛ばす
商用GPSでは受信障害などが度々発生してきたが、軍用コードであるL5は周波数幅も広く、出力も高いため、商用コードより脆弱性は低いとされる。
韓国がそうした高性能の米軍GPSの軍用コードを教えてもらえないのは、戦闘機のブラックボックスを勝手に分解したり、武器を分解して偽造品を作ったりし、米国から軍事機密情報漏洩(ろうえい)を危ぐされているためだが、決定的な出来事は10年の衛星売却だ。
中央日報(電子版)によると、韓国初の通信商用衛星と自賛してきた「ムグンファ衛星」の2号と3号を、運営会社のKTが中国・香港の企業に売却した。ところが、この衛星の製造元は戦闘機製造など米国航空宇宙分野の雄、ロッキード・マーチン社。米国の宇宙科学技術の粋が詰まった衛星とその運用情報を簡単に中国へ売り飛ばすのだから、米軍の機密など教えてもらえるわけがないのだ。
そして“空の目”も
こうした行為がたたり、韓国空軍自慢の早期警戒機、ボーイング737 AEW&C「ピースアイ」にも鉄クズ化の危機が迫っている。
空飛ぶレーダーサイトともいわれ、いつ北朝鮮の攻撃を受けるかわからない韓国にとっては生命線ともいえる兵器。だが、不具合と予備部品の欠如で共食い整備を繰り返した結果、全4機中3機が飛行不能状態にあると現地メディアが報じたことは以前紹介したが、さらに問題が発生した。
韓国聯合ニュースやNEWSISなどによると、ピースアイの整備に必要な重要な保守部品のうち64種類が生産中止になったというのだ。導入されてわずか4年。日本では家電製品ですら冷蔵庫で9年、テレビやデジカメで8年などと、製造終了後の部品保有期間が定められている。それに対し韓国空軍と米国の“商売”では、製造終了後どころか「買って4年」で打ち切りとは…。
現地メディアによると、製造終了は韓国国防研究院が発刊した「国防予算分析・評価および中期政策方向」で発表された。製造中止となった部品には探索レーダーシステムなどを構成する重要部品も含まれていた。
こうした事態を招いたのも韓国側の“事情”にある。納入時、韓国側はボーイング側の提示額17~19億ドルに対し、16億ドルを主張し、結果的にその額に値下げさせたが、その代わり必要なスペアパーツを省かれたというのだ。
プリンターで例えれば、メーカー提示額では5年分のインクがついてくるのに対し、値切ったため1回分のインクしか付いていないようなもの。兵器は運用と保守にこそ予算が必要なのだが…。
さらに機数の少なさも追い打ちをかけた。ピースアイを運用するのは韓国とトルコ、オーストラリアの3カ国で、その数は計14機。部品生産ラインをいつまでも保持しておける機数ではない。他国のように最初に買っておけば…というのは後の祭りだ。
韓国メディアが一斉に「日本の早期警戒機より性能がいい」とたたえた名機も、韓国型運用で鉄くず化しつつある。UAVといい衛星といい、こうした姿勢が改善されない限り、兵器の早期ガラクタ化は避けられない。
「遊覧か」「税金は?」…そんな体制ゆえ「同盟国で唯一、米軍からGPS認められず
ところが07年と10年に操縦装置やエンジンの故障で相次いで2機が墜落。残る1機も不調で飛ばせず、10年以降はUAVを運用していなかったことが明らかに。3機とシステム一式で計260億ウォン(約28億3千万円)がスクラップになっていたのだ。
この理由について、月刊朝鮮は「無人偵察機は艦上の射出機から発射し、海上に墜落後は網で回収するため、艦上運用では制限が多い」と指摘する。つまり、2本の棒の間に渡した網の中に機体を押し込んで回収するため、揺れる海上での運用が難しいというわけだ。しかし、そうしたことは当然予測できたことで、なぜ陸軍装備を安易に海軍へ導入したのかという点はメディアの間で非難の的となった。
また、こうした装備は事故での喪失をある程度見越し多めに導入しておくことも各国の常識だが、韓国ではわずか3機のみの導入で、補充もなかった。
