アフリカ第2の金生産国ガーナへ、一攫千金を求めて多くの中国人が渡り、違法採掘を行なっていることが問題視されている。2005年以降、現地入りした中国人の数は5万人と言われている。その多くが観光ビザなどで入国した後に、適切な法的手続きを済ませずに違法滞在や採掘、環境破壊などを行なっているというのだ。

 これに対して地元民からの反発が強まっているようだ。エスカレートするゴールドラッシュの波に、とうとうガーナ政府が動き出し、昨年から取り締まりを強化している。

 海外各紙はその様子とともに、両国の言い分を取り上げている。

【中国人を取り締まるも、事を荒立てたくないのが本音か】
 フィナンシャル・タイムズ紙によると、ガーナの法律では、同国民にのみ小規模作業の採掘許可が与えられ、外国人に許されているのは技術的支援や設備提供に限られている。これは、まずは国民に利益がいくことと、環境へのダメージを最小限に抑えるためだという。

 しかし、一攫千金を目指して奮い立った中国人は年々増加ガーナ人地主の中にも中国人による設備投資や手数料の支払いと引き換えに、彼らに採掘を許可する者も少なくないという。

 結果として、荒稼ぎをする過程で、環境破壊や中国人によるガーナ人労働者の不当な扱いなどが問題となってきたようだ。

 最近では、採掘現場の穴が崩壊しガーナ人労働者が死亡する事件が相次いでいる他、中国人がシアンや水銀などの有害物質を使用して採掘を行っていることで、水源汚染が進んでいるとガーディアン紙は報じている。汚染された水の浄化費用が高くなりすぎて、今では、地元住民へ安全な水を供給することができないまでに悪化しているという

 危機的な状況を見過ごすことができなくなったガーナ政府は厳しい取り締まりを行うようになり、今月に入ってからも100名以上の中国人を拘束したという。彼らは一人あたり2000ガーナセディ(約95,000円)の罰金が課せられ、近強制送還される見込だとガーディアン紙は報じている。

 一方で、主要貿易国であり、大規模な経済投資元でもある中国との関係を悪化させたくないのも本音だ。ガーナ政府は「これは反中国的な動きではなく、問題となっている違法採掘者のほとんどが中国人であるというだけだ」と述べているという。

【中国はガーナを非難。ネット上では炎上も】
 中国政府は、ガーナの中国人に対して現地の法律を順守するよう呼びかけている。一方、採掘に携わっていない無罪の人間までが摘発の対象になっていることを非難し、ガーナ政府に適切な対処を要求している。

 また、本国のインターネット上ではこの問題が炎上しており、真実はさておき、拘束され乱暴な扱いを受けたためにひどく負傷した同国民の写真などが投稿されているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。「勤勉な中国人が富を得ていることに対して地元民が嫉妬している」という声や、「欧米メディアが大げさな報道で煽った」ことなどに対する批判が強まっているとフィナンシャル・タイムズ紙は取り上げている。

 なおガーディアン紙によると、違法採掘者の多くは広西チワン族自治区(南寧市)上林県の出身だというある採掘者の出身村には180世帯があり、身体的に問題がある男性以外のほとんどにあたる100人程の青年がガーナに来ていると語っている。

 フィナンシャル・タイムズ紙では、「我々が撤退したら地元上林の経済は20年分は後退してしまう」と語る採掘者の声も取り上げている