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韓国統一地方選から一夜明けた5日、大統領府(青瓦台)報道官は選挙結果についてこうコメントした。
選挙結果そのものは、朴槿恵(パククネ)大統領を支える与党セヌリ党にとって、手放しで喜べるものではない。
重要地域のソウル、釜山などの主要8市と9道の計17首長選では、与野党比率は選挙前の9対8から8対9と逆転。ただ、与党の選挙対策関係者は「悪い負け方ではない」という。
世論調査で、「劣勢」と出ていたソウル近郊の仁川市と京畿道でいずれも勝ったからだ。
仁川は、4月16日に沈没し300人以上の死者・行方不明者を出した旅客船「セウォル号」の出港地である。また京畿道には、修学旅行中に同船に乗り合わせて事故に遭った檀園(ダンウォン)高校がある。仁川も京畿道も、相次いで露見した当局の失態により、政権批判の発信地となっていた。加えて、遺族らを反権力闘争に扇動しようとする労組など左派系の強い地域-。
与党側は大敗を喫しかねなかった。
任期を3年半以上残しての「レームダック(死に体)化」という最悪のシナリオもちらついていた朴政権と与党セヌリ党の幹部には、2つの地域で勝利したことで「当面、危機を回避した」(大手調査機関)との認識が広がっている。
□ □
与党が選挙で最後にすがったのは、沈没事故直前に支持率7割を誇っていた朴氏の根強い個人人気だった。「選挙の女王」とも呼ばれていた。
今回の選挙はもともと、朴政権の中間評価の意味合いがあった。しかし沈没事故で韓国社会のずさんな安全認識と、無責任な体質、緊急時に機能しない危機管理機関、社会のいたるところにある公務員の癒着、汚職体質-といった醜悪な部分が次から次へと露見した。
悪材料が重なって朴氏の支持率は下がり、5割さえも下回ったが、それは、途中から「これだけの逆風の中でも、まだ5割近くの支持があるのか」という驚嘆に変わった。
与党側は選挙戦最終盤で、幹部自ら「朴大統領を助けてください」と演説。「朴槿恵に任せて改革を続けるのか、改革を中断するのか」という構図に切り替え、有権者に選択を迫った。左派系紙の幹部は「改革の中断や政治の不安定化を嫌う保守のバネが働いた」と分析している。
朴政権最大の不安要素として指摘されてきたのが、「不通」という表現で批判されている朴氏の「意思疎通能力」の低さだ。
朴氏は沈没事故で更迭した鄭●(=火へんに共)原(チョンホンウォン)首相の後任を早期に決め、改革イメージを押し出す意向とみられる。しかし鄭氏の後任としていったん指名した元最高裁判事の安大煕(アンデヒ)氏が、退官後、わずか5カ月で16億ウォン(約1億6千万円)もの弁護士報酬を得ていたことが判明、指名を辞退した。
これは朴氏が人事や政策の構想を相談せず、「自分の印象を書き留めたノートに基づいて行う悪弊を脱していないことを証明している」(2012年大統領選当時の側近)。結局、朴氏の政権運営の成否は、自身の政治スタイルを変えられるかにかかっている。(ソウル 加藤達也)
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朴槿恵政権2年目の中間評価となる統一地方選で、政権を支える与党セヌリ党はソウル市長選など主要首長選で野党の後塵(こうじん)を拝した。旅客船沈没事故などで、かつての高支持率を失う中、朴政権の反日姿勢は続くのか。対日関係の行方は。朴政権の今後を占う。