遊覧観光船との批判
無人機が運用できない事態を放置したまま、「対北朝鮮の警戒は万全」との姿勢をとってきた軍には非難が集中。また、新世紀艦は広いプラットホーム(甲板)を設けるなどUAV運用を重視した艦だが、5年もUAV抜きで航海していたことから、「遊覧でもしていたのか」「燃料費の税金は…」といった批判も出ている。
航法に商用GPS
一方、新紀元艦も致命的な欠陥を露呈した。同艦はシャドー400のような航空機型ではなく、ヘリコプター型のUAV「S-100」(オーストリア・シーベル社製)を4機導入。全長3メートルとコンパクトで滞空時間は6時間。東亜日報(電子版)は「UAE(アラブ首長国連邦)も130機を導入した」とその性能と実績を紹介したが、13年10月に問題が発覚した。
聯合ニュース(電子版)や世界日報などによると、同機は「GPS電波妨害に脆弱(ぜいじゃく)であることが分かった」というのだ。国会国防委所属のソン・ヨングン議員が海軍の資料を基にこの問題を取り上げ、「航法装置が商用GPSであるため、電波妨害などの電子戦に無防備だ」と指摘したという。
どうやら原因の根本は「米国の同盟国で韓国だけが米軍の軍用GPSの利用を認められていない」(朝鮮日報電子版)点にあるようだ。
同紙などによると、韓国では最新の戦闘爆撃機F15K、主力戦闘機F16Kなど空軍はもちろん、次期主力戦車のK2や地上戦術情報システム、さらに潜水艦やイージス艦までが商用GPSの運用能力しか付与されていない。
韓国軍は「米軍用GPSの導入には時間や予算が余計にかかる」と釈明するが、現実は米軍からGPSの電波のうち軍用モードの使用暗号の提供を断られている状態だ。先の「シャドー400」の墜落も、このGPS問題が原因と見る向きもある。
衛星を売り飛ばす
商用GPSでは受信障害などが度々発生してきたが、軍用コードであるL5は周波数幅も広く、出力も高いため、商用コードより脆弱性は低いとされる。
韓国がそうした高性能の米軍GPSの軍用コードを教えてもらえないのは、戦闘機のブラックボックスを勝手に分解したり、武器を分解して偽造品を作ったりし、米国から軍事機密情報漏洩(ろうえい)を危ぐされているためだが、決定的な出来事は10年の衛星売却だ。
中央日報(電子版)によると、韓国初の通信商用衛星と自賛してきた「ムグンファ衛星」の2号と3号を、運営会社のKTが中国・香港の企業に売却した。ところが、この衛星の製造元は戦闘機製造など米国航空宇宙分野の雄、ロッキード・マーチン社。米国の宇宙科学技術の粋が詰まった衛星とその運用情報を簡単に中国へ売り飛ばすのだから、米軍の機密など教えてもらえるわけがないのだ。
そして“空の目”も
こうした行為がたたり、韓国空軍自慢の早期警戒機、ボーイング737 AEW&C「ピースアイ」にも鉄クズ化の危機が迫っている。
空飛ぶレーダーサイトともいわれ、いつ北朝鮮の攻撃を受けるかわからない韓国にとっては生命線ともいえる兵器。だが、不具合と予備部品の欠如で共食い整備を繰り返した結果、全4機中3機が飛行不能状態にあると現地メディアが報じたことは以前紹介したが、さらに問題が発生した。
韓国聯合ニュースやNEWSISなどによると、ピースアイの整備に必要な重要な保守部品のうち64種類が生産中止になったというのだ。導入されてわずか4年。日本では家電製品ですら冷蔵庫で9年、テレビやデジカメで8年などと、製造終了後の部品保有期間が定められている。それに対し韓国空軍と米国の“商売”では、製造終了後どころか「買って4年」で打ち切りとは…。
現地メディアによると、製造終了は韓国国防研究院が発刊した「国防予算分析・評価および中期政策方向」で発表された。製造中止となった部品には探索レーダーシステムなどを構成する重要部品も含まれていた。
