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戦闘機がミサイルの脅威から解放されるという新たな時代が近づいている。米空軍研究所は、レーザー兵器によるミサイル撃墜試験に成功したと発表した。装置は将来的に戦闘機に搭載される計画で、空中戦の様相は一変すると複数の米専門メディアが伝えている
♦︎高出力レーザーで迎撃
米空軍研究所は3日、レーザー兵器の実験的システムにおける初期段階のテストに成功し、ミサイルの撃墜に成功したと発表した。実験はニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場で4月23日に行われ、空中に発射された複数のミサイルを地上のレーザー装置から発射された高エネルギーレーザーが撃墜した。兵器は、米空軍が推進する自己防衛高エネルギーレーザー実証プログラム(SHiELD)の一環として、米ロッキード・マーティン社と共同で開発が進められている。
今回の初期試験では地上の装置からレーザーを発射したが、将来的には戦闘機への搭載が計画されている。小型化を進め、F-15戦闘機に搭載することが今後の目標だ。2021年までに戦闘機への搭載試験を行う計画で、実現すれば地対空および空対空ミサイルの脅威から戦闘機を保護することが可能になる。ロッキード社のほか、米ボーイング社および米ノースロップ・グラマン社がそれぞれ異なる部材の開発を担う。
空中戦の様相は一変
レーザー光線によるミサイル撃墜は、状況を一変するほど革新的な技術になり得る可能性がある、とデフェンス・ニュース誌は指摘する。空中発射レーザーの実現は米空軍の長年の悲願だった。実用化すれば、戦闘機の脅威であるミサイルを、既存の迎撃手法よりも大量かつ安価に破壊できる。ロッキード社のレーザー兵器担当者は、これまでは小型化が課題で実現が困難だったと語る。しかし、光ファイバーをレーザー媒質として利用するファイバーレーザー技術の進歩により、実現の目処が立った。消費電力は最小限に抑えられており、かつ廃熱量も小さい、と担当者は長所を強調している。
ポピュラー・メカニクス誌は、SHiELDが実現すれば空中戦にもたらす影響は甚大だと予測している。現状では、空対空ミサイルからの防衛手段としては、追尾ミサイル向けにダミーの熱源を散布するフレア、レーダーを阻害するチャフ、そして電磁波を妨害する電子攻撃の3タイプが主流となっている。これらはいずれも消極防御であり、ミサイルそのものに作用しないと同誌は指摘する。今回実験に成功したレーザー兵器は積極防御にあたり、従来手法とは一線を画する。具体的にレーザーがミサイルを無力化する手法としては、赤外線検知器の破壊により追尾性能を喪失させる、ミサイル本体や動翼を損傷させ飛翔不能にする、あるいはレーザー光の熱エネルギーで動力部または弾頭を発火させる、など多数のシナリオが考えられるという。
♦︎実用化へ一歩ずつ
ただし、今回の実験は成功したと伝えられているものの、その詳細は現時点で明かされていない。空軍研究所の発表文には「飛行中の複数のミサイル」を撃墜したと表現されているが、具体的にどのようなタイプのミサイルで試験を行ったかは不明だとエアフォース・マガジンは指摘する。
ディフェンス・ニュース誌はロッキード社の担当者に出力ワット数や射程などを質問したが、具体的な回答は得られなかった。また、米空軍研究所は詳細なテスト内容を公表していない。今回はまだ初期のテストが成功した段階であり、実戦配備にはしばし時間を要しそうだ。
香港の大規模デモが破壊活動に発展した。若者ら数百人が1日夜、立法会(議会)に突入して議場などを一時占拠したのだ。香港政府は徹底的に取り締まる姿勢を見せているが、突入を扇動した一部の若者が、親中派組織のメンバーに酷似しているとの未確認情報もある。政府にデモ制圧の口実を与えた過激行動の裏には、「謀略」が存在した可能性もありそうだ。
◇
「違法な暴力行為で憤りを覚える」
香港政府トップの林鄭月娥行政長官は2日未明、警察本部で開いた記者会見でこう述べ、警察当局が徹底的に追及する方針を明らかにした。
