忍者ブログ

時代を見通す日本の基礎情報

日本を取り巻くアジア情勢の変化 世界の情報を辛口で伝える情報部ログ 世の中はめまぐるしくかわっていきます その中で取り残されない為の情報をお伝えします Changing Asian situation surrounding Japan Tell the world information by information Department log The world is rapidly mood In order not to lag behind in its informed the

詭弁の極み」…前川氏「出会い系は貧困調査」にネット大炎上

文部科学省の前川喜平前事務次官(62)の反撃に、永田町・霞が関が激震している。安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐり、前川氏は25日夕の記者会見で、「総理の意向」などの文言が含まれる「文書」について「確実に存在していた」と強調し、「行政がゆがめられた」などと政府批判を展開したのだ。一方、東京・歌舞伎町の「出会い系バー」(連れ出しバー)への出入りについては、「貧困女性の実態調査」などと説明し、ネット上は大炎上している。官邸への「恨み」「逆恨み」を感じる今回の行動。与野党の攻防が激しさを増しそうだが、識者はどう見たのか。

記者会見を終え、汗をぬぐいながら席を立つ前川喜平・前文科次官。告発の行方は-=25日、東京都千代田区
記者会見を終え、汗をぬぐいながら席を立つ前川喜平・前文科次官。告発の行方は-=25日、東京都千代田区【拡大】
 「やっぱり(文書は)あったんだね、という印象。あの場に元事務次官が出てくるというのは、よっぽど根性をかけている。『今さら巻き込まれたくない』というのが普通だろうが、かなりの覚悟だ。文書は本物と思わざるを得ない」

 こう語るのは、経済ジャーリストの荻原博子氏だ。

 朝日新聞が真っ先に報じた「文書」について、菅義偉官房長官は「怪文書みたいな文書」と突き放してきたが、前川氏は25日夕の会見で「文科省の専門教育課で作成され、昨年9月から10月にかけて受け取った文書に間違いない」と主張した。

 元通産官僚である評論家の八幡和郎氏は「問題の文章が存在したこと自体は事実である可能性が高い。ただ、文書の内容が真実かどうかは怪しい」といい、続けた。

 「役人の世界では、相手の要求を強調した方が省内で話が通しやすい。内閣府の審議官が言ったとされる『官邸の最高レベル』という言葉は、文科省の役人が忖度(そんたく)して大げさに書いたのではないか。問題にするのなら、審議官がそうした発言をしたかを確認するべきだ」

 マスコミ各社に「文書」を持ち込んだ犯人について、文書が本物ならば「国家公務員法の守秘義務違反」、偽物ならば「公文書偽造罪」に抵触する可能性が指摘されている。前川氏の発言についても、守秘義務違反を問題視する声がある。
 荻原氏は「守秘義務違反かもしれないが、憲法には『国民の知る権利』が保障されている。これだけ世間の騒動となって問題化しているのだから、やむを得ない」といい、八幡氏は「文科省が『マル秘文書』として受け取ったものではないので違反ではないと思う。ただ、内部でのやりとりをペラペラ漏らすのはモラルに反する」と指弾した。


 前川氏は会見で、「今の文科省は、官邸、内閣官房、内閣府といった政権中枢に逆らえない」「極めて貧弱な理由で規制緩和が行われた」「行政の公平性がゆがめられた」などと語り、加計学園の獣医学部新設に異議を唱えた。

 これについて、元NHKキャスターである無所属の和田政宗参院議員は「旧態依然の官僚の言葉と感じる。規制改革は安倍政権の重要政策であり、官邸や内閣府が方向性を示すのは職務として当たり前だ。官邸に言うべきことを言い、激しいやりとりをしている省庁もあり、前川氏の言っていることは意味不明で恣意(しい)的だ」と語った。

 八幡氏は「政治主導は、小泉純一郎政権に始まり、民主党政権でさらに進んだ。安倍政権で急に悪くなったというものではない。政治的なルールがありすぎるのは役人にとってはイヤなものだし、私も無原則な政治主導には疑問を持っている。ただ、それを極致にしたのは、民主党政権だ」と指摘した。

 注目の会見で、最も違和感を覚えたのは、歌舞伎町の「出会い系バー」に頻繁に出入りしていることを釈明した部分だ。前川氏は「女性の貧困について実地の視察調査をしていた」「その場で話をし、食事したり、食事に伴ってお小遣いをあげたりしながら話を聞いたことはある」などと説明した。

 この件は、捜査当局が、歌舞伎町での「管理売春」(売春防止法違反容疑)を内偵していたところ、前川氏をはじめ、複数の文科省幹部(OBを含む)が出会い系バーに出入りしていることを確認したのが発端である。