こうした事態を招いたのも韓国側の“事情”にある。納入時、韓国側はボーイング側の提示額17~19億ドルに対し、16億ドルを主張し、結果的にその額に値下げさせたが、その代わり必要なスペアパーツを省かれたというのだ。
プリンターで例えれば、メーカー提示額では5年分のインクがついてくるのに対し、値切ったため1回分のインクしか付いていないようなもの。兵器は運用と保守にこそ予算が必要なのだが…。
さらに機数の少なさも追い打ちをかけた。ピースアイを運用するのは韓国とトルコ、オーストラリアの3カ国で、その数は計14機。部品生産ラインをいつまでも保持しておける機数ではない。他国のように最初に買っておけば…というのは後の祭りだ。
韓国メディアが一斉に「日本の早期警戒機より性能がいい」とたたえた名機も、韓国型運用で鉄くず化しつつある。UAVといい衛星といい、こうした姿勢が改善されない限り、兵器の早期ガラクタ化は避けられない。
米国製の戦闘機とロシア製の戦闘機が5月10日、南シナ海上空で激しい“空中戦”を繰り広げた-。とはいっても実戦ではない。南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島の埋め立てと恒常的な基地化に突き進む中国に対抗するため、米軍とマレーシア軍が協力。中国軍と同じロシア製戦闘機「Su-30フランカー」を持つマレーシア軍が“練習試合”で中国軍戦闘機を制する秘策を明らかにしたのだ。(岡田敏彦)
敵役は本物 米海軍との異機種間空中戦訓練に参加したマレーシア軍のSu-30フランカー(米海軍公式HPより)
米海軍によると、訓練に参加したのは原子力空母カールビンソン(ニミッツ級・約10万1千トン)を中心とした第7艦隊とその戦闘機群、そして、マレーシア空軍の「Su-30MKフランカー」と「Mig-29N」。マレーシア空軍機はいずれもロシア製で、特にSu-30MKは中国の新鋭戦闘機と同型機。冷戦時代なら「鉄のカーテン」に隠されていたはずの東側戦闘機の性能を、マレーシア空軍が米軍に出し惜しみなく提供したのだ。その方法は、DACT(異機種間空中戦訓練)。映画「トップガン」で一躍有名になった、違う機種同士での戦闘訓練だ。
同映画では、主人公の乗る当時の新鋭戦闘機F-14トムキャットが、空中戦訓練で教官の乗る旧式の小型攻撃機A-4スカイホークに翻弄されるシーンが展開されたが、米軍がこんな訓練を行うのは過去の苦い経験によるものだ。
ミサイル万能論を覆した“中国の隣”ベトナム戦争…教訓のトップガン学校、仮想“中国軍機”
ミサイル万能論を覆したベトナム戦争
1950~60年代、米中仏ソの軍事大国はいずれも大陸間弾道ミサイル(ICBM)を頂点とした「ミサイル万能論」にどっぷり浸かっていた。戦闘機同士が空中戦を行い、機関砲を撃ち合うなどという第一次大戦以来の古くさい戦闘はなくなり、お互いに遠くからミサイルを撃ち合って勝負が付くとみていた。その予測を覆したのが64~75年のベトナム戦争だ。
ベトナム戦争では新鋭機としてF-4ファントムII(ショートノーズ型=初期型)が海空軍部隊で使用された。機関銃を積まず、ミサイルだけを積んだファントムIIは、空対空戦闘で思わぬ苦戦を強いられる。ミサイル誘導に関わる電子装備は、まだ発達途上にあったからだ。
当時のパイロットの回顧録などによると、レーダー誘導のミサイルは、敵戦闘機の激しい動きなどで目標を“見失う”トラブルが多発。一方の赤外線誘導ミサイルは、敵戦闘機の排気口から放出される赤外線を追うはずが、水田に映る太陽をめがけて突っ込んでいくなど散々な結果に。
禁じ手まで使い…結局、最後は空戦能力勝負に
結局は敵の真後ろ、しかも至近距離に迫ってミサイルを撃つのが撃墜への最短条件となった。
当時の米海軍のパイロット、ランディ・カニンガム大尉は、ミサイルだけを積んだファントムIIに搭乗。ベトナム軍のベテランパイロットとの空中戦で後ろを取り合う壮絶な空中戦を展開し、最後は双方ともバーティカル・ローリング・シザースという自滅的な空中機動を展開した。
