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伊ジェノバで行われた高架橋爆破解体の様子(2019年6月28日撮影)。
(c)Vincenzo PINTO / AFP
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はG20首脳会議への出席のため27日、訪日する。文氏の訪日は就任後2回目で、昨年5月の日中韓3カ国首脳会談以来。
訪日を控え文氏は26日までに、各国通信社の書面インタビューに応じた。いわゆる徴用工訴訟で韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた問題をめぐり、日韓の企業による自発的な拠出金で原告に「慰謝料」を支給するという韓国政府の提案を、文氏は「現実的な解決策だ」とし、拒否した日本政府に受け入れを求めた。
また「被害者の苦痛が進行中という事実を受け入れねばならない」とし、苦痛をどう癒やすかに日韓が知恵を集めるべきだと指摘。「韓日関係発展には歴史問題を国内政治に利用してはならない」と強調した。
G20では日韓首脳会談は行われないが、文氏は「私はいつでも対話の扉を開いている。G20の機会を活用できるかは日本にかかっている」と答えてもいる。
判決から約8カ月で韓国政府は対応策を提示したものの、内容は日本への問題丸投げに等しい。しかも、文氏自身が、国際法違反を是正せず解決策になり得ないとした日本の主張を全く無視している。
G20に臨む文氏は、日韓関係の一層の悪化が予想されつつもそれどころではないようだ。歴史問題で日本に譲歩しない文氏だが、インタビューでは、朝鮮半島の平和構築の過程で日朝関係の正常化が必要だとし「北朝鮮と条件のない対話を進めるという日本政府を支持し、朝日首脳会談の実現に協力する」と断言している。
G20で文氏は中露各首脳と会談し、29日に帰国し、同日訪韓するトランプ米大統領と30日に会談する。一連の会談で北朝鮮問題が議題となるのは確実だ。
中国の習近平国家主席は20~21日に訪朝し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談。中朝蜜月を目の当たりに韓国では「外交的孤立」への懸念がくすぶる。米朝の“仲介役”にこだわる文氏としては、G20を機に韓国の存在感を国際的にアピールしたいところだ。(名村隆寛 産経新聞)
メディアの悪しき習慣だが、今回も全開となった場面がある。
習近平国家主席の訪朝の一報を受け、世界中のメディアが早速「対米カード」と位置付けたことだ。
国際政治を扱う上で便利でかつ魔法のワードだが、現実をゆがめている。中国を、馬鹿の一つ覚えのように「北朝鮮の後ろ盾」と表現するのと同じで中身などない。少なくとも私は、1990年代以降の中朝関係で、「中国が北朝鮮の後ろ盾だった」なんて状況を、見たことも聞いたこともない。
よって訪朝の目的は対米カードなどではない。そもそも対米カードというのなら、「中国の影響力の下で北朝鮮が妥協する」ことが条件だが、そんな簡単に妥協できるのなら北朝鮮が中国を間にかませるメリットは何なのか。直接トランプ大統領と交渉した方が、百倍有益だろう。
第一、中朝が蜜月だからって、アメリカからどんな妥協が引き出せるというのか。逆に教えてほしいくらいだ。
冒頭から愚痴っぽくなってしまったが、今般の訪朝は何を目的としていたのか。
キーワードは「脱米」であろう。
と書くと気の早い読者はすぐに「中朝が結託してアメリカと対抗」と解釈するかもしれないが、そうではない。あくまで対立を意味する「脱米」ではなく、「ちょっと距離を置こう」といったニュアンスだ。
実は、この連載でも書いたように、中国は昨年末から、すでに北朝鮮への制裁を部分的に解除してきている。これにロシアも乗ってきているし、韓国も乗り始めている。
この流れをもう一段ぐっと前に進めようという狙いだ。
事実、会談で習近平氏は「朝鮮半島の非核化を推進した北朝鮮の努力を評価する」とした上で、「独自の発展にできる限り協力する」ことを約束している。
驚いたのは、訪朝団の中にマクロ経済の司令塔である何立峰発展改革委員会主任が入っていたことだ。これは大きな経済協力の合意が、その場でできるともとれる布陣なのである。
中国はこれまで朝鮮半島問題ではアメリカと足並みをそろえてきた。アメリカに協力して北朝鮮に厳しいプレッシャーを与えながら、その一方で、アメリカから韓国に「THAAD(高高度防衛ミサイル)」を配備するという嫌がらせを受けても、その姿勢が揺らいだことはなかった。そんな中国がここにきてなぜ急に「脱米」に舵を切ったのか。
当然、そのきっかけは米中貿易摩擦の激化だ。だが、中国が対抗しようとしているのはトランプ大統領ではなく、アメリカという国でもない。中国の好きな表現を借りれば「一部の政治勢力」ということになり、それはポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官などに代表される面々だ。
ハノイの米朝首脳会談直後に北朝鮮が、ポンペオ国務長官を会談から外せと名指ししたことでもわかるように、高圧的な態度で高いハードルをふっかける勢力が中朝の共通の敵になっている。
中国が最近、ロシア、イランと距離を縮めたのも同じ文脈でとらえることができるのだ。
高齢ドライバーによる暴走事故が大きく報じられ、70~80歳代の著名人らが相次いで運転免許証を自主返納している。ただ、「本当に危ないのは返納しようとしない人」との指摘もある。返納を検討した方がいい「危険な兆候」のチェックリストをもとに、運転者本人だけでなく、周囲も危険なシグナルを見極めてほしい。
自覚症状が出やすく、周囲も判断しやすい要因が、「加齢による能力の低下」だ。
「多くの情報を読み取る能力が下がる『有効視野の低下』や、自分が道路のどこにいて、どこを向いているか分からなくなる『空間認識能力の低下』」などが、車の左側を通過する二輪車に気付かなったり、対向車線に飛び出したりすることにつながるという。
もう一つ、見逃せないのが「日常の運転の悪習慣」だ。信号のない交差点で一時停止しなかったり、横断歩道に歩行者がいても止まらない、などの例がある。
「注意にも耳を貸さずに『これで大丈夫だ』と言うようになると、癖が固定化している状態だといえる。加齢によりとっさの判断も難しくなるので危険だ」と伊藤氏
アクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走事故が多いのも高齢ドライバーの特徴だ。自動車ジャーナリストの佐藤篤司氏は「歩行時に足が上がらなくなったり、つまずいたりするようになったら、そろそろ危険だ」と話す。
「いつもと感覚が違ったり、同乗者に『おかしい』と指摘されたら要注意だ。運転を続ける場合は早めにブレーキを踏んだり、速度を1割方落とすなどすべきだ」とアドバイスする。
前出の伊藤氏は「自主返納しようと判断できる人は、事故を起こす可能性が低い人だろう」として、家族や知人など身近な人が危険な兆候をチェックすることが重要だと強調する。
「運転が危なくなっている人に免許返納を納得させるのは難しいが、すぐにではなく『2~3年後』など猶予期間を設けることも一つの手だ。また、違反などで減点になった時点で、日常の運転をしながら返納の準備をするといった仕組みも検討すべきだ」(伊藤氏)
ひとごとではなく、周りの高齢者に気を配りたい。