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日本を取り巻くアジア情勢の変化 世界の情報を辛口で伝える情報部ログ 世の中はめまぐるしくかわっていきます その中で取り残されない為の情報をお伝えします Changing Asian situation surrounding Japan Tell the world information by information Department log The world is rapidly mood In order not to lag behind in its informed the <a href="https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=3BDZ68+72TSYA+4IRQ+5YJRM" rel="nofollow">なんでもまとめてお売りください!宅配買取「いーあきんど」</a> <img border="0" width="1" height="1" src="https://www19.a8.net/0.gif?a8mat=3BDZ68+72TSYA+4IRQ+5YJRM" alt="">
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今回の衆院選(22日投開票)に関する各社の世論調査によると、小池百合子代表(都知事)が立ち上げた希望の党の勢いは完全に失速し、過半数の233議席を狙うどころか、公示前の57議席を割り込むかもしれないという。
民進党との合流の際、政策が一致しない候補者を「排除」すると小池氏が発言したことが失速原因の1つである。だが、「改革保守」で「改憲政党」を目指すうえで、極端な左派や護憲派を排除することは、代表の当然の義務だ。
「排除」という強い言葉が、太古の昔から「和をもって尊しとなす」という日本人の感性に反したのだろう。
カタカナ言葉をちりばめた小池氏の演説は、英語には自信がある私にも意味がよく分からない。具体的な政策論をわざと語らず、けむに巻こうとする不誠実な印象だけが残る。助言できる優秀な側近はいないのか。
小池氏から「排除」された人々は、枝野幸男元官房長官を代表として立憲民主党を設立した。50議席以上を獲得して野党第一党になる可能性があるという。
いつも反体制に肩入れする左派メディアは、枝野氏と立憲民主党を「筋を通したリベラル」などと持ち上げている。都知事選や都議選では、小池氏と都民ファーストの会を持ち上げたが、今回は見事に手のひらを返した。
手元にある立憲民主党の某候補のビラには「信念を貫く。」と書かれているが、民進党の希望の党への合流は満場一致で決定した。その場で反対しなかったのだから、喜んで合流するつもりが排除されたということだ。この事実を逆手に取り、日本人の「判官びいき」の情緒に訴える作戦へと利用したのか。
政治は情緒ではなく、事実で判断すべきだ。
立憲民主党の主要メンバーを見ると、菅直人元首相や枝野氏、辻元清美元首相補佐官、福山哲郎元官房副長官、長妻昭元厚労相など、あの民主党政権、菅政権の中枢だった面々である。
彼らは「信念を貫いて」民主党政権の政策を作成した。それを3年3カ月にわたって実行した結果、日本経済はガタガタになり、日米間の信頼も地に落ちた。5年前の日本は、彼らが「信念」を貫くほどに国益が毀損(きそん)した。立憲民主党の支持者はもう忘れたのか。それとも彼らが望む「信念」は、日本の国益を害することなのか。
政治家、言論人、一般人を問わず、二言目には「安倍退陣」を主張する人々は見苦しい自分の姿を鏡で見るべきだ。
命がけで自分を守る存在に感謝や尊敬せず、文句ばかりいいながら代わりを務める能力も覚悟もない。中二病は中学時代に、左翼への憧憬は30代に完治させないと恥ずかしい。
これまで膠着状態を続けてきた北朝鮮問題が、徐々に動き出す可能性が出てきた。