互いに螺旋(らせん)状に旋回しつつ、速度を落としながら垂直方向へ降下するという、位置エネルギーと運動エネルギーを同時に失う機動で、危険すぎるため軍が禁じ手としていたほどだった。
こうした現場のパイロットたちからは、どうせ敵の後ろにつかなきゃならないなら、機関砲を積んだ方が良い-との要求が続出。応急措置で胴体下に機関砲ポッドを積み、その後は機首に機関砲を内蔵したF-4ロングノーズ型が登場。後に開発されたF-15、F-16とも開発段階から機関砲が内蔵された。
ミサイルのレーダーや電子装備、機動力が大幅に向上し、母機の誘導を不要とした“打ちっ放し”が可能となった現代でも、ステルス戦闘機F-22さえ機関砲は搭載されている。最後は敵機の後ろにつくことが必要になるのでは-との「空戦能力信奉」は消えていない。
トップガン学校
こうした空戦能力を磨くため、ベトナム戦争後期以降にパイロットの学校や専門の部隊が設立された。
米海軍の「トップガン」は、世界の海に展開する空母艦載機部隊から優秀なパイロットを定期的に本国カリフォルニア州の基地に集めてDACT(異機種間空戦訓練)で鍛え、卒業生が部隊に戻って同僚らにそのテクニックを教えるというもの。また空軍ではアドバーサリー(敵役)部隊が設けられ、一般部隊に訓練を施している。
これは、同じ部隊の同機種同士で空中戦訓練をしても、お互い手の内を知っているだけに進歩が少ないうえ、勝ちパターンの固定化が懸念されるなどの考え方による。実戦では敵は思いもかけない戦術、予想外の機動を仕掛けてくる可能性があり、敵機の空戦性能を知り、シミュレートする“敵役”は重要な存在なのだ。
とはいえ、正確に敵役を演じるのは難しい。冷戦下では仮想敵国の戦闘機を手に入れるのは至難の業で、飛行特性の似た自軍の戦闘機(A-4など)で我慢せざるを得なかったのだが、時代は変わった。冷戦の終結で「本物」を使えるようになったのだ。
仮想“中国軍機”があちこちに
冷戦終結とドイツ統一で、旧東独の旧ソ連製兵器は統一ドイツ軍のものとなり、Mig-29など新鋭機の性能は広く西側世界の知るものとなった。またソ連崩壊後のロシアは、武器輸出を主要産業のひとつとし、旧ソ連時代からつながりのある国に兵器を輸出し外貨をかせぐことに。そうした輸出先の一つが中国であり、マレーシアだった。
中国では1990年代から、ロシア製のフランカーシリーズを購入。自国でコピー品を製造するなどロシアとのトラブルも抱えているが、シリーズ最新のSu30MKKフランカーも多数導入している。電子装備はともかく、空戦機動力では西側の戦闘機を凌ぐとも言われるフランカー系の空戦能力は西側各国の脅威だったが、その秘密のベールをあっさり公開したのがマレーシアだ。
暗礁を中国に奪われ
政治と軍備は分けて考えるべきとの考えから、マレーシアは西側、東側双方の兵器を導入している。空軍ではロシア製のSu-30MKMを18機にMig-29を14機と、米国製のF/A-18ホーネット8機を混成装備。うちSu-30MKMは中国のSu-30MKKとほぼ同一の機体だ。共通してロシアの兵器を装備するという政治的な特色がありながら、南沙諸島をめぐって中国とマレーシアの関係は悪化している。
両国は伝統的に良好な関係を保っていたが、2014年1月、マレーシアの排他的経済水域(EEZ)にあるジェームズ礁(暗礁)の近くで中国海軍が、領土主権を守る決意を示す「主権宣誓活動」を行い、領有を宣言。マレーシアは中国に反発するベトナムやフィリピンなどと連携するとともに、同礁に最も近い町ビントゥルに海兵隊基地の建設を決定するなど、中国の拡張主義に懸念を抱いている。
とはいえ戦力ではマレーシアは中国の足下にも及ばない。そこで頼みの綱となったのが米国との連携というわけだ。
敵を知り、己を知れば