 和田氏は「まったく説明になっておらず、何をしていたか真実を話すべきだ。調査は自ら行わなくても部下でもできる。連れ出しバーは『売春や援助交際の温床』との指摘もある。話を聞くだけでなく、連れ出した女性にお小遣いを渡す理由が分からない。文科省のトップが現職中に『広義の援助交際』を行ったとみられてもおかしくない。大問題だ」と批判した。
八幡氏も「『貧困女性の実態調査』という言い訳が、本気で通用すると思っているのだろう。普通だったら恥ずかしくて言えたものではない。感覚がズレているとしか思えない」と一刀両断した。


 ネット上も炎上しており、「この言い訳は見苦しい」「詭弁の極み」「奥さんにも通用しない」「厚顔無恥にも程がある」などと、痛烈な批判が並んでいる

 ただ、荻原氏は「文書問題と出会い系バーの話を同列にして、前川氏の人格を貶めてから『文書=怪文書』とする操作がなされているのではと疑ってしまう」と語った。

 前川氏の爆弾証言を受け、野党は前川氏の証人喚問を要求する方針を固め、徹底追及の構えをみせる。与党は国会招致を拒否することにしており、攻防は激しさを増しそうだ。

 今後どうすべきか。

 荻原氏は「内閣府は仲間だから、法治国家として第三者的なかたちで事実関係をつぶさに調査しなければならないと思う」と提案した。

 一方、和田氏は「(前川氏の言動は)まったく信用できないので、まともに相手にする必要はない」と切り捨てた。

 八幡氏は「内閣府の審議官が発言をしたテープでも出てこない限り、水掛け論にならざるを得ないだろう。密室の話で証明のしようがない。前川氏はクビにされた恨みを晴らすためにやっているとしか思えない。実家もお金持ちのようだし、後々、生活に困ることがないからこうした行動に出ることができたのではないか」と語った。

 官邸周辺も、前川氏の行動について「逆恨みとしか考えられない。文科省の天下り問題に加え、出会い系バーへの出入りも発覚し、『退職金(約8000万円)ゼロでもいいのではないか』という声もあったほどだ。本人は次官をもう少し続けたかったようだが、当然、引責辞任となった。思想的に『反自民的』なものもあり、爆発したのだろう」という。

 前川氏は「逆恨みする理由がない」と、朝日新聞の取材に語っている。
PR

米空母3隻目、西太平洋派遣へ 北朝鮮抑止へ異例の展開に二ミッツCVN-69

米海軍が原子力空母ニミッツ艦隊の西太平洋派遣を決めたことが26日、わかった。米軍関係者が明らかにした。アジア・西太平洋地域に派遣されている原子力空母カールビンソンとロナルド・レーガンに加え3隻目。同地域に同時に3隻を展開するのは異例だ。

 北朝鮮が開発する大陸間弾道ミサイル(ICBM)について、米国は「究極的には米本土を脅かす核ミサイル技術の取得に成功するだろう」(スチュワート国防情報局長官)とみている。米軍は、北朝鮮によるICBMの発射の脅威が高まっているとみて警戒を強めており、総力を挙げて抑止する構えだ。
 米軍関係者によると、第3艦隊に所属するニミッツは、6月1日に母港のキトサップ海軍基地(米ワシントン州)を出港。中東地域に派遣される計画だった。だが、「世界情勢の変化に対応する」(同関係者)ため、約6カ月間の予定で西太平洋に展開することになった。北朝鮮の問題をめぐって、米側は中国が協力しなければ米国が「単独行動する」と通告しており、中国に協力を迫る狙いもありそうだ。

 現在、朝鮮半島情勢をにらんで、第3艦隊所属のカールビンソンの艦隊が4月末から日本海付近に展開している。第7艦隊(神奈川県横須賀市)所属のロナルド・レーガンも今月16日に出港し、カールビンソンと合流して合同演習をする計画だ。ニミッツ艦隊がこれに合流するかは不明だが、米海軍が保有する空母11隻のうち、3隻が集結することになる。(ワシントン=峯村健司)

