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岩国の航空祭に世界各地からパイロットが集合音速寸前!米軍の本気の飛びっぷり



自衛隊男の群れ


日米同盟の絆をアピールする毎年恒例の航空祭「岩国フレンドシップデー」が5月5日に岩国航空基地(山口県)で開催され、米海兵隊や海軍所属の航空機がデモ飛行を披露。音速寸前の高速パスなどの機動飛行を見せるなど、約16万5千人の観客を魅了した。   (岡田敏彦

日本に居ないレア機も

 同航空祭の特徴は、展示・飛行する機体の種類の多さと、本気の飛びっぷりに尽きる。今回も在韓米軍の航空機が韓国から飛来したほか、米本土から操縦士が遠征するなど、米軍の力の入れようがうかがえた。

ヘリコプターのホバリングのように、空中に静止するステルス戦闘機F-35(岡田敏彦撮影)
ヘリコプターのホバリングのように、空中に静止するステルス戦闘機F-35(岡田敏彦撮影)

 航空祭開催は5日だが、前々日の3日には既に航空機マニアたちが基地北側の今津川堤防に集合。この場所は基地の外から離着陸を撮影できるスポットとして有名で、関東地方のナンバーの車も続々集まった。そんなマニアたちの目当ては、通常は日本では見られない機体のひとつ、在韓米軍に配備されている地上攻撃機「A-10サンダーボルト2」だ。午後3時38分、いまどきのジェット戦闘機とは異なる直線翼の「A-10」2機が姿を見せると、マニアらの構える望遠レンズが一斉に空へ向けられた。

機体を傾けて観客にサービスする米太平洋空軍(PACAF)デモチームのF-16(岡田敏彦撮影)
機体を傾けて観客にサービスする米太平洋空軍(PACAF)デモチームのF-16(岡田敏彦撮影)
機体を傾け、観客に上面を見せて飛ぶ米太平洋空軍(PACAF)のF-16(岡田敏彦撮影)
機体を傾け、観客に上面を見せて飛ぶ米太平洋空軍(PACAF)のF-16(岡田敏彦撮影)

 当日の5日には、この「A-10」2機を含む多くの米軍機が公開された。最新の大型輸送機C-17グローブマスターIII(米空軍航空機動軍団所属)はハワイ州ホノルルのヒッカム基地から参加。操縦士も専門のデモチームの要員で、日本の観客への力の入れようがうかがえた。

また地元勢も豪華な顔ぶれとなった。岩国基地には昨年3月末、米海軍厚木基地(神奈川県大和市など)所属だった空母航空団の機体が移転したことで、岩国基地を「ホーム」とすることになった海軍の艦載機が多数お目見えした。具体的には、原子力空母ロナルド・レーガンに艦載される第5空母航空団の機体で、F/A-18スーパーホーネットやE-2Dホークアイ電子戦機、C-2グレイハウンド輸送機などが地上展示された。

ステルス機は空中静止、空軍機は〝限界速度〟で… 

フライトを披露する飛行展示では、岩国の主役の米海兵隊機が次々と離陸。最新ステルス戦闘機のF-35BライトニングIIは、空中でヘリコプターのように静止したり、水平に回転して向きを変えたりするなど通常の航空機ではありえない飛行を行い、その特徴である短距離離陸・垂直着陸の能力に注目を集めた。

また第5空母航空団のF/A-18は、デモ飛行に当たって米バージニア州のオセアナ海軍基地から、高度な機動飛行をこなす操縦士を呼び寄せる本気ぶり。これに対し、ゲストの米太平洋空軍(PACAF)デモンストレーションチームのF-16ファイティングファルコンも例年にない迫力の飛行で応えた。急上昇や背面飛行などに加え、今回は会場前を左右に飛び抜けるハイスピードパスで「パン」という大きな衝撃音が発生し、観客の度肝を抜いた。

飛行後、「音速を超えた衝撃波では」との問いに、操縦士のジェイコブ・インペリゼリ大尉は「音速は超えていない。(計器表示は)マッハ0・94だった」としたうえで「海面(地上)に近い飛行高度や天候の関係で、空気の振動が発生したのだろう」と説明。音速を超えると「ドーン」という衝撃音が発生するのが通例なので、説明通り音速は超えていないとはいえ、観客に米空軍の姿を見せようとの本気度が伝わる飛行だった。

同チームは航空自衛隊の航空祭など日本各地でデモ飛行を披露しており、人気も高く、インペリゼリ大尉の名は航空機マニアの間では有名。ファンに対してメッセージを求められ「ファンが多いのは光栄で嬉しいこと」と述べ、上空から会場や堤防にいるファンが見えるか、との問いには「機内から皆さんに手を振っていますよ。何らかの形でふれ合いたいと思っていますから。背面飛行ではサムアップ(親指を立てるジェスチャー。満足や同意を示す表現)しています」と、ファンサービスへの力の入れようを説明した。

海兵隊のMV-22オスプレイも短距離の離着陸などのポテンシャルを公開した(岡田敏彦撮影)
海兵隊のMV-22オスプレイも短距離の離着陸などのポテンシャルを公開した(岡田敏彦撮影)
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