米海軍公式サイトやカールビンソンのフェイスブックによると、訓練には米海軍からF/A-18の新旧両型(レガシーホーネットとライノ)、マレーシアからSu-30やMig-29Nなど計3機種が参加し、1対1、多対多などのシナリオで空戦訓練を実施。「マレーシアのSu-30はマッハ1に近い推定速度で操縦され」るなど、空戦訓練としては非常に充実したものだったという。もちろんレーダーや火器管制装置、電子戦装備などの極秘の性能が“筒抜け”になった可能性は高い。
中国軍では、海軍の虎の子の空母「遼寧」の艦載機さえフランカーシリーズの劣化コピー機だ。
5月17日には北京を訪問したケリー米国務長官に対し、中国の習近平国家主席は、南シナ海のスプラトリー諸島の岩礁埋め立てに関連して、「広大な太平洋には中国、米国という2つの大国を受け入れる十分な空間がある」などと発言し、南シナ海の問題に米国が干渉すべきではないと高圧的に主張したが、主力戦闘機が丸裸とされたとあっては威圧の効果にも疑問符がつきそうだ
米国製の戦闘機とロシア製の戦闘機が5月10日、南シナ海上空で激しい“空中戦”を繰り広げた-。とはいっても実戦ではない。南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島の埋め立てと恒常的な基地化に突き進む中国に対抗するため、米軍とマレーシア軍が協力。中国軍と同じロシア製戦闘機「Su-30フランカー」を持つマレーシア軍が“練習試合”で中国軍戦闘機を制する秘策を明らかにしたのだ。(岡田敏彦)
敵役は本物 米海軍との異機種間空中戦訓練に参加したマレーシア軍のSu-30フランカー(米海軍公式HPより)
米海軍によると、訓練に参加したのは原子力空母カールビンソン(ニミッツ級・約10万1千トン)を中心とした第7艦隊とその戦闘機群、そして、マレーシア空軍の「Su-30MKフランカー」と「Mig-29N」。マレーシア空軍機はいずれもロシア製で、特にSu-30MKは中国の新鋭戦闘機と同型機。冷戦時代なら「鉄のカーテン」に隠されていたはずの東側戦闘機の性能を、マレーシア空軍が米軍に出し惜しみなく提供したのだ。その方法は、DACT(異機種間空中戦訓練)。映画「トップガン」で一躍有名になった、違う機種同士での戦闘訓練だ。
同映画では、主人公の乗る当時の新鋭戦闘機F-14トムキャットが、空中戦訓練で教官の乗る旧式の小型攻撃機A-4スカイホークに翻弄されるシーンが展開されたが、米軍がこんな訓練を行うのは過去の苦い経験によるものだ。
ミサイル万能論を覆した“中国の隣”ベトナム戦争…教訓のトップガン学校、仮想“中国軍機”
ミサイル万能論を覆したベトナム戦争
1950~60年代、米中仏ソの軍事大国はいずれも大陸間弾道ミサイル(ICBM)を頂点とした「ミサイル万能論」にどっぷり浸かっていた。戦闘機同士が空中戦を行い、機関砲を撃ち合うなどという第一次大戦以来の古くさい戦闘はなくなり、お互いに遠くからミサイルを撃ち合って勝負が付くとみていた。その予測を覆したのが64~75年のベトナム戦争だ。
ベトナム戦争では新鋭機としてF-4ファントムII(ショートノーズ型=初期型)が海空軍部隊で使用された。機関銃を積まず、ミサイルだけを積んだファントムIIは、空対空戦闘で思わぬ苦戦を強いられる。ミサイル誘導に関わる電子装備は、まだ発達途上にあったからだ。
当時のパイロットの回顧録などによると、レーダー誘導のミサイルは、敵戦闘機の激しい動きなどで目標を“見失う”トラブルが多発。一方の赤外線誘導ミサイルは、敵戦闘機の排気口から放出される赤外線を追うはずが、水田に映る太陽をめがけて突っ込んでいくなど散々な結果に。
禁じ手まで使い…結局、最後は空戦能力勝負に
結局は敵の真後ろ、しかも至近距離に迫ってミサイルを撃つのが撃墜への最短条件となった。