空母打撃群が海自艦と並走 米太平洋軍が写真公表

米軍の空母打撃群のミサイル巡洋艦(奥)と並走する海上自衛隊の護衛艦「あしがら」。撮影日と場所は不明(米太平洋軍のツイッターより・共同)米軍の空母打撃群のミサイル巡洋艦(奥)と並走する海上自衛隊の護衛艦「あしがら」。撮影日と場所は不明(米太平洋軍のツイッターより・共同
米太平洋軍は2日までに、原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群が、海上自衛隊や韓国海軍の艦艇と並走している写真をツイッターで公表した。
 米太平洋軍は「韓国や日本を防衛するという米国の断固とした決意を示している」と強調した。写真を撮影した日時や場所は、明らかにしていない。
 カール・ビンソンは4月23日からフィリピン海で、海自との共同訓練を始めた。同29日に長崎県沖の日本海に入るまで、通信訓練などを繰り返した。韓国海軍とは日本海で共同訓練を実施した。

朝鮮半島の高度な緊張状態が続くなか、強固な「日米同盟の絆」が示された。海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」が1日午前、海自横須賀基地(神奈川県)を出港、米海軍補給艦の防御を行った。昨年3月に施行された安全保障関連法に基づく米軍の「武器等防護」は初めて。加えて、日米英仏4カ国による初の合同訓練も3日から実施される。核・ミサイル開発を強行する北朝鮮に圧力を加える一方、東・南シナ海で強引な海洋進出を続ける中国を牽制(けんせい)する狙いだ。

 「いかなる事態にも、国民の生命と平和な暮らしを守り抜くことは、政府の最も重要な責務だ。そして、大切なことは『有事を事前に防ぐこと』だ」「平和安全法制(安全保障関連法)では、あらゆる事態に隙間のない対応ができる態勢を完備した」

 安倍晋三首相は先月末、夕刊フジ「GW特別号」(2日発行)の単独インタビューでこう語った。その強い信念と覚悟が表れたといえるのが、海自史上、最大級の護衛艦である「いずも」の動きだ。

 政府関係者によると、「いずも」は、護衛艦「さざなみ」とともにシンガポールで今月開かれる国際観艦式に参加するため、1日に横須賀基地を出港。東京湾を出たところで、米海軍補給艦と合流して西へ向かう。補給艦は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮に対する警戒で、日本周辺に展開している米軍艦艇に燃料などを届ける。


アジア太平洋地域の平和と安定を守る、新たな動きも明らかになった。

 日米英仏4カ国による合同訓練に参加するため、フランス海軍の強襲揚陸艦「ミストラル」も先月29日、海自佐世保基地(長崎県)に寄港したのだ。訓練は3日から22日まで、米領グアムなどで実施される。

 「ともに手を携えて訓練することで、相互運用性を高められる」

 艦長のスタニスラス・ドゥ・シャルジェール大佐は、こう語った。

 「ミストラル」には、英海軍ヘリコプターを搭載しており、水陸両用作戦を担う陸上自衛隊の西部方面普通科連隊員や、米海兵隊員らも乗せて5日に佐世保を出港する。海自の輸送艦「くにさき」と、共同訓練を行いながら南下し、グアム周辺では4カ国で上陸訓練などを行う。

 ドナルド・トランプ米大統領は4月29日、米CBSテレビのインタビュー(同30日放映)で、北朝鮮が「6回目の核実験」を強行した場合、軍事行動に踏み切るのかと聞かれ、次のように答えた。

 「分からない。そのうち分かるよ」

 軍事的選択肢を排除しない考えを明確にした。



北朝鮮の暴発を阻止する海自最大の護衛艦「いずも」





「中国の傀儡」となった香港

「ハネムーン期間はない」

 3月26日、中国の特別行政区である香港政府のトップを決める行政長官選挙(任期5年)が行われ香港のナンバー2であった林鄭月娥(キャリー・ラム)前政務長官が、初めて女性として選ばれた。ナンバー3の曽俊華(ジョン・ツァン)前財務長官と、元裁判官で前選挙管理委員会主席の胡国興(ウー・コック・ヒン)氏を破った。

記者会見でのキャリー・ラム前政務長官(写真・香港政府新聞処

 本来、今回の選挙は、普通選挙によって実施される予定だったが、中国の中央政府による立候補段階での事実上の振るい落としをするという条件がついた。それが「偽の普通選挙」ということで、14年の民主派や学生らによる「雨傘運動」につながり、その後の立法会でこじれた結果、これまで実施されてきた選挙委員による投票となった。立候補には選挙委員150人以上の推薦人が必要で、キャリー・ラム氏は580人、ジョン・ツァン氏は165人、ウー・コック・ヒン氏は180人の推薦人を受けていた。今回の選挙は1194人の選挙委員の投票で行われ、キャリー・ラム氏が777票、ジョン・ツァン氏が365票、ウー・コック・ヒン氏が21票だった。選挙当日の香港の有力紙『明報』の朝刊には、「キャリー・ラムは700票を抑えた」という記事が掲載されたが、結果的には大幅に上回った。結果発表時には、会場全体からキャリー・ラム氏の圧勝に驚きの声が上がった。