まず、10月18日から中国共産党大会が始まることが挙げられる。党大会までは北朝鮮状況の急変を避けたいと考えてきた中国は、石油禁輸など、北朝鮮を追い込む措置に反対してきた。だが、党大会が終われば、中国の姿勢が変化する可能性が出てくる。
そして、米トランプ大統領が11月5日から日本、韓国、中国を訪問する。これを機に、北朝鮮を取り巻く環境が変化する可能性がある。
● 膠着状態に陥っていた 北朝鮮の核ミサイル問題
そもそも北朝鮮が核ミサイルを放棄できないのは、本連載でも何度か言及してきたように、それが自国の生存にとって不可欠だと思い込んでいるためである。
中でも金正恩・朝鮮労働党委員長は、リビアを反面教師としている。リビアのカダフィ政権は、欧米と合意して核開発を放棄し、いったんは米国の「テロ支援国家」指定から除外された。にもかかわらず、「アラブの春」を契機として反政府運動が起きるや欧米諸国は反体制派に加担し、政権は崩壊し、カダフィは殺害されてしまった。
北朝鮮では、金正恩委員長の父である金正日政権から、国民生活を犠牲にしてでも核開発を進めており、金正恩委員長は、残忍な公開処刑を実施するなど恐怖政治を徹底させることで、核ミサイル開発に対する反発を抑え込んできた。
それを、今さら核開発を放棄してしまえば、国内で反体制運動が起き、結果としてリビアのように政権が崩壊してしまうかもしれないと考えていても不思議ではない(そういう意味で、トランプ大統領が打ちだしたイランとの核合意の破棄警告も、今やるべきではなかった)。
北朝鮮が核ミサイル開発を決してあきらめない場合、トランプ大統領は「北朝鮮を完全に破滅させる」と強硬姿勢をちらつかせて、金正恩を引きずり下ろそうとしている。ただ、軍事行動によって金正恩政権を排除する場合には、北朝鮮の報復攻撃によって日本や韓国に多大な犠牲が生じる危険性がある。マティス国防長官は仮に軍事行動を起こす場合には、「ソウルに危険を及ぼさない方法」で行うと述べ、北朝鮮に圧力をかけている。
こうした発言などに鑑みれば、恐らく米軍が軍事行動を起こす場合には、核・ミサイル関連施設への限定攻撃ではなく、最初の一撃で北朝鮮を破滅させる大規模な軍事行動になるのではないだろうか。そのためには原子力空母、原子力潜水艦、戦略爆撃機をはじめとする兵力が朝鮮半島周辺で整ってからということになるかもしれない。
ただ、現時点では解決の出口が見つからない膠着状態に陥っており、中国の動向や、日韓中を訪れた際のトランプ大統領の言動に、いやが応でも注目が集まるというわけだ。
● 中国を動かす素地は 整いつつある
軍事行動に突入することなく北朝鮮を変革させる、あるいは軍事行動となっても犠牲を最小限にするためには、中国が「北朝鮮を見限る」ことがポイントとなる。
国際社会は今、北朝鮮に対する制裁を強化し、外交関係を縮小している。スペイン、メキシコ、ペルー、クウェート、イタリアが北朝鮮大使を追放した他、北朝鮮との貿易関係を停止した国や、北朝鮮労働者の労働許可の更新を認めなくなった国もある。
米国が、北朝鮮と取引のある外国金融機関を金融システムから排除したことで、中国の大手銀行も北朝鮮との取引を停止。また中国は、米国が北朝鮮と取引のある企業を制裁対象としたことに伴って、北朝鮮企業との合弁を解消させている。
こうした締め付けを行っても、北朝鮮の意図が、米国に核保有を認めさせることであれば、核ミサイル開発を放棄するとは考えにくいが、中国が北朝鮮を支援する“コスト”を高めることは間違いなく、中国の北朝鮮支援を思いとどまらせる上では役に立つかもしれない。
それでなくても北朝鮮は、BRICS首脳会議など、中国が主催する重要行事に合わせミサイル発射などの挑発行動を繰り返している。そうした流れから、中国共産党大会に合わせても、何か挑発をする可能性がある。中国は、こうした北朝鮮をかばうことに、へきえきとしているのではないだろうか。
