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中国海軍は創設70周年を迎えた4月23日、山東省青島市沖で国際観艦式を行い、中国初の空母「遼寧」に加えて空母打撃群を形成する最新鋭の大型駆逐艦や攻撃型原潜を公開し、中国海軍の急速な発展ぶりを誇示した。ただ中国経済の減速に伴う予算の制限を背景に、最新装備の開発が想定よりも遅れているとの指摘も出ている。(北京 西見由章)
濃霧が海上を覆う中で行われた観艦式。中国の艦艇32隻を先導したのは094型「晋」級戦略原潜2隻で、093型「商」級攻撃型原潜2隻が続いた。いずれも最新鋭の改良型で、小原凡司・笹川平和財団上席研究員によると「(船体上部に突出した)セールの前面がなだらかな曲線に変更され、雑音低減を図ったとみられる」という。
093型攻撃型原潜の改良型(093A型などと呼ばれる)は2018年1月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の接続水域内を潜没航行し、海自護衛艦に追尾されて海面に浮上、中国国旗を掲げた潜水艦と同型の可能性もある。長距離、長期間の作戦行動が可能で空母の護衛任務も担うとみられている。
観艦式の最大の目玉は、排水量1万トン以上でアジア最大級の最新鋭ミサイル駆逐艦「055型」が南昌艦として公開されたことだ。その後の中国国防省の発表によると、近く就役する予定という。055型は空母を守る主力艦とされ、これまでに4隻が進水し、8隻目の建造も伝えられている。
中国政府系メディアによると、055型の火力は現在就役している駆逐艦の中で最も大きい「052D型」の2倍に達し、ステルス性能や情報処理能力も強化されている。
中国海軍の「主役」である空母・遼寧は、052D型などのミサイル駆逐艦4隻と054A型フリゲート艦2隻、総合補給艦を従える形で観艦式に登場。その前後には空中警戒管制機KJ500とKJ200、空母艦載機殲(J)15が飛行した。小原氏は「ほんの一部ではあるが空母打撃群のデモンストレーションをしてみせた」と解説する。
一方、中国国内では17年4月に進水した初の国産空母が公開されるのではとの期待も一部にあったが、今回は見送られた。現在は試験航行を重ねており、戦力としての公開には間に合わなかったもようだ。上海江南造船所では2隻目の国産空母が建造中で、最新鋭の電磁式カタパルト(射出機)を備えているとみられる。
北京の軍事筋は「中国は空母打撃群を核心とする米国海軍をモデルとして海軍建設を進めている」と説明する一方、「現在の急速な艦艇建造ペースは臨界点を迎えており、今後減速していくだろう」と指摘した。
その理由としては、巨大な陸軍の維持や空軍の装備の更新、国内の治安維持のために毎年多額の支出が必要になっているとし「海軍建設の財政力は今後も米国の水準には追いつけないだろう」と悲観的だ。さらに、中国が開発を進める原子力空母や、国産空母に導入する電磁式カタパルト、新型の空母艦載機などの最新装備の開発が、予算の制限に伴い予定よりも遅れていると指摘す
また小原氏によると、055型駆逐艦は、電磁誘導で弾丸を超高速で発射させる「レールガン」など大容量の電力を必要とする新兵器の導入を想定。ただ、米海軍だけが成功している、電力を統合的に制御するシステムの導入に失敗したとされ、改良型艦の建造に移行した可能性があるという。
中国の19年の国防予算は前年実績比7・5%増の1兆1898億7600万元(約19兆円)で、依然として国内総生産(GDP)の実質成長率を上回る高水準を維持した。ただし、伸び率は前年比0・6ポイント減と2年ぶりに鈍化している。
急速に戦力を向上させている中国海軍だが、「米軍と肩を並べる遠洋海軍の建設に自信を持っているわけでは決してない」( 急速に戦力を向上させている中国海軍だが、「米軍と肩を並べる遠洋海軍の建設に自信を持っているわけでは決してない」(先の軍事筋)という側面もありそうだ