ジョン・ツァンに投票したと公言したジェームズ・ティエン氏

 開票会場となった湾仔(ワンチャイ)の会議展覧中心(コンベンション&エキシビション・センター)では、本会場の入口直後などにメディアゾーンがあり、そこで投票者に直接インタビュー出来る。キャリー・ラム氏に投票した人は「私はキャリー・ラムに入れた」と答えた人が少なくなかったが、「誰に入れたのかは答えない」と答えた人は、今思えばジョン・ツァン氏に投票したのではないかと推測される。筆者が話を聞いた中で、明確に「ジョン・ツァンです」と答えたのは、財界に力のある元立法会議員で、前自由党党首の田北俊(ジェームス・ティエン)氏くらいだった。一方の世論調査では、調査機関によって数字は異なるが、必ずジョン・ツァン氏がキャリー・ラム氏を上回っていた。一方で、「誰が当選すると思うか?」という問いには、キャリー・ラム氏と答えた人が多かった。


 キャリー・ラム氏の予想以上の大勝について、香港中文大学の政治・行政学部の蔡子強高級講師は、「580の推薦人から777票まで積み上げたのは、胡氏の支持票がかなりキャリー・ラム氏へ流れたのと、態度を表明していなかった人たちの多くが、彼女に投票したことを意味する。キャリー・ラム氏にとっては、勇気づけられる良い結果だろう」と分析した。民意と実際の投票とのかい離について聞くと、「通常、当選後は(発足直後の新政権は一般的に高い支持率を示す傾向がある)ハネムーン期間があるが、彼女に関しては、まずあり得ないだろう。難しい政治課題も山積みで、就任当初から厳しい政権運営を強いられると思う」と予想した


新・鉄の女」

 キャリー・ラム氏は、一般庶民の家庭に生まれ、学生時代からずっと成績は首席だった(一度だけ試験で2番になったことがあり、涙したことがあったと言う)。香港大学卒業後、公務員となった。多くの日系メディアは雨傘運動から彼女を取り上げ始めたが、香港人の中で彼女の名前が広く知られるようになったのは、07年に起きた皇后ふ頭の撤去問題だこのふ頭は中環(セントラル)という香港の中心部にあり、エリザベス女王やダイアナ妃など、イギリス王室と総督など限られた人しか使用しないという格式と伝統のあるふ頭だった。しかし、周辺の埋め立てによる再開発で取り壊しを決定(結果的には、一部が保管され、別な場所に再建することになった)。香港市民による座り込み運動が起こったがその時に香港政府の代表として対応したのがキャリー・ラム氏だった最終的には警察が活動家を強制排除したことで終了したが、政府はこのときの彼女のタフネゴシエーターぶりを評価。前行政長官である梁振英(CY・リョン)氏が、在任時に彼女をナンバー2に抜擢する要因となった。雨傘運動時の学生との話し合いの時は、07年に彼女が行った皇后ふ頭の撤去での対応を思い起こした香港人が多かった。彼女はしばしば「鉄の女」と評されるが、初代の「鉄の女」は、03年に香港版「治安維持法」と呼ばれる、基本法23条に基づく国家安全条例の制定を目指した葉劉淑儀(レジーナ・イップ)氏であるので、キャリー・ラム氏は「新・鉄の女」と評した方が正しいだろう。

なぜ中央はジョン・ツァン氏を支持しなかったのか?

 経済都市である香港の財政長官として、ジョン・ツァン氏は世論から高い評価を得ていたにもかかわらず、なぜ中国政府は支持しなかったのか? まず、選挙委員会で多数を占める新中派の支持を取り付けなければならないにも関わらず、彼は民主派の支持をとりつけようと動いたこと敗因として挙げられる。選挙改革についても、完全普通選挙に近いことをするという民主派の意向を取り入れた。中央政府の香港の出先機関である中央政府駐香港連絡弁公室の職員は、ジョン・ツァン氏を支持しなかったにも関わらず(立候補を控えるよう説得したという報道もあった)、親中派以外の票と財界の一部の票を取り込めば、彼が当選できると票を読み、出馬することとなった。ただ、取材をして見えてきたのは、彼が「見た目は香港人だが中身はアメリカ人」と判断されたことも、少なからず選挙に影響したのではないかということだ。確かに彼は香港生まれだが、13歳の時にアメリカに移住。思春期にどういった教育を受けるかは、その後の思想に大きな影響を与えるが、その意味で、彼はアメリカの考え方に強く影響を受けている。
                          政治ショーにイライラする香港