立法会への突入は1日夜、ヘルメットやゴーグル、マスクで顔を覆った一部の過激な若者が扇動する形で行われた。議場を占拠した若者らはスプレーで「林鄭は辞任せよ!」「拘束された学生を釈放せよ!」などと壁に殴り書きし、議長席などを破壊した。香港特別行政区の区章も黒く塗りつぶし、英領時代の旗が掲げられた。
これに対し、警察は2日未明、催涙ガスを使って立法会周辺から若者らを強制排除した。香港政府によると、今回の騒ぎで約60人が負傷した。
中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐる一連のデモは、学生らによって平和的に行われていた。このため、デモは広範な市民の共感を得ていたが、今回の暴力行為によって市民の支持が離れる恐れがある。
香港では過去にも民主化運動が、暴力化に伴って勢いを失った。2014年の「雨傘運動」では、一部の若者らが過激な行動に走って市民の批判を招き、運動が終息する一因となったのだ。
1日夜に発生した破壊活動を扇動した一部若者が、親中派組織のメンバーに酷似しているとの未確認情報もネット上で流れている。
中国事情に精通する評論家の宮崎正弘氏は「親中派組織が関与している可能性は大いにあり得る。雨傘運動で商店街を壊した際にも、親中派組織が混じっていたといわれている。親中派組織は『黒道(コクドー)』と呼ばれる中国マフィアとほぼイコールで、関わっていた可能性はある。画像を見る限り、一般の学生が多くいたが、扇動者に引きずられたのではないか。今回の突入は香港政府による弾圧の口実を強めた。破壊活動の中心人物は分からないということで、一般学生の指導者が拘束されて裁判にかけられる恐れがある」と話した。
大阪でのG20(20カ国・地域)首脳会合は、大成功のうちに終わった。ドイツとアルゼンチンでの前2回のG20が惨憺(さんたん)たる結果に終わり、世界主要国の亀裂を見せつけた後だけに、「対立から未来志向の協力」へ流れを変えられたのは、想定し得る範囲で最高の成果だった。
米中の通商交渉再開も、ドナルド・トランプ米大統領が南北軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と歴史的な会談ができたのも、G20での良いムードがあればこそ実現したものだ。
トランプ氏が、正恩氏との会談を突然に思いついたかどうかは不明だ。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は6月23日、一部専門家の見方として「トランプ氏が訪韓時に、正恩氏との会談調整を試みようとしているのかもしれない」と報じている。
ただ、ツイッターでの提案が、正恩氏にとってはサプライズだったのは間違いない。
ベトナムの首都ハノイでの米朝首脳会談決裂以来、正恩氏は国内で苦境に陥っていた。それを救い出す必要があったが、通常の交渉をすると、北朝鮮はあれやこれや策を弄してくる。だからこそ、迷う余地のないかたちで提案することは、ビジネスマンならではの賢明な交渉術であった。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、まったく知らされていなかったようである。何とか、トランプ氏の訪韓前に南北首脳会談を開いて、メッセンジャーをしたがったが、北朝鮮から「仲介役でもないのに、口を挟むな!」と罵られただけだった。
しかし、文氏は米朝対話においては好都合な大統領だ。
北朝鮮の利益を図るために行動するだけだから、独自の立場がないし、メンツを立ててもらうことにも拘泥しない。今回もトランプ氏が軍事境界線を越えるときにも姿を現さず、正恩氏と一緒に戻ってきたときにあいさつに現れたが、米朝首脳会談にも同席させてもらえなかったようだ。
5月のトランプ訪日時には、安倍晋三首相とのゴルフに駐日米国大使が参加を希望したがかなわなかったことが報道された。それと同じで、「北朝鮮のソウル駐在大使」的な自分の立場をよくわきまえて、邪魔しない好都合なキャラクターだ。