当時の米海軍のパイロット、ランディ・カニンガム大尉は、ミサイルだけを積んだファントムIIに搭乗。ベトナム軍のベテランパイロットとの空中戦で後ろを取り合う壮絶な空中戦を展開し、最後は双方ともバーティカル・ローリング・シザースという自滅的な空中機動を展開した。
互いに螺旋(らせん)状に旋回しつつ、速度を落としながら垂直方向へ降下するという、位置エネルギーと運動エネルギーを同時に失う機動で、危険すぎるため軍が禁じ手としていたほどだった。
こうした現場のパイロットたちからは、どうせ敵の後ろにつかなきゃならないなら、機関砲を積んだ方が良い-との要求が続出。応急措置で胴体下に機関砲ポッドを積み、その後は機首に機関砲を内蔵したF-4ロングノーズ型が登場。後に開発されたF-15、F-16とも開発段階から機関砲が内蔵された。
ミサイルのレーダーや電子装備、機動力が大幅に向上し、母機の誘導を不要とした“打ちっ放し”が可能となった現代でも、ステルス戦闘機F-22さえ機関砲は搭載されている。最後は敵機の後ろにつくことが必要になるのでは-との「空戦能力信奉」は消えていない。
トップガン学校
こうした空戦能力を磨くため、ベトナム戦争後期以降にパイロットの学校や専門の部隊が設立された。
米海軍の「トップガン」は、世界の海に展開する空母艦載機部隊から優秀なパイロットを定期的に本国カリフォルニア州の基地に集めてDACT(異機種間空戦訓練)で鍛え、卒業生が部隊に戻って同僚らにそのテクニックを教えるというもの。また空軍ではアドバーサリー(敵役)部隊が設けられ、一般部隊に訓練を施している。
これは、同じ部隊の同機種同士で空中戦訓練をしても、お互い手の内を知っているだけに進歩が少ないうえ、勝ちパターンの固定化が懸念されるなどの考え方による。実戦では敵は思いもかけない戦術、予想外の機動を仕掛けてくる可能性があり、敵機の空戦性能を知り、シミュレートする“敵役”は重要な存在なのだ。
とはいえ、正確に敵役を演じるのは難しい。冷戦下では仮想敵国の戦闘機を手に入れるのは至難の業で、飛行特性の似た自軍の戦闘機(A-4など)で我慢せざるを得なかったのだが、時代は変わった。冷戦の終結で「本物」を使えるようになったのだ。
仮想“中国軍機”があちこちに
冷戦終結とドイツ統一で、旧東独の旧ソ連製兵器は統一ドイツ軍のものとなり、Mig-29など新鋭機の性能は広く西側世界の知るものとなった。またソ連崩壊後のロシアは、武器輸出を主要産業のひとつとし、旧ソ連時代からつながりのある国に兵器を輸出し外貨をかせぐことに。そうした輸出先の一つが中国であり、マレーシアだった。
中国では1990年代から、ロシア製のフランカーシリーズを購入。自国でコピー品を製造するなどロシアとのトラブルも抱えているが、シリーズ最新のSu30MKKフランカーも多数導入している。電子装備はともかく、空戦機動力では西側の戦闘機を凌ぐとも言われるフランカー系の空戦能力は西側各国の脅威だったが、その秘密のベールをあっさり公開したのがマレーシアだ。
暗礁を中国に奪われ
政治と軍備は分けて考えるべきとの考えから、マレーシアは西側、東側双方の兵器を導入している。空軍ではロシア製のSu-30MKMを18機にMig-29を14機と、米国製のF/A-18ホーネット8機を混成装備。うちSu-30MKMは中国のSu-30MKKとほぼ同一の機体だ。共通してロシアの兵器を装備するという政治的な特色がありながら、南沙諸島をめぐって中国とマレーシアの関係は悪化している。
両国は伝統的に良好な関係を保っていたが、2014年1月、マレーシアの排他的経済水域(EEZ)にあるジェームズ礁(暗礁)の近くで中国海軍が、領土主権を守る決意を示す「主権宣誓活動」を行い、領有を宣言。マレーシアは中国に反発するベトナムやフィリピンなどと連携するとともに、同礁に最も近い町ビントゥルに海兵隊基地の建設を決定するなど、中国の拡張主義に懸念を抱いている。
