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時代を見通す日本の基礎情報

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米中新冷戦”の主戦場となった香港、米大統領選が未来を大きく左右

新型コロナウイルス禍の厳しい夏が過ぎ、秋になった。11月初旬の米大統領選が迫り、現職のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領の論戦が激しくなった。両候補とも対中強硬策を競う。米中新冷戦は長期化しそうな情勢だ。

 「冷戦」といえば、この季節になると思い出すのは、1989年11月のベルリンの壁崩壊だ。同年10月に旧東ドイツの教条主義者、ホーネッカー書記長が失脚するや、市民は壁に殺到した。当時、筆者はこのニュースを見て、日本国内の出張先から急遽(きゅうきょ)ベルリンに飛んだものである。

 そこで、質問。米ソ冷戦と米中新冷戦との違いは何か。旧ソ連も現代中国も共産党独裁であり、核ミサイルを保有することでは共通するが、中国にあって旧ソ連にはなかったものがある。それは「国際金融センター」だ。いうまでもなくそれは香港のことである。

 習近平政権は6月末に香港国家安全維持法(国安法)施行を強行し、香港市場を完全支配下に置いた。中国と旧ソ連はいずれも基軸通貨ドルに依存する。その致命的弱点ゆえにソ連は敗れたが、習政権は米国との対立が深まる中で、われわれにはドルが集中する香港がある、と読んだのだ。

 ソ連の場合、国家収入の大半は石油と天然ガスの輸出による。エネルギー価格はドル建てで、米金融政策によって左右される。1970年代末の第2次石油危機後、高インフレ下の不況に悩まされた米国のレーガン政権は高金利政策によって石油価格を暴落させた。窮したゴルバチョフ共産党書記長が経済の自由化を打ち出したのもむなしく、ベルリンの壁は撤去され、2年後にはソ連解体に追い込まれた。

中国の場合、市場経済制度を導入し、2001年には世界貿易機関(WTO)に加盟し、「世界の工場」としての地位を築いた。08年9月のリーマン・ショック後には豊富な外貨準備を背景に財政金融両面から景気をてこ入れし、2ケタ台の経済成長軌道に世界でいち早く回帰した。

 米国のブッシュ、オバマ政権とも中国市場の拡大に幻惑されて、中国の対米貿易黒字拡大をなすがままにした。それは急速な軍拡を支え、習政権の拡大中華経済圏構想「一帯一路」や南シナ海の占拠・埋め立てなど対外膨張策を可能にした。

 トランプ米政権は歴代政権の融和策を廃棄し、米中貿易戦争を仕掛けてドルの提供を制限し始めた。それに対し、習政権が徹底抗戦の拠点と確保したのが、ドルが集まる国際金融センター、香港である。米ウォールストリート・ジャーナル紙(7月24日付)によると、習政権が国安法を準備し始めたのは、香港では民主化要求デモが燃え上がっていた昨年夏だという。そして同時並行して仕掛けたのが香港株式市場の中国化だ。

 グラフを見よう。香港株式市場での上場中国企業の時価総額とそのシェア、および中国企業株売買シェアの推移である。香港市場に上場する中国企業は昨年6月時点で1197社、時価総額シェアは68%、売買シェア78・6%だったが、10月から上場数、時価総額シェア、売買シェアとも急増し始め、今年8月にはそれぞれ1287社、79%、85・6%となり、「紅く」染まった。

 上海、深センの証券市場と香港市場の間では人民元建てで株式の売買が相互取引できる「ストックコネクト」という仕組みがあり、7月からは中国化された香港市場に殺到し、香港株価が急上昇する。うたい文句は「高成長が期待される中国からの新規上場企業で魅力いっぱいの香港市場」だ。

香港に拠点を持つ英国の大手金融資本、HSBCは国安法支持を表明し、モルガン・スタンレーなどウォール街の金融大手は中国企業新規上場の幹事引き受けや中国企業株売買仲介に血眼だ。

 習政権が国際的な非難を浴びてでも、香港市場にこだわる理由は、中国独自の米ドル本位の通貨金融制度抜きには理解できない、と拙論はいち早く結論づけてきた。

 最近になって同じ見方を示したのは、中国共産党直属の人民日報国際版「環球時報」である。7月30日付英文版で「人民銀行はより多くのドルの裏付けが必要となる人民元の過剰発行は選択しない」と報じた。本家自らドル本位を認めたのだ。

 ワシントンは7月に香港自治法を制定し、香港の高度な自治や表現、政治の自由を抑圧する政府要人と協力する金融機関に対して資産凍結やドル融通の禁止などの金融制裁を加える態勢を整え、発動し始めた。昨年秋には香港人権民主法と合わせて「1992年香港政策法」を修正済みで、香港ドルと米ドルの交換を禁じることも辞さない。

 一方、習政権は国際金融界の要である米英大手金融資本さえ惹(ひ)きつけておけば、米国は限定的で小出しの金融制裁しか打ち出せないと踏んでいるに違いない。

 ワシントンが金融制裁をエスカレートさせるかどうか。米大統領選でトランプ氏かバイデン氏のどちらが政権の座につくのか。それは米中新冷戦の主戦場、香港の行方を大きく左右するだろう。

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