これから米朝の実務者協議が再開され、いい雰囲気になれば、正恩氏をワシントンへ招待したいというような提案もあったようだ。中国の習近平国家主席と同様、北朝鮮の独裁者といえども、トランプ氏を相手にしては掌で踊るしかないのである。
そして、そのトランプ氏の「最も信頼する友人」としての安倍首相の立場の強さも際だったものである。
米インド太平洋軍司令官デイビッドソンは、米国のインド太平洋戦略は、中国の攻撃性を抑止するためにあると、シンガポールのシャングリラ・ダイアローグの際に説明した。米国の対中競争政策は、米中両国が衝突するためではなく、逆に、衝突を回避するためのものであるというデイビットソン司令官の説明は、良く理解できる。中国の攻撃的行動はチェックする必要があり、そのために中国を抑止することが必要になる、それが対中競争政策だということである。
ここで問題となるのは、中国の攻撃的な振る舞いと長期戦略に基づく影響力の世界的拡大である。中国が米国の競争者であるとの考え方は、トランプ政権になり、2017年の米国家安全保障戦略等で打ち出され、米国の対中基本姿勢が大きく変わった。これは必要な政策であったし、歓迎すべき転換でもあった。
しかし、その戦略の実施は、トランプの個人的な手法や政治的計算等の関与を得て、トランプ化が進み、問題が大きくなっているように見える。福岡での G20蔵相・中銀総裁会議でも多くの国が自国経済に影響する中心的問題として、米中貿易交渉の成り行きに懸念を示したという。米中関係が世界各国の経済に大きなリスクになってきている。
中国に強制技術移転の廃止、知的財産権の保護や産業補助金の是正など必要な経済改革を要求することは当然である。しかし同時に、米国には、次のようなことも考えることが、重要な段階に至っているのではないだろうか。
(1)中国が米中貿易戦争を通じて、自主路線に進むことがないようにすること。相互依存の継続こそ、対中レバレッジの源と考えるべきだ。
(2)問題解決型外交と長期競争外交の均衡を取っていくこと。交渉は明確な目的をもって交渉する。個別の政策や措置を変えさせることが重要である。
(3)国際ルールに従って交渉すること。関税の乱用は問題であるし、合意も国際ルールと整合性があるべきだ。拘束された関税は戦後国際秩序の基幹の一つである。なおメキシコとの移民問題について米墨が合意し、米国が関税引き上げを停止したことにより、関税を振りかざしたトランプの瀬戸際圧力手法が一応功を奏したように見えるが、悪い先例を残すことになった。
(4)中国の振る舞いを変えさせること。4月の北京での「一帯一路」首脳会議で習近平は演説し、「ビジネスと財政の持続可能性を確保する」、「インフラ建設では国際標準にのっとって進める」と述べ、入札や資材調達の手法を見直すとの考えを示した。また、輸入拡大、余剰生産能力の削減、知的財産保護、人民元の安定化、外資参入を認める産業分野の拡大、産業補助金など市場をゆがめる「正当でない」政策の廃止にも言及した。この変化は、日本等の主張が功を奏したとも受け取れる。実際の行動を見る必要はあるが、良い兆候である。
シャングリラ会合での中国の魏鳳和・国務委員兼国防相の発言は、国防相の発言だとしても、余りに挑戦的、一方的、独善的であった。特に、台湾、南シナ海等の後半部分はそうである。こういう思考、レトリックからは早く卒業すべきだ。その観点から言えば、中国の貿易交渉者達は、随分忍耐強く、成熟してきたように見える。主張はともかく、交渉態度等は、妥協の余地がありそうである。国際社会での経験がそうさせているのだろう。
この中国の態度の相違は、経済では一時的に妥協しても、中国が考える「核心的利益」である台湾や南シナ海、チベットやウイグル問題では、決して妥協しないことの表れでもあろう。日本にとっては、尖閣諸島を中心とする南西諸島の防衛において、緊張が緩むことはなかなかない。
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