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香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑で10日に逮捕された香港の民主活動家、周庭氏(23)が11日夜、保釈された。
周氏は保釈後、警察署の外で記者団の取材に応じ、日本のメディアには日本語で対応。「これまで香港の社会運動に参加してきて4回逮捕されたが、最も怖かった」と語る一方で、拘束中は「(欅坂46の)『不協和音』という歌の歌詞がずっと頭の中に浮かんでいました」と明らかにした。
♪絶対沈黙しない 最後の最後まで抵抗し続ける―。同調圧力に屈せず、自らの信念を貫く姿を歌った同曲が、2014年の大規模デモ「雨傘運動」で注目を集め“民主の女神”と呼ばれる周氏の支えとなった。
周氏が「不協和音」を拘置所内で思い浮かべたのはこれが初めてではない。Webマガジン「wedge infinity」のインタビューでは17年に30時間警察に拘束された際、拘置所内で同曲を歌っていたと語っている。昨年、自身のツイッターにも「『不協和音』を聴く時、なんとなく香港の状況を思い出しますね…」などと同曲に共感する書き込みをしていた。
中学の頃から日本のアニメやアイドルに夢中となり、独学で日本語を習得。日本人向けのツイッターも開設し、47万人超のフォロワーを抱える。文章は全て日本語で記されている。日本でトークイベントへの参加や日本記者クラブでの会見も行い、日本語で応じていた。
今回の逮捕後、日本人が周氏を解放してほしいという思いから「#FreeAgnes」(アグネスは周氏の英名)などのハッシュタグを作成したことを弁護士から聞いたといい、「いろんな愛、いろんな支持をいただきました。本当にありがとうございました」。日本からの支持に感謝の意を示した。
今後の活動については、「これからは国際社会との連携に参加できないが、引き続き香港人の一人として、香港の民主化運動、民主主義、自由のために戦っていきたい」と明言。「不協和音」に力をもらい、これからも制約の範囲内で香港政府と戦う姿勢を見せた。
◆周 庭(しゅう・てい)1996年12月3日、香港生まれ。23歳。2012年、反国民教育運動に民主派学生運動組織「学民思潮」のメンバーとして参加。14年、香港特別行政区へのデモ活動「雨傘運動」に学民思潮のスポークスパーソンとして参加。16年、「香港衆志(デモシスト)」を創設、初代副事務局長に就任。19年、逃亡犯条例改正に反対する抗議活動で、デモ隊が警察本部を包囲したことに関与した疑いで逮捕され、今月5日に、有罪判決が言い渡されていた。
アレックス・アザー米厚生長官と、台湾の蔡英文総統は10日、台北市内の総統府で会談した。アザー氏は新型コロナウイルスを早期に封じ込めた手腕を高く評価し、ドナルド・トランプ大統領の台湾に対する「強い支持」を伝達した。米台が固い結束を世界にアピールしたことに対し、習近平国家主席率いる中国は猛反発している。
「トランプ大統領の、台湾への強い支持と友好のメッセージを伝えに来ることができ、光栄だ」「(台湾の新型コロナ対策は)台湾社会・文化の透明性や民主主義の価値のたまものだ」
アザー氏は注目の会談でこう語った。
蔡氏は、アザー氏の訪台を「台米にとって重要な一歩」と歓迎した。米政府によると、1979年に台湾と断交して以降、アザー氏は最高位の高官の訪台となる。
これに対し、台湾統一を狙う中国は反発した。
中国外務省の趙立堅副報道局長が同日の記者会見で「中国は米台当局の往来に、一貫して断固反対する」と不快感をあらわにしたうえ、軍事的牽制も仕掛けてきた。
台湾国防部(国防省)によると、10日午前、中国軍の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて一時、台湾側に入ったという。
アザー氏は会談で、先月30日に死去した李登輝元総統を「台湾の民主主義の父」とたたえ、哀悼の意を表明した。
実は、森喜朗元首相を団長とする日本の超党派の国会議員団は9日、訪台した。李氏の死去後、海外から派遣された最初の弔問団。一行は蔡氏との会談にも臨み、李氏の日台友好への貢献について感謝の意を伝えた。
台湾をめぐる一連の動きをどうみるか。
福井県立大学の島田洋一教授(国際政治)は「米国は、台湾を政治的にも経済的にも中国から引きはがそうとしている。アザー氏訪台をきっかけに、よりその動きを強めるだろう」「日本が超党派で台湾との絆を強めたことも、大いに評価できる」と語っている。
2020年4~6月期、韓国の国内総生産(GDP)成長率は実質ベースで前期比マイナス3.3%となり、22年ぶりの落ち込み幅を記録した。主な理由は、輸出が4~6月期に過去最大の減少を記録したことだ。
