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次の大統領選はアメリカにとって大きな意味を持つ。オバマはこの7年間で、アメリカという大国をすっかり崩壊させてしまったからだ。まず、アメリカは世界の警察という役割を捨てた。
アメリカにも言い分がある。これまで世界の紛争地で戦ってきたが、中東のような場所では地元民が最初はアメリカのプレゼンスを喜んでアメリカ国旗を振りながら迎えた。しかし紛争が終わるとアメリカに対して出て行けという。
アメリカにとっては礼も言われず兵士を何人も死なせ、莫大なカネを使わされる。それにもかかわらず「ヤンキーゴーホーム」である。もうこれ以上やっていられないと、アメリカ国民が声をあげたのは当然かもしれない。
その結末が、中国やロシアの台頭である。アメリカがなくなってしまったら世界はどうなるのだろうか。
オバマは「富の再分配」を掲げ、社会保障への支出を増大させてきた。その結果はどうなったか。悲惨のひと言だ。貧困層は手厚い保護のぬるま湯に浸かって、いっそう怠惰になった。オバマが支持層に税金をバラ撒いた結果、多くの国民は生活費が天から降ってくるのを待つだけになってしまった。
その一方で、オバマは財源を捻出するために中産階級や富裕層、企業の負担を増大させた。オバマケア(医療保険改革)では、州によって違うが、これまでより年間2448ドル(約30万円)ほど負担が増えるケースが多い。1か月あたり204ドル(約2万5000円)だ。その分、消費は減ることになる。経済は大きな打撃を被った。大増税とオバマケアにより、経済を支える中産階級は激減し、44%に落ちてしまった。逆に格差は拡大した。
今年に入って失業率が低下し、アメリカ経済は回復基調に戻りつつあるという。しかし、実際にはそれまでが悪すぎただけであり、オバマの実績とは言えない。むしろ彼は経済の足腰をガタガタにしてしまったのだ。仮に前回大統領選(2012年)で共和党のミット・ロムニーが大統領になっていたら、景気回復はもっと早かったはずである。
オバマが知らなかったのは経済だけではない。外交も素人そのものだった。
アメリカはプーチンがウクライナに侵攻しても黙認した。中国が南シナ海の南沙諸島でサンゴ礁を埋め立て軍事施設を造っても、つい最近まで文句を言うこともしなかった。習近平をここまでつけ上がらせたのは外交的に引きこもっていたオバマなのだ。
その間、オバマが何をやっていたかと言えば、ゴルフ、ゴルフ、またゴルフである。2009年1月の大統領就任以来、200ラウンドを軽く超えている。なんと、前任者・ブッシュの8倍のペースだ。
経済的にも外交的にも世界一という大国の地位が揺らいだアメリカは、政治家も国民も堕落してしまった。