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大阪府は30日、防災会議の検討部会を大阪市内で開き、南海トラフ巨大地震による府内の人的被害の独自想定を公表した。火災や建物の倒壊などを合わせた死者は最大13万3891人に上り、その85%超にあたる11万3991人が津波で犠牲になるとした。内閣府が昨年8月に示した被害予測の約13・6倍となる。
府内の人口のうち30%が津波到達まで避難を開始しないとの前提で試算した。揺れから5分以内に避難を始めれば津波で命を奪われる危険はないとも分析しており、府は「あくまで最悪の想定だ。津波到達まで十分に時間があり、落ち着いて行動してほしい」と呼び掛けている。
府が8月に公表した津波浸水被害の想定に基づき、大阪市内中心部が広範囲で浸水すると仮定。内閣府の手法を踏襲して津波で1メートル浸水した地域の死者率が100%になると仮定し、潮位や時間帯なども死者が最大になるケースを抽出した。
津波の死者の想定は、地震発生から約2時間後に最大2メートルの浸水となるJR大阪駅周辺など、高層ビルが立ち並び地下街が密集する大阪市北区で約1万6000人。西区約1万9000人、淀川区約1万3000人と市西部の低地も多い。大阪湾沿岸は堺市が約6000人、岸和田市と泉大津市がそれぞれ2000人弱。
津波以外では、地震で川の堤防が崩れて生じる洪水の死者が1万9000人弱に上る。このうち淀川水系の神崎川などが流れる西淀川区が1万3000人弱と突出して多い。ほかに揺れによる建物倒壊が約700人、火災が約200人と続く。
建物の被害想定も示した。液状化現象や火災、津波などで全建物数の約7%の18万棟弱が全壊。府は国よりも地震の揺れは小さいと推定しており、国想定の半分ほどにとどまった。