北朝鮮高官は、「ロシアはいろいろ助けてくれる。中国とは以前は血盟関係にあったが、今は敵だ。習近平国家主席の変節が原因だ」と述べたようでもある。中国の変節が進んでいる今、北朝鮮に変化を求めるよりも、中国に北朝鮮に対する対応の変化を求めた方が、解決の道を早く探ることができるのではないだろうか。
ただ、その際に避けなければならないのが、北朝鮮が先制攻撃という“暴挙”に出る危険性を高めることである。
トランプ大統領の「北朝鮮を完全に破滅するしかない」との国連演説は、金正恩委員長をして「史上最高の超強硬な対応措置を断行することを慎重に検討する」と言わしめた。それに続いて李容浩外相は、「恐らく太平洋上で過去最大級の水爆実験を行うことになるのではないか」と発言したが、こうした応酬によって北朝鮮の暴発を招くことは避けるべきだ。
とはいえ、日本を始めとする各国が戦争を恐れて、北朝鮮に対し核ミサイル保有を認める余地があると思わせれば、一層の核ミサイル開発を招く可能性もあるだけに、対応は極めて難しい。
事実、北朝鮮が「米国の行動をもう少し見守る」とトーンダウンすると、トランプ大統領は「金正恩は非常に賢明で道理にかなった判断」と述べて、北朝鮮に対する圧力を撤回したが、米国が戦争をやる気がないとの印象を与え、さらなる核実験やミサイル発射へとつながった。
また、韓国の文在寅大統領が進める、国際社会の連帯や日米韓の連携を乱すような行為も、北朝鮮の勢いを助長させている。
文大統領は、国連を通じた北朝鮮に対する人道支援案(ユニセフに350万ドル、WFPに450万ドル)を発表した。先の軍事当局者会談、赤十字会談といい、今回も日米両国政府とは何ら事前の協議もなくこのような提案を行った。
北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射には3億ドルを要すると言われる。国民の福祉も顧みずに、ミサイル発射を続ける金正恩政権に800万ドルを人道支援しても、救えるのは氷山の一角である。
現在の金正恩体制を変えなければ、北朝鮮国民に対する根本的な支援にはなり得ないということを理解すべきであり、軽はずみな行為は、国際社会の結束を乱し、北朝鮮を利するだけだということを肝に銘ずるべきである。
今、文大統領がするべきことは、トランプ大統領との信頼関係を強固にし、米国が北朝鮮に対して強硬な対応に出ようとするときに、韓国として考える最善の道を説得できるようにすることであるが、文大統領はこれとは全く逆のことをしているように思えてならない。
● 中国を味方につける鍵は 体制崩壊後の影響力保持
そうした中国を味方に引き込むために最も重要なことなことは、金正恩政権崩壊後の北朝鮮の在り方について合意を得ることである。
中国は、北朝鮮が混乱に陥った場合、中朝国境周辺に住む朝鮮民族の動向が不安定になり、また、在韓米軍や韓国軍が中朝国境付近まで北上し、緩衝地帯がなくなることを恐れている。こうした懸念にどう応えるかが重要なポイントだ。
そのためには、中国にとっては、北朝鮮に対し、何らかの影響力を残すことが次善の策ではないだろうか。仮に、米国が北朝鮮政権を倒すことが不可避となれば、中国の影響力の保持を認める代わりに、応分の役割を果たすことも求めることができる。今の中国と北朝鮮の関係からみて、こうした動きが北朝鮮に筒抜けになることはないであろう。
もし、中国が日米韓と行動を共にするとなれば、軍事行動に突入した場合、中国の人民軍は豊渓里(プンゲリ)に入り、核施設を押さえるとの観測があり、それだけでも北朝鮮の核による報復の危険性をかなり抑えられる。
さらに、中国が主導権をとって金正恩政権の転覆を図れば、日米韓の犠牲は大幅に縮小されよう。また、中国が反北朝鮮の姿勢を鮮明にすれば、北朝鮮人民軍や労働党の中から金正恩委員長に対する反逆の動きが広まり、国内でクーデターが起きる可能性だってある。
このように考えていくと、いかに中国を動かして金正恩政権転覆を図っていくかが、北朝鮮問題解決の最大の課題だと言える。
日本の次期政権は早急に 対策を検討すべき