とはいえ戦力ではマレーシアは中国の足下にも及ばない。そこで頼みの綱となったのが米国との連携というわけだ。
敵を知り、己を知れば
米海軍公式サイトやカールビンソンのフェイスブックによると、訓練には米海軍からF/A-18の新旧両型(レガシーホーネットとライノ)、マレーシアからSu-30やMig-29Nなど計3機種が参加し、1対1、多対多などのシナリオで空戦訓練を実施。「マレーシアのSu-30はマッハ1に近い推定速度で操縦され」るなど、空戦訓練としては非常に充実したものだったという。もちろんレーダーや火器管制装置、電子戦装備などの極秘の性能が“筒抜け”になった可能性は高い。
中国軍では、海軍の虎の子の空母「遼寧」の艦載機さえフランカーシリーズの劣化コピー機だ。
5月17日には北京を訪問したケリー米国務長官に対し、中国の習近平国家主席は、南シナ海のスプラトリー諸島の岩礁埋め立てに関連して、「広大な太平洋には中国、米国という2つの大国を受け入れる十分な空間がある」などと発言し、南シナ海の問題に米国が干渉すべきではないと高圧的に主張したが、主力戦闘機が丸裸とされたとあっては威圧の効果にも疑問符がつきそうだ
「道路脇で寝る」「3万5千人が公園で寝る」
京郷新聞(電子版)によると、韓国東部の江原道江陵(カンヌン)市では、標高約800メートルにあり、市街より気温が低い「大関嶺」周辺の道路端のアスファルトの上に寝具を広げて眠るという人が続出しているという。
「涼」は求められるかもしれないが、近くを乗用車が走る中で寝るのは、実にスリリングだ。ひやっと涼しくはなるだろうが、むしろ怖さで眠れないのではないのかと心配したくなる。いずれにしろ、京郷新聞も「珍しい風景」と報じるほどだ。
一方、南部の大邱(テグ)の豆類公園には夕方から夜明けまでの間、約3万5千人が居座り続けているという。人気歌手のコンサートが開催されたり、壮観な花火大会があるわけではない。ブルーシートを敷いたり、テントを張ったりと思い思いのスタイルで、夕涼みならぬ「夜涼み」にふけるのだ
こうした公園の夜涼みは全国各地でみられるとされ、道路脇に寝る人たちも含め、韓国ではこの夏、珍現象が各地で起きている。
暑くても、涼めない若者たち
日本の内閣府のデータによると、2015年の一般世帯のエアコン普及率は91%。一方の韓国は2013年で78%にとどまる。
クーラーがない人に加え、あっても電気代を払えない人たちが少なくなく、このため「猛暑避難所」という施設が、ソウルだけでも3千カ所も設けられている。ただし、避難所の運営は日中だけ。熱帯夜となっても利用ができない。
しかもソウルや大邱などの都市部では、狭いワンルームのアパートに住むサラリーマンや学生らが多い。こういった若者らはクーラーを持てないか、電気代が払えないため夜に“行き場”がなくなり、韓国の夜に珍風景を生み出しているのだ。
予告なしに送電を止める国
もっとも、電力供給は不足しているのかと思いきや、そうではないという。中央日報(電子版)などは、8月5日の韓国内の電力供給予備率が36%に達したと報じた。つまり電気は余りまくっている
韓国では、長年にわたり電力不足が懸案だった。11年9月15日には午後3時から約5時間、全国で地域ごとに突然送電を止める「循環停電」が予告なしに行われ、約200万世帯が停電。銀行などが大混乱に陥った。12年7月には予備率が6%にまで低下し、工場の操業を政府が停止させたこともある。
度重なる停電危機を解決しようと、政府主導で液化天然ガス(LNG)の火力発電所を次々建設した。つまり、供給量は増やしたのだが、肝心の韓国経済が失速。国民の経済格差は広がる一方で、とくに貧困にあえぐ人が増えた。これが電気が余っているのに、熱帯夜をしのぐため屋外へ向かうという珍現象の背景にあるとみられる。
電力をめぐる事情には、韓国社会の抱える問題が透けてみえる。