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安倍晋三首相は、悲願の拉致問題解決のため、前提条件を付けずに北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談実現を目指している。だが、北朝鮮の「無法国家」ぶりは変わらず、油断は禁物だ。「核・ミサイル」による恫喝(どうかつ)に加え、外貨獲得のために「サイバー戦」を仕掛けてきており、世界の重大な脅威になっている。北朝鮮のサイバー事情に詳しい、自民党国防族の中山泰秀衆院議員(大阪4区)が激白した。
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「従来、自分自身が金委員長と向き合う決意は述べてきた。(無条件開催方針は)より明確な形で述べた」「金委員長と会い、虚心坦懐(たんかい)に話し合うことだ」
安倍首相は16日の衆院本会議でこう述べ、拉致被害者救出への並々ならぬ決意を示した。
「無条件」だからといって、北朝鮮への警戒を緩めるわけではない。米朝間の非核化交渉が膠着(こうちゃく)するなか、北朝鮮は短距離弾道ミサイルの発射に加え、サイバーなどの領域でも、日本を含めた世界各国への挑発を続けると想定されるからだ。
中山氏は現在、自民党の治安・テロ対策調査会と、安全保障調査会の副会長を務め、周辺国などのサイバー事情にいち早く注目してきた。北朝鮮のサイバー攻撃の実態について、次のように明かした。
「日本の民間では、日ごろの業務で『北朝鮮製のソフトウエア』を知らないで使用しているケースがある。無料ソフトは危ない。将棋や囲碁の無料ソフトにも、北朝鮮製があった。『マルウエア(=ウイルスやワームなど、悪質なコードが仕組まれたソフトウエア)』の危険性がある」
「下請けの開発工程で、北朝鮮の技術者が関与している。行き過ぎたコストダウンへの弊害が出ているようだ。そもそも、日本国内には、北朝鮮への多数の協力者が存在する。すでに、ハッキングなどの攻撃の拠点にもなっている。彼らが、内部犯行に手を染めているケースもある」
確かに、北朝鮮のサイバー関連技術者の能力は高く、世界の脅威になっている。
国連安全保障理事会で、北朝鮮への制裁決議の履行状況を調べる専門家パネルは今年3月、「北朝鮮が外貨獲得のためにサイバー攻撃をしており、制裁を科す際、禁止事項でサイバー攻撃にも言及すべきだ」と警告を発したほどだ。
報告書によると、北朝鮮の対外工作機関「偵察総局」のハッカーらが2016年以降、波状攻撃を仕掛けているという。
18年1月にあった日本の仮想通貨交換業者「コインチェック」の巨額流出事件も、北朝鮮の仕業だと断定した。ウイルスを仕込んだ「標的型メール」を一方的に送りつけ、社内ネットワークに侵入する手口だった。
中山氏は「暗号資産(仮想通貨)への規制強化も必要だが、防衛関連施設や社会・通信インフラへの攻撃の危険性も高いままだ。現代戦で、サイバー空間は従来の陸海空とは違った新たな戦闘領域になっている。この対応を誤ると、国家そのものが死活的な影響を受けかねない」と訴える。
政府は昨年12月、新たな防衛力整備の指針である「防衛計画の大綱」と、「中期防衛力整備計画」を閣議決定した。宇宙やサイバー、電磁波といった「新たな領域」を含む、横断的作戦を遂行する防衛力構築が喫緊の課題として位置付けられた。
安倍首相も前出の衆院本会議で、日本がサイバー攻撃を受けた場合、「物理的攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、相手方により組織的、計画的に行われる場合」には、武力攻撃に当たるケースもあるとして、「憲法上、自衛のための武力行使が許される」との認識を示した。
与党・自民党も側面支援する。
中山氏も主要メンバーである党サイバーセキュリティ対策本部(高市早苗本部長)は、2025年にもサイバー防衛の関連施策を一元的に担う「サイバーセキュリティ庁」を新設するとの提言をまとめた。また、ハッカー攻撃を仕掛ける相手を特定し、日本側が反撃する権利を認めるなど、仕組みづくりなどを急ぐよう求めた。
これらは、北朝鮮や中国など、サイバー攻撃にたけた国家や組織を念頭に置いた対策といえそうだ。
中山氏は「北朝鮮は、このまま無法国家でいくのか、国際社会の仲間入りをするか、瀬戸際だ。日本は北朝鮮の手の内を詳細に分析し、日本版シールドを構築するなど、決して警戒の手を緩めてはならない」と語った