こうした北朝鮮の脅威から日本を守るためには、イージスアショアの早期導入や敵基地攻撃能力の確保が不可欠であるが、その配備にはもう少し時間がかかるであろう。総選挙の末に誕生する新政権には、イージス艦の最適な配置や、米軍との緊急時の協力体制の確認など、現時点ででき得る最大限の対応が求められている。
さらに、北朝鮮が崩壊した場合の難民対策も考えておかなければなるまい。中国は、中朝国境付近で北朝鮮の難民を押し返すであろうし、韓国との軍事境界線に多くの地雷がある。となると、北朝鮮の難民の多くは、海上から脱出するのではないか。最善の策としては、海岸線沿いに避難民キャンプを設け、北朝鮮の市民をできる限り北朝鮮の領内にとどめた上で、食糧など生活必需品を送ることが基本となるだろう。
また、韓国滞在の日本人の退避も大きな課題で、基本はできる限り戦闘が始まる前に退避させることである。戦闘前であっても日本政府が退避勧告を出せば、世界各国も追随するため、避難者で混乱を極め脱出は難しくなるかもしれない。したがって、その前に各自の判断で脱出することが賢明であろう。
いずれにせよ、安倍政権は解散総選挙の理由として、北朝鮮危機への対応も挙げている。北朝鮮に対して制裁を強化し、北朝鮮に圧力をかけることで対話に導き出し、問題の解決を図るというのが、多くの人々の期待である。
もちろん筆者もそう期待する。しかし、問題はそうならなかった時である。筆者が本稿で論じたことが現実とならなければ喜ばしいが、北朝鮮の状況を考えると、悪いシナリオも想定し準備しておくことが肝要だと思えてならない。
(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)
核やミサイル開発で、毎日のようにニュースを騒がせている、北朝鮮。しかし、北朝鮮の脅威はすでに、あなたの隣に迫っているかもしれない……。日本にも数多く潜伏しているとされる北朝鮮の工作員たち。彼らはいったい何者で、どんな生活を送っているのか。元工作員たちへのインタビューを重ねてきた報道記者・作家で『スリーパー 浸透工作員』の著者でもある竹内明氏が、自らの目で見、直接話を聞いた、彼らの実像を語ります。
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北朝鮮の元工作員である金東植(キム・ドンシク)氏は、彼らがどのようにして対象国を出入りしているのかを、生々しく語ってくれた。工作員たちが対象国に潜入し、その社会に溶け込むことを「浸透」、母国・北朝鮮に帰国することを「復帰」と呼ぶ。ここではまず、金元工作員が語った、極秘出国当日の様子を描いてみよう。
……夜、11時。土を盛っただけの墓地の茂みの中に、金東植は潜んでいた。月明かりのない、新月の夜。坂を登って来る人影が見えた。足音はしない。男だ。二人いる。一人がついてこいと手を動かした。
金工作員は、老身の女工作員・李善実(イ・ソンシル)を背負って二人の後を追った。男は松の木の下を指差した。金工作員が近づくと、人数分の潜水服が置いてあった。
その場で潜水服に着替えた。
再び暗闇を歩き始めた。田んぼを抜け、李善実を背負って歩き続けた。ここで誰かに見られれば、全てが終わりだ。
海の匂いがする。道路を渡り、階段を降りると、目の前は海岸だった。波打ち際に黒い影があった。半潜水艇だ。海水に腰まで使って乗り込んだ。金工作員の任務は、その瞬間、完了した――。
「当時80歳近かった高齢の李善実を『復帰』させる作戦は難しい任務だった。お年寄りは早く歩けないし、発見されれば逃げることは不可能だ。『浸透』と『復帰』は同じ場所で行うのが原則なのだが、私が浸透した済州島は遠いから断念して、江華島から復帰することにした」(金元工作員)
北朝鮮の権力序列で19位にまで上り詰めた伝説の工作員、李善実を無事、平壌に連れ戻すことは、北の工作機関にとって極めて重要な作戦だった。その任務を与えられたのが、1990年当時、20代だった金東植元工作員だった。
ことは慎重に運ばれた。実行の2ヵ月半前である8月には、「10月中旬復帰決行」と決められた。高齢の李善実に配慮して、浸透地点である済州島からの復帰を断念。ソウルから1時間ほどの江華島を復帰地点に選んだ。
