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日本政府による、半導体素材の輸出管理強化で窮地に陥った韓国で、仰天要求が飛び出した。「2020年東京五輪・パラリンピックのボイコット」を求める一般国民の請願が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が陣取る青瓦台(大統領府)のホームページ(HP)に提出されたのだ。8日にやっと日本に抗議した文氏と歩調を合わせた脅しかと思えば、何と「東京の放射線レベルが高い」と主張している。実は、ソウルの数値の方が1ケタほど高いのだが、日本人は四の五の言わない。ネット上では、韓国の方々が「五輪辞退」を決断するなら静観するという声も多いようだ。
◇
「日本側の措置撤回と両国間の誠意ある協議を求める」「韓国企業に実害が発生した場合、わが政府としても必要な対応を取らないわけにはいかない」
文氏は8日、大統領府高官らとの会議で、恫喝(どうかつ)気味にこう語った。日本が管理強化に踏み切ってから、何と4日も過ぎていた。
タチの悪い日本の左派メディアの偏向報道のせいか、どうも事態を正確に把握していないように思える。
日本政府としては、韓国側の輸出管理に不備があり、「不適切事案が複数発生した」ため、安全保障上の運用見直しとして、軍事転用可能な戦略物資である「フッ化ポリイミド」「レジスト」「エッチングガス=高純度フッ化水素」の輸出管理を厳格化しただけだ。8月からは韓国を「ホワイト国」からも除外する見通しだ。
不適切事案について、西村康稔官房副長官は8日の記者会見で、「不適切な事案があったのは事実」と断言した。与党内には、韓国が戦略物資などを北朝鮮などに横流ししているとの見方もあるが、西村氏は「具体的な内容は控える」と述べるにとどめた。
文氏のいう「誠意ある協議」は結構だが、まず韓国の輸出管理体制を見直してはどうか。
こうしたなか、大統領府のHP(国民請願掲示板)で5日、一般国民から「東京五輪・パラリンピックのボイコット」を求める請願が始まった。30日以内に賛同者が20万人を超えると、大統領府が見解を表明することになっている。9日朝時点で、2000件以上集まっていた。
請願理由には「多くの非公式資料によると、東京地域も放射線レベルは高い」と記されていた。
東京電力福島第1原発事故後、除染の目安となる空間放射線量は毎時0・23マイクロシーベルトとなっている。都内の測定値は基準値を大きく下回っており、請願は事実を無視した非科学的なものだ。背景には、日本政府への「意趣返し」という意味もあるとみられる。
現に、請願には「日本は半導体素材の輸出にブレーキをかけているが、韓国政府は迅速な対応策を出していない様子で、国民の一人として息苦しさを感じている」という記述もある。
ここで指摘したいのは、東京とソウルの空間放射線量だ。東京・新宿では8日午後2~3時に毎時0・0392マイクロシーベルトだったが、ソウルは同日午後、毎時約0・12マイクロシーベルトだった。ソウルの方が「危険」ではないか。
日本のネット上では、請願開始を受けて、「ソウルの方が放射線量高いのに?」「どうぞ、どうぞ」「ぜひ、初志貫徹で頑張ってもらいたい」「(韓国不参加でも)何も困りません」「次は何が出てくるか楽しみです」などと、相当冷めた意見が並んでいる。
ただ、韓国が五輪をボイコットしたことは歴史的に珍しい。
ピック委員会)のHPによると、韓国は1948年のロンドン大会から、夏季五輪に初参加した。
その後、東西冷戦という状況で米国や日本などとともに参加を見合わせたモスクワ大会(80年)を除き、すべての大会に出場している。
メダルへの関心も高く、リオデジャネイロ五輪(2016年)では金9個を含む21個のメダルを獲得したにもかかわらず、韓国メディアでは「国民の多くを失望させた」とする記事まで登場した。
韓国事情に精通するジャーナリストの室谷克実氏は「韓国では五輪への注目度が高く、金メダルを獲得した選手は『兵役免除』になるなど、一生食べていける。東京五輪では、北朝鮮との南北統一チームでの合同入場も決まっている。仮に20万以上の賛同が集まっても、大統領府が『東京五輪を辞退する』と表明することは考えられない。選手たちも出場したくてしようがない。ボイコットはあり得ない。日本政府の輸出管理強化に対し、韓国政府が有効な対策が取れないことへの国民的焦りの表れだろう」と分析している。
大韓体育会(韓国オリン
政府が韓国への半導体材料の輸出規制を強化したことをめぐり、山梨県の長崎幸太郎知事は9日の記者会見で、「何を言ってるんだ」と韓国側の反発を批判した。
長崎知事は8日、韓国の不適切事案とされる内容を日本側が公表すべきだと韓国大統領府関係者が発言したとするニュース記事をリツイートする形で、「『許可』というのは原則禁止を解除する行為。いわば特権なので、許可を受けた方が『適切に行っていること』を証明する義務がある。さすがこの国には、法もロジックも存在しないことがよく分かる」などと投稿した。
会見で知事はツイートについて問われ、「知事ではなく一政治家としての思い」と断った上で「国会議員時代も含めて、日韓関係の改善に相当力を注いできた」と、韓国大統領府を訪れた経験などを紹介。
「慰安婦問題などで前進してもいつの間にか元に戻ってしまった。徴用工問題は韓国が日韓請求権協定で解決したと言っていたにもかかわらず合意をほごにした。その態度は受け入れられない」と語った。
輸出規制強化に対する韓国側の反応について「自分たちが適切に条件を履行しているのかを、許可を受けた側が主張するのが当たり前で、何を言ってるんだという思いはある」と述べた。
世耕弘成経済産業相は9日の閣議後の記者会見で、韓国への半導体材料の輸出管理を強化したことに関し「輸出管理を適切に実施するための国内運用の見直しだ。協議の対象ではなく、撤回も考えていない」と述べた。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が求める措置撤回と2国間協議を拒否した形だ。
世耕氏は韓国側から今回の見直し措置について「事実確認を求められている」ことを明らかにした上で、「事実確認について説明することは、やぶさかではなく、事務レベルで対応したい」と語った。説明の時期については「調整する」と述べるにとどめた。
今回の措置は、軍用品に転用が可能な技術の輸出について「韓国に実施してきた優遇措置をやめて、他国と同様の輸出管理上の扱いに戻す内容だ」と説明。安全保障上の理由のため、「世界貿易機関(WTO)違反ではない」と改めて強調した。
今後の対応について世耕氏は、「韓国の対応次第だ」と指摘。その上で「(対象品目を)拡大する可能性もあれば、緩くすることもあり得る」と語った。韓国はWTOの紛争解決手続きの一環として2国間協議を要請する可能性もあるが、「WTOの2国間協議の要請を受けた事実は現時点でない」と述べた。
日本政府は半導体製造に必要な「フッ化水素」など3品目を韓国に輸出する日本企業に、3年間有効な許可を優遇的に与えてきた。だが、今月4日から取引ごとに審査し輸出の可否を判断するよう厳格化した。