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文在寅(ムン・ジェイン)大統領率いる韓国が、危険極まりない「反米行為」を行った恐れが出てきた。大量破壊兵器に転用可能な戦略物資が最近、大量に違法輸出されていたことが分かり、イランや北朝鮮に持ち込まれた可能性もあるという。事実であれば、イランと一触即発状態にあるドナルド・トランプ政権への重大な裏切りで、冷え込んだ米韓関係はさらに険悪となりそうだ。
《大量破壊兵器に転用可能な戦略物資、韓国からの違法輸出が急増》
朝鮮日報(日本語版)は17日、こう報じた。
記事によると、2015年から今年3月までに、韓国の国内業者が生産・違法輸出した戦略物資は156件。朴槿恵(パク・クネ)政権時代の15年には14件だった摘発件数は、文政権の昨年には41件に増え、今年は3月までの摘発件数だけでも31件に上った。
産業通商資源部が野党議員に提出した「戦略物資無許可輸出摘発現況」で判明したもので、同紙は「第三国を経由して北朝鮮やイランなどに持ち込まれた可能性もある」と指摘した。
米国がともに危険視している両国だが、特にイランとの間では、にわかに緊張が高まっている
イラン軍などに、米軍への攻撃準備が見受けられたとして、トランプ政権は戦略爆撃機「B52」の部隊と、原子力空母「エーブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群を中東地域に派遣したとされる。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「イランには、ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を中心に『軍事作戦の立案が検討されたようだ』と伝えられている。韓国は米国の同盟国であり、一応は自由主義陣営の扱いだ。もし、イランに戦略物資が流出していたとすれば、笑って済む問題ではない」と説明する。
文政権の「従北・反日」姿勢に、トランプ政権の不信感は高まっている。トランプ氏は6月、大阪で開かれるG20(20カ国・地域)首脳会議に出席するため東アジア地域を訪れる。これに合わせ、韓国で文氏と会談する予定だが、イランを利していたとすれば、話は別だ。
潮氏は「『日程調整がつかなかった』として、トランプ氏が韓国に行かないという可能性もあり得る」と話した。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は最近、外交で精彩を欠く。先月25日の露朝首脳会談はロシア紙から「驚くべき内容はなかった」と突き放された。また2月末には“制裁全面解除”の期待を背負って臨んだ米朝首脳会談で米トランプ政権から、核を差し出せと迫られる始末だった。
そんな“3代目”に明るい未来が描けなくなったのか、北の特権層の中に崩壊を意識したかのような動きが把握され、関係各国の関心を集めている。
× × ×
北の外貨獲得は専門機関「39号室」が担っているとされる。2016年9月、正恩氏は5回目の核実験に踏み切るが、これを理由に国連が科した制裁は外貨獲得に関係する企業や個人も含まれ、外貨獲得活動を大幅に制限。正恩氏と政権中枢に「激しい痛み」を与えているようだ。
昨年11月に筆者がインタビューした元北朝鮮兵士の脱北者、呉青成(オ・チョンソン)氏は北朝鮮には月給という報酬制度は事実上、存在しないと証言。ソウル在住の別の脱北者は「北の住民は権力の大きさに応じ、ピンハネや恐喝で金品を得て暮らしている。権力は暮らしの糧だ」と明かした。
この脱北者によれば体制を中枢で支える層は、正恩氏が「統治資金(外貨)」から下賜する金品も生活の大きな原資となっている。指導者による“面倒見”で、この多寡が特権層の政権への忠誠度を左右するのだという。北は資本主義社会以上に“カネの切れ目”にシビアなのだ。
だからなのか、確かに正恩氏はこれまで、実に気前良くカネを使ってきた。
指導者就任後、正恩氏は米国を対等な核軍縮交渉に引っ張り出す戦略を立て、米東海岸を直撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を目指した。ウクライナから高性能ロケットエンジンを技術者ごと買った疑いも出ているが、核・ミサイルが急激に高性能化したことを考えると高額な技術の買い付け先は多岐にわたるはずだ。
一方、正恩氏は高層住宅や大規模なスキー場、遊園地の建設など国内の生活・娯楽インフラ開発も進めたが、こちらは特権層である平壌市民を喜ばせる“下賜サービス”の類いだろう。
ただ、制裁で外貨が得にくい中、多額の統治資金が使われ、正恩氏はいま資金調達に首が回らなくなっていると、複数の北朝鮮筋が日本政府関係機関に指摘している。ベトナムから帰国後、正恩氏が泥酔する姿も目撃されているというが、これも資金繰りの悩みか。