9月に半潜水艇の接岸地点を決め、金元工作員は現場に下見に行って、警備の状況、深夜の人や車の通行状況、接岸地点の岩場の状況などを確認し、本国に報告した。その上で迎えに来る作戦部の案内員との接線地点(接線とは、味方の工作員と接触すること)を墓地に決めたという。
この作戦では工作母船は使わなかった。半潜水艇が北朝鮮西岸、黄海南道・海州(ヘジュ)を出発、通常の2倍近い、7時間もの時間をかけてやって来た。
半潜水艇は通常、40ノットのスピードまで出せるのだが、速度をあげれば、白波が立つ。それを避けるために、ゆっくりとやって来たのだ。
「浸透、復帰に一番、適しているのは、月の出ていない新月の夜です。闇夜ならば発見されにくいですからね。
迎えに来る案内員は、当時は労働党作戦部の浸透復帰の専門の工作員たちでした。このように工作機関の中でも役割分担がはっきりしていました」(金元工作員)
復帰のときには大事なポイントがある、と金工作員は言った。
「意外に思われるかもしれないが、『お土産』です。江華島の接線地点に行く前、私たちは大型スーパーによって、ウイスキーやブランデー、タバコを買いました。案内員たちに渡すためです。
やはり、お土産をもらえば、仕事に手を抜かない。機嫌よく仕事をしてもらうためには必要なことです」(金元工作員)
金元工作員はこうして、伝説の工作員・李善実を無事、帯同復帰(仲間とともに帰国させること)させ、国旗勲章一号と共和国英雄称号をもらったという。
準備を重ね、新月の夜を選んで、海岸の復帰地点から北朝鮮へ――。こうした手法は、日本人拉致にも使われていたと、金元工作員は明かした。
「日本人を拉致していくのにも、工作員の復帰と同じ手法が使われていました。街中で拉致するのではなく、大抵は海岸線にいる人を拘束して、半潜水艇に乗せていました。そのまま北朝鮮に連れていくこともあったし、沖合で大型の工作母船に乗せかえて連れていくこともありました。
韓国は軍や警察の警戒が強かったのですが、日本は海上保安庁や警察の警戒も甘いですから、はるかに簡単でした。特に70年代や80年代は甘かった。無防備といってもいい。だから拉致が行われたのです。韓国と比べれば、日本は工作員にとって天国です」(金元工作員)
日本が北朝鮮工作員たちにとって、気軽に潜入できる場所だと考えられていたことは別の場所でも耳にしたことがある。私が取材した、北朝鮮工作員と接触した経験のある在日朝鮮人男性も「北の工作員は、『日本にタバコを買いに来た』と軽口を叩いていた」と証言していた。
金元工作員は、対南工作(韓国国内での扇動工作)を専門としたので、日本人拉致には直接、関わってはいない。だが、拉致を実行した工作組織の先輩や同僚たちから、彼らの手法についての話を聞いていたという。
「不意に襲い掛かられて、世の中に抵抗しない人はいないでしょう。だから、強力な麻酔剤を持参して、布にふくませて鼻に押し当て、意識を失わせた後、袋に入れて運んでいたのです」(金元工作員)
「日本は工作活動の環境が整っている。警戒が甘いだけではなく、朝鮮総連や民団の中に工作補助をさせられる人間もいるし、日本人になりすましている我々の工作員もいる。外見が似ているので怪しまれることもない」(金元工作員)
日本に浸透した工作員にとって一番必要なのは、一時的な定着先(隠れ家)と活動資金である。これを在日朝鮮人から提供を受けるというのである。独り暮らしは怪しまれやすいため、できれば住宅の一室などを間借りするのが望ましいとも金元工作員は話した。
だが、在日朝鮮人の人々が、誰もみなもろ手を挙げて工作員を歓迎するわけがない。平穏な暮らしを送っているのに、見ず知らずの工作員に協力などしたくないという人のほうが普通だろう。
それを見越して、工作員は周到に準備を重ねる。ターゲットになるのは、北朝鮮に親族がいる「土台人」と呼ばれる在日朝鮮人たちだ。工作員は彼らの自宅を訪問する。そして、こんなことを言うのだ。