韓国経済にとって、輸出は頼みの綱ともいうべきエンジンである。1960年代後半以降、韓国経済は米国や中国などへの輸出を増やすことで成長を遂げ、内需が支えられた。逆に言えば、輸出が減少すると韓国の所得・雇用環境にはかなりのマイナスの影響が出る。近年、家計部門の債務残高が増えてきたことを考えると、輸出減少の影響は軽視できない。
今後、輸出にさらなる下押し圧力がかかり、韓国経済が一段と厳しい局面を迎える展開は否定できない。仮に、新型コロナウイルスの感染がさらに深刻化するとともに、米中の対立が先鋭化するようなことがあれば、韓国の実体経済と金融システムにはかなりの衝撃があるだろう。
韓国経済を考える重要なポイントは輸出の動向だ。言い換えれば、韓国経済は外需に依存している。輸出が増加基調にある場合、韓国の社会と経済に大きな問題が生じることは少ない。反対に、輸出が減少すると、韓国経済の不安定感は高まりやすい。
韓国経済にとっての輸出の重要性を確認するために、かんたんにその歴史を確認しておこう。1965年、故・朴正煕(パク・チョンヒ)政権下の韓国はわが国との国交を正常化し、日韓請求権協定を締結した。その中で日韓は過去の請求問題が最終的に解決されたことを確認し、わが国は韓国に総額5億ドルの経済支援を行った。
その後、サムスン電子をはじめとする韓国の大手財閥企業はわが国の技術を吸収し、世界経済の変化に合わせて汎用品を大量生産し、低価格で輸出するようになった。それが、輸出主導型の経済運営を支え、1964年に約5%だった韓国の輸出依存度(GDPに占める輸出の割合)は2012年に54%に達した。輸出依存度が高いため韓国の内需は厚みを欠く。
リーマンショック後も、韓国は中国の自動車需要などを一気に取り込み、比較的短期間で景気回復を実現した。現在、韓国の輸出依存度は40%程度に低下したが、15%程度であるわが国の輸出依存度などに比べるとその水準は高く、輸出が経済を左右する基本構造に大きな変わりはない。
問題は、今回も韓国が過去同様の景気回復を期待できるか否かだ。年初来の世界経済を振り返ると、新型コロナウイルスの感染拡大によって景気は一時大きく落ち込んだ。その後、4月中旬ごろに世界経済は底を打った。
ただし、7月に入ってから持ち直しのペースは鈍化している。その背景には、米中対立の先鋭化や世界的な感染の再拡大、および米国の経済政策への不安上昇などがある。感染の再拡大によって各国は自国内の要素に頼った経済運営を余儀なくされ、米中対立はサプライチェーンを混乱させるだろう。
世界全体で貿易取引は低迷、あるいは減少する可能性がある。現状、これまでのように韓国が輸出に頼って経済の安定と成長を目指すことは難しくなっていると考えられる。
もう1つ懸念されるのが家計部門だ。近年、韓国では家計の債務残高が増えた。データを確認すると、2012年以降、韓国の輸出は伸び悩み、経済成長率は3%前後に低下した。景気を支えるために韓国銀行(中央銀行)は基本的には緩和的な金融環境を重視した。
低金利環境下、家計や自営業者の借入が増えた。それが示唆することは、輸出主導による経済成長の向上が難しくなる中で、家計は金利の低下に支えられて借り入れを行い、日々の生活水準の維持を目指したことだ。中小企業などにも同様のことがいえるだろう。
朴槿恵(パク・クネ)前政権の経済政策も債務残高を増加させた。朴前政権は景気刺激のために不動産市場の活性化を重視し、住宅ローンの貸し出し規制を緩和した。低金利環境による“カネ余り”と不動産価格上昇への期待が重なり、多くの人が資金を借り入れて不動産を購入し始めた。
特に、政治と経済の中心地であるソウルのタワーマンションをはじめとしたマンション価格の上昇が鮮明となった。価格の上昇は不動産市場への投資資金の流入に拍車をかけ、“買うから上がる、上がるから買う”という強気心理が連鎖した。
金融機関は価格上昇が期待される不動産を担保にとって積極的に貸し出しを増やし、債務の積み上がりとともに首都圏の不動産価格は理屈では説明できないほどに上昇している。
また、文在寅大統領の経済運営も家計の債務増加の一因だ。文政権は経済成長率を大幅に上回るペースで最低賃金を引き上げ、人手不足が深刻化する中で労働時間の短縮を実行した。その政策は中小企業などの収益力を低下させ、雇用を喪失させた。若年層を中心に所得・雇用環境は悪化し、家計の債務依存度は追加的に高まっている。
端的に、2012年以降、韓国は中国経済の成長の限界や米中の対立先鋭化などによる潜在成長率(経済の実力)の低下を、債務に依存した消費などの維持などによって糊塗(こと)したといえる。それは持続可能な経済運営ではない。
現在、現代自動車の業績悪化やイースター航空の救済が難航していることを見ても、外需が雲散霧消した状況は韓国にとってかなり厳しい。
当面、韓国の輸出が増加に転じる展開は期待しづらい。韓国経済が景気後退に陥る中で輸出が減少基調となれば、家計の債務負担は増大するだろう。状況によっては、不良債権が増加し、金融システム不安などかなりの混乱が広がる恐れがある。
