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時代を見通す日本の基礎情報

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米、中国に引導 「影の銀行」改革は困難 貿易は“反日”で自業自得

中国経済のメッキがついにはがれた。水増しが疑われていた貿易統計で、6月の輸出、輸入ともマイナスに転落、沖縄県の尖閣諸島問題をきっかけに反日姿勢を強めたことが裏目に出た。これに追い打ちをかけるのが米国だ。10日にワシントンで開幕した第5回米中戦略・経済対話で、バイデン米副大統領は中国に「影の銀行(シャドーバンキング)」問題の改革を迫った90年代以降続いた中国の高度成長期は終わり、深刻な金融危機や長期停滞期の入り口にさしかかっている。

 「中国は深刻な問題に直面している。銀行セクターの改革や、影の金融セクターを制御しなくてはならない」

 バイデン副大統領は米中戦略・経済対話の開幕演説で、中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(よう・けつち)国務委員(外交担当)と汪洋副首相を前にこう言い切った

 戦略・経済対話では中国による国家ぐるみのサイバー攻撃問題が表面に出ているが、中国経済も重要なテーマとなっている。これまで安い人民元の為替レートに支えられた輸出や、無軌道な公共投資など、市場経済の枠組みを踏み外した国家主導型の成長路線が崩壊しつつあるためだ。

 中国税関総署が10日発表した貿易統計によると、6月の輸出は前年同月比3・1%減となった。春節(旧正月)時期の要因で落ち込んだ2012年1月を除くと、リーマン・ショックの影響が尾を引いていた09年11月以来、3年7カ月ぶりのマイナスとなった

輸出の統計は昨年12月から今年の4月まで2ケタ増が続いていたが、それは“虚構の繁栄”だった。輸出の「水増し」疑惑が相次いで報道され、当局が摘発に乗り出した途端、水増し分が剥がれ落ち、5月の輸出の伸びは1・0%増に急減速した。

 さらに、尖閣諸島をめぐって反日デモが暴徒化したことをきっかけに、中国相手にビジネスすることのリスクが意識されるようになった。対日輸出は3・8%減、日本からの輸入は13・8%減と、引き続き冷え込んでおり、中国の自業自得としかいいようがない。

 中国企業による太陽光パネルのダンピング問題で揺れる欧州向けの輸出も3・9%減と減少幅が拡大している。

 税関総署の幹部は記者会見で「中国の輸出入は明らかに減速している。厳しい試練に直面していると言える」と認めるしかなかった。

 内需、外需ともに不振の中国が、強い関心を示しているのがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)だ。

 しかし、バイデン副大統領は、「世界第2位の国には新たな国際的な責任がついてくる。中国が国際的なルールの設定に関与したいと考えるのは理解できるが、さらなる国際的な責務を負うというのにはいかがなものか」と突き放した。TPPをうんぬんする前に金融問題を含めてやるべきことがあるだろうというわけだ

 ただ、米国が突き付ける「影の銀行」問題の改革は極めて難しい。李克強首相が進める経済改革「リコノミクス」は、経済のゆがみを正すことに重点を置くもので、実際に金融引き締め姿勢を容認したことで、金利の急上昇や株価急落など金融市場の動揺を招いた。
銀行の簿外で高利回りの「理財商品」を使って資金調達する「影の銀行」にメスを入れることは必要ではあるが、景気失速などの「痛みを伴う」(香港のアナリスト)懸念もつきまとう。

 公共投資は金融引き締めで抑制され、外国直接投資も中国リスク増大で二の足を踏む。習近平政権は「倹約令」を出すなど、経済成長よりも綱紀粛正を優先し、内需も厳しい。

 15日に発表される国内総生産(GDP)4~6月期の成長率も前年同期比7・5%増で、1~3月期を0・2ポイント程度下回ると予想されているが、中国経済に詳しい企業文化研究所理事長の勝又壽良氏は「中国経済は過剰設備と輸出不振によって成長エンジンが止まったままだ。内需も所得再分配の不平等ゆえにとても中国経済を主導できる力を持っておらず、今年の経済成長率は6%にとどまるとの見方もある」と指摘する。

 勝又氏は「2011年以降、生産年齢人口比率は右肩下がりになっており、中国経済の回復力は強い、というのは過去の話。日本経済がバブル崩壊後に苦しんだ『失われた20年』と、中国経済が置かれている条件はまったく同じ」とみる。

 中国の政府系シンクタンクが「7月危機説」を唱えた通り、世界第2位の経済大国はこのまま沈んでいくのか。

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輸出の統計は昨年12月から今年の4月まで2ケタ増が続いていたが、それは“虚構の繁栄”だった。輸出の「水増し」疑惑が相次いで報道され、当局が摘発に乗り出した途端、水増し分が剥がれ落ち、5月の輸出の伸びは1・0%増に急減速した。

 さらに、尖閣諸島をめぐって反日デモが暴徒化したことをきっかけに、中国相手にビジネスすることのリスクが意識されるようになった。対日輸出は3・8%減、日本からの輸入は13・8%減と、引き続き冷え込んでおり、中国の自業自得としかいいようがない。

 中国企業による太陽光パネルのダンピング問題で揺れる欧州向けの輸出も3・9%減と減少幅が拡大している。

 税関総署の幹部は記者会見で「中国の輸出入は明らかに減速している。厳しい試練に直面していると言える」と認めるしかなかった。

 内需、外需ともに不振の中国が、強い関心を示しているのがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)だ。

 しかし、バイデン副大統領は、「世界第2位の国には新たな国際的な責任がついてくる。中国が国際的なルールの設定に関与したいと考えるのは理解できるが、さらなる国際的な責務を負うというのにはいかがなものか」と突き放した。TPPをうんぬんする前に金融問題を含めてやるべきことがあるだろうというわけだ

 ただ、米国が突き付ける「影の銀行」問題の改革は極めて難しい。李克強首相が進める経済改革「リコノミクス」は、経済のゆがみを正すことに重点を置くもので、実際に金融引き締め姿勢を容認したことで、金利の急上昇や株価急落など金融市場の動揺を招いた。
銀行の簿外で高利回りの「理財商品」を使って資金調達する「影の銀行」にメスを入れることは必要ではあるが、景気失速などの「痛みを伴う」(香港のアナリスト)懸念もつきまとう。

 公共投資は金融引き締めで抑制され、外国直接投資も中国リスク増大で二の足を踏む。習近平政権は「倹約令」を出すなど、経済成長よりも綱紀粛正を優先し、内需も厳しい。

 15日に発表される国内総生産(GDP)4~6月期の成長率も前年同期比7・5%増で、1~3月期を0・2ポイント程度下回ると予想されているが、中国経済に詳しい企業文化研究所理事長の勝又壽良氏は「中国経済は過剰設備と輸出不振によって成長エンジンが止まったままだ。内需も所得再分配の不平等ゆえにとても中国経済を主導できる力を持っておらず、今年の経済成長率は6%にとどまるとの見方もある」と指摘する。

 勝又氏は「2011年以降、生産年齢人口比率は右肩下がりになっており、中国経済の回復力は強い、というのは過去の話。日本経済がバブル崩壊後に苦しんだ『失われた20年』と、中国経済が置かれている条件はまったく同じ」とみる。

 中国の政府系シンクタンクが「7月危機説」を唱えた通り、世界第2位の経済大国はこのまま沈んでいくのか。

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