中朝国境の河川、鴨緑江(アムノッカン)を挟んだ中国側に丹東という都市がある。中朝物流の一大拠点として有名な一方、対北経済制裁の抜け穴ともみられている。
米国など複数の情報当局者によると最近、北では丹東を北朝鮮有事の脱出口とみて、中枢機関である党組織指導部の幹部らが現地銀行に秘密口座を開設する動きが目立っているという。
特権層は北朝鮮関係者が収益を北に送金する途中で一部を横領して自分の口座に納め蓄財するというが、興味深いのはこうした動きを中国側が把握しながら、放置していることだ。
中国は北のエリートらが既に丹東よりも内陸部に避難先を確保していることも把握している。中国は、北が崩壊する際に高官や富裕層が丹東を脱出経路とするとみているのだろう。
西側情報筋は「中国は丹東で情報機関員を多数活動させている。北朝鮮が崩壊した際の動きをいち早く入手するモニターとして活用するつもりだ。また、脱出者を保護するか拘束するかして、ポスト正恩政権の情勢に有利に関わるカードにすることも考えているのではないか」とみる。情勢は水面下で、ダイナミックに動いているようだ。
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日米同盟の絆をアピールする毎年恒例の航空祭「岩国フレンドシップデー」が5月5日に岩国航空基地(山口県)で開催され、米海兵隊や海軍所属の航空機がデモ飛行を披露。音速寸前の高速パスなどの機動飛行を見せるなど、約16万5千人の観客を魅了した。 (岡田敏彦)
日本に居ないレア機も
同航空祭の特徴は、展示・飛行する機体の種類の多さと、本気の飛びっぷりに尽きる。今回も在韓米軍の航空機が韓国から飛来したほか、米本土から操縦士が遠征するなど、米軍の力の入れようがうかがえた。
航空祭開催は5日だが、前々日の3日には既に航空機マニアたちが基地北側の今津川堤防に集合。この場所は基地の外から離着陸を撮影できるスポットとして有名で、関東地方のナンバーの車も続々集まった。そんなマニアたちの目当ては、通常は日本では見られない機体のひとつ、在韓米軍に配備されている地上攻撃機「A-10サンダーボルト2」だ。午後3時38分、いまどきのジェット戦闘機とは異なる直線翼の「A-10」2機が姿を見せると、マニアらの構える望遠レンズが一斉に空へ向けられた。
当日の5日には、この「A-10」2機を含む多くの米軍機が公開された。最新の大型輸送機C-17グローブマスターIII(米空軍航空機動軍団所属)はハワイ州ホノルルのヒッカム基地から参加。操縦士も専門のデモチームの要員で、日本の観客への力の入れようがうかがえた。
また地元勢も豪華な顔ぶれとなった。岩国基地には昨年3月末、米海軍厚木基地(神奈川県大和市など)所属だった空母航空団の機体が移転したことで、岩国基地を「ホーム」とすることになった海軍の艦載機が多数お目見えした。具体的には、原子力空母ロナルド・レーガンに艦載される第5空母航空団の機体で、F/A-18スーパーホーネットやE-2Dホークアイ電子戦機、C-2グレイハウンド輸送機などが地上展示された。
ステルス機は空中静止、空軍機は〝限界速度〟で…
フライトを披露する飛行展示では、岩国の主役の米海兵隊機が次々と離陸。最新ステルス戦闘機のF-35BライトニングIIは、空中でヘリコプターのように静止したり、水平に回転して向きを変えたりするなど通常の航空機ではありえない飛行を行い、その特徴である短距離離陸・垂直着陸の能力に注目を集めた。
また第5空母航空団のF/A-18は、デモ飛行に当たって米バージニア州のオセアナ海軍基地から、高度な機動飛行をこなす操縦士を呼び寄せる本気ぶり。これに対し、ゲストの米太平洋空軍(PACAF)デモンストレーションチームのF-16ファイティングファルコンも例年にない迫力の飛行で応えた。急上昇や背面飛行などに加え、今回は会場前を左右に飛び抜けるハイスピードパスで「パン」という大きな衝撃音が発生し、観客の度肝を抜いた。同チームは航空自衛隊の航空祭など日本各地でデモ飛行を披露しており、人気も高く、インペリゼリ大尉の名は航空機マニアの間では有名。ファンに対してメッセージを求められ「ファンが多いのは光栄で嬉しいこと」と述べ、上空から会場や堤防にいるファンが見えるか、との問いには「機内から皆さんに手を振っていますよ。何らかの形でふれ合いたいと思っていますから。背面飛行ではサムアップ(親指を立てるジェスチャー。満足や同意を示す表現)しています」と、ファンサービスへの力の入れようを説明した。