「平壌にいるお兄さんの家族にお会いして来ました。よろしくとおっしゃっていました。私に協力していただければ、お兄さんの一家は末長くお幸せです」
工作員は1枚の写真を見せる。写真には兄の一家が写っており、その中心に、目の前にいる工作員が一緒に写っているではないか。見せられた本人は青ざめるだろう。
これは土台人に対する、典型的な脅迫だ。工作員は「協力しなければ、兄一家は不幸になる」と暗に脅すわけだ。
私が入手した公安警察の記録には、他にも土台人に対する、様々な脅迫のパターンが記されている。その一つが、北へ帰った母親の「声」を携えて工作員がやってくるケースだ。
記録によれば、こうだ。公安警察が、ある在日朝鮮人男性の自宅を捜索した際、1本のテープを押収した。そこには、老女の声が録音されていた。
<……お前に会えなくて悲しいんだよ。1日も早く会いたい。私はお前の顔さえ見れば死んでも、心残りはないよ。録音を持った先生が来られたら、もてなしをよくしなさいよ。先生を接待してくれたら私がどんなに良くなるか……>
北朝鮮にいる母親の声だった。このテープを聞かされて、男は「補助工作員」になることを誓約させられ、工作員に住居を提供することになったのだ。
工作員たちに狙われるのは、パチンコ業や金融業など、日本で事業に成功した裕福な在日朝鮮人である場合が多い。衣食住の面倒を全て見させた上、中には、自宅を改築させて、道路から見えない2階の1室を提供させたり、敷地内に大型犬を2匹放し飼いにさせていたりしたケースもある。
在日朝鮮人が、北朝鮮工作員による脅迫の被害者となっているケースがあることも、忘れてはならないだろう。
こうして「定着先」を確保した工作員たちは、次に自らの身分を「合法化」する。その代表的な手法が「背乗り」(はいのり)だ。端的に言えば、日本人や在日朝鮮人の身分を、乗っ取るのである。
背乗りは、もともと旧ソ連の諜報機関KGB(現在のSVRの前身)が得意としていた手法だ。対象国の国籍を持つ人間に成り代わって、社会生活を営みながら、諜報活動を展開するという手口である。
北朝鮮の工作機関は、歴史的な経緯から、KGBをモデルとし、そのスパイ技術を学んできた。旧ソ連の工作員たちが、アメリカやヨーロッパに浸透する際、同じ白人であるから見分けがつかないということを利用したのと同様、北の工作員たちは日本人とは一見して見分けがつかないことを武器に、日本人に成りすますのだ。
では、工作員に身分を奪われ、成り代わられてしまった人はどうなるのか。一つには、拉致されて北朝鮮に連れていかれているケースがあると考えられている。だが一方では、殺害され、闇に葬られてしまうこともまた、多々あると言われている。
標的にされるのは、親類縁者がなく、天涯孤独な身の上の人であることが多い。次回は、こうした背乗りの実例と、日本や韓国など自由な社会に浸透した北朝鮮工作員たちが抱える心の葛藤について取り上げたい。
中国共産党が規律違反で調査している重慶市トップの市党委員会書記だった孫政才氏=党政治局員=について、党籍剥奪にする方針を固めたことが24日分かった。党関係者が共同通信に明らかにした。
孫氏は次世代指導者の候補とみられていた。習近平国家主席が主導する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を利用した企業不正に関与した疑いがあり、習氏が激怒したとされる。
第19回党大会直前に開かれる10月11日からの第18期中央委員会第7回総会(7中総会)で処分を正式決定し、司法機関に送る見通し。習氏は処分を象徴に掲げ党大会でも反腐敗闘争の継続を訴え、一層の権力集中を図る構えだ。
関係筋によると、孫氏は重慶市トップに就任後、「一帯一路」沿線国の金融決済ネットワークづくりを手掛ける中国のIT企業に肩入れ
重慶市の国有企業を使い、企業側に不正に資金提供した疑いが持たれている。女性関係を巡る規律違反も指摘され、知人女性と関係が深い企業に利益を図る目的での商取引を主導していたとの情報もある。 (共同)