昨年末時点で韓国の民間(家計と金融機関を除く民間企業)債務残高はGDPの198%に達した。わが国の経験に照らすと、家計を中心とする韓国の債務残高は維持困難な領域に入りつつある。
1989年後半の資産バブル絶頂期、わが国の民間債務残高はGDPの200%に達した。1990年に入ると株価が急落し、1991年7月には不動産価格が下落し始め、資産バブルは崩壊した。その後、わが国経済は長期の停滞に陥った。中国でも民間債務がGDPの2倍近くに膨れ上がるにつれて成長率は鈍化し、債務問題が深刻化している。
日中の経験から示唆されることはGDPの2倍程度に民間の債務残高が達すると、経済と金融システムの不安定性が高まりやすいことだ。
韓国の場合、状況はさらに深刻と考えられる。家計部門の債務残高はGDP対比で96%、可処分所得対比で180%に達している。その水準は世界的に高い。
格安ドメイン名取得サービス『エックスドメイン』新型コロナウイルスの感染拡大によって韓国銀行は追加の利下げに踏み切り、金融政策は限界を迎えている。財政支出にも限度がある。政策発動余地が狭まる中で経済成長のエンジンである輸出が減少トレンドをたどる場合、債務リスクは追加的に高まるだろう。
1つのシナリオとして、ワクチンの開発が期待通りに進まないなどして世界的に新型コロナウイルスの感染が深刻化し、それと同じタイミングで米中の対立が先鋭化すれば、韓国経済はかつて経験したことがない混乱に陥る可能性がある。
そうした展開が現実のものとなれば家計を中心に債務残高は維持困難となり、バランスシート調整と不良債権処理というかなりの痛みを伴う対応が不可避となるだろう。
輸出が減少する中で債務残高が積み上がっていることを考えると、今後、韓国経済がより厳しい環境を迎える展開は排除できない。
【ソウル=名村隆寛】いわゆる徴用工訴訟で新日鉄住金(現・日本製鉄)に賠償を命じた韓国最高裁の確定判決を受け、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部が6月にとっていた日本製鉄への資産差し押さえ命令の「公示送達」の効力が4日、発生し、韓国国内の同社の資産の現金化(売却)手続きが可能となった。裁判所は原告側が求めている資産の「売却命令」の発出への検討を本格化させる。
日本製鉄は4日、「即時抗告を予定している」とのコメントを出した。
公示送達は裁判所のホームページなどに掲示されることで通知書類が被告側に届いたとみなすもの。6月1日に決定され、指定された期限の4日午前0時が過ぎたため、事態は新たな局面を迎えた。
日本製鉄の韓国内での保有資産は、韓国鉄鋼最大手「ポスコ」と合弁で設立したリサイクル会社「PNR」の株式。原告側は約19万4千株を差し押さえており、うち約8万株が公示送達の対象だ。11日までに日本製鉄による抗告がない場合、差し押さえは確定する。裁判所が命令を出せば、原告は資産評価など株式売却に向けた次の手続きに進むことができる。
韓国最高裁は2018年10月に、日韓請求権協定(1965年)では元徴用工らの個人請求権は消滅していないとし、原告4人に計4億ウォン(約3700万円)の賠償を命じた。
日本政府は「個人請求権の問題は日韓請求権協定で解決済み」との立場をとっており、韓国政府に「適切な措置」を講じるよう強く求め続けた。日本製鉄は賠償支払いや協議を拒否してきた。
日本企業の資産現金化は「請求権協定に反し、企業に不当な不利益を負わせるもの」(日本政府)で、現実となれば、両国の関係のさらなる悪化は不可避だ。
日本製鉄のほか、韓国では三菱重工業や不二越を相手取った訴訟の原告も資産を差し押さえている。
中国共産党機関紙・人民日報系の新聞「環球時報」の胡錫進編集長は4日、在米の中国人記者が全員国外退去を強いられた場合、中国は在香港の米国人記者を標的にすることも含めて対抗措置を講じるとの見方を示した。
胡氏はツイッターへの投稿で「米国が中国人ジャーナリストのビザ(査証)を更新していないことを踏まえ、中国側は全ての中国人ジャーナリストが米国から退去せざるを得なくなるという最悪のシナリオに備えている」と指摘。「(このシナリオが)事実であれば、中国側は報復する。これには在香港の米ジャーナリストを標的にすることも含まれる」とした。
米政府は5月11日付で、中国人記者のビザの有効期間を90日に制限した。延長申請は可能とした。何人の中国人記者が影響を受けたかや、延長が認められない場合に何人が国外退去を強いられるかなどは明らかでない。
米中はここ数カ月、記者の扱いを巡り応酬を繰り広げている。米国は、中国政府や共産党の管理下にある複数のメディアを大使館と同等に扱うと発表し、米国内での事業活動を制限した。
中国も今年、ニューヨーク・タイムズ(NYT)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)、ワシントン・ポスト(WP)の米主要3紙の記者を事実上の国外退去とし、米国が中国人記者への追加措置に踏み切れば同等の措置で対抗すると警告している。