 一方で、中央政府は、最初からキャリー・ラム氏の立候補を支持することを決めていた。だた、最初から彼女の支持を表明すると、民主派から攻撃される材料を与えてしまうため、「欽点」(事実上の中央政府による指名)をするのは避けていた。前回の行政長官選挙は、本命だった唐英年(ヘンリー・タン)元政務長官の住宅スキャンダルによって、香港市民が大反発を起こしたため、やむを得ずCY・リョン氏を推さざるを得なくなった。結果的に親中派内で分裂選挙のような状況に陥り、選挙後も影響が残った。今回はそのような事態を防ぐため、見かけ上、親中派同士の対決にはなったが、その裏で中央政府はしっかりキャリー・ラムが当選するように画策していたのだ。

選挙翌日の親中派寄りの新聞、『大公報』と『文匯報』の大量の当選の祝賀広告が

 また、中央政府の香港への締めつけは、また別な形でも現れていた。当選翌日の親中派寄りの新聞、『大公報』と『文匯報』には、大量の当選の祝賀広告が挟まれていた。その広告の量は、日本の新聞における年賀広告の比ではない。祝賀広告を見れば、どの組織が彼女を支持し、また選挙活動の資金源になったのかが一目瞭然だ。人材面、資金面において、彼女が圧倒的であったことを感じさせるものであった。


 新民党の主席で、立法会議員のレジーナ・イップ氏が、行政長官戦に出馬すると事前に発表されていたが、彼女は先述した国家安全条例の制定問題を03年に起こしたことで香港市民から強いアレルギーをもたれていたこともあり、中央政府は彼女を支持する考えはなかったようだ。事実、彼女は立候補するための推薦人の数すら集められず立候補を断念した。

香港最大デベロッパー嘉華国際集団のトップ・呂志和氏(マカオでカジノ経営も行い、1兆円以上の資産を持つ大富豪)。経済界の要人が香港政府を後ろから動かしている。

政治ショーにイライラする香港市民

 ジョン・ツァン氏が出馬表明したことで、中央政府は推薦候補の支持のタイミングなどで微妙なさじ加減を求められた。だが、表面上、民主的な選挙が香港で行われるかのように市民に思わせられたことは幸いだったと言える。


 今回で5回目の行政長官選挙となったが、香港の選挙システムを知らない人が香港のテレビを見たり新聞を読んだりすれば、まさに普通選挙が行われているかのように感じるのではないかと思われる。投票権を持たない一般市民を相手に候補者が握手をしたり、演説をしたりするし、アメリカの大統領選挙のようにテレビ討論会が複数回行われたりするからだ。「各候補者の意見が分かるから、討論会は大事だと思う。でも、私は投票ができないから、イライラする」と、ある香港人は憤る。


「討論会も、開票作業も公衆の面前でやるので、公平性は担保されていると思うけど、結局投票はできないのだから、ある意味〝選挙ショー〟というか、ただのパフォーマンスに感じてしまう」と、ばっさり切る人もいた。一方で、ある年配の香港人は、「選挙については、予めすべて制度として決まってしまっているのだから、仕方がない」と嘆息を漏らす。実は香港では、年齢が上がれば上がるほど、そう考える人も少なくない。長らく植民地であったため、「政府の見解は絶対」との考え、ある意味染みついてしまっているのだ。

 この選挙は日本を含め世界各国から報道陣が集結した。メディアセンターで筆者の隣に座ったのは、スペインのラジオ局だった。雨傘運動によって、社会が分断したまま選挙を迎えるということで、開票会場前では、民主派と親中派の両方のデモ隊が集結。一部のデモ隊は、警察と揉める事態になった。選挙前から物々しい雰囲気であったため、メディアパスを取得するまでのセキュリティーは厳しく、パスの受付所にたどり着くまでに、最低3回は警察やガードマンに身分の証明をする必要があった。


 現地メディアの報道も一段と加熱していた。たったの1194票しかないため、即日開票どころか、候補者、投票した人、メディア、開票の様子が、傍聴する権利をもった市民の目の前で開票される。現地メディアは双眼鏡を抱えたスタッフを用意し、担当者の手の動きをカウント。数え終わった時点で、すぐにソーシャルメディアやウェブサイトに開票結果の速報値を流した。筆者は偶然、カウントする人のすぐ傍にいたので、キャリー・ラム氏の得票数が物凄いペースでどんどん積み重なっていくのを聞いていた。ちなみに、公式の投票結果発表前には、選挙管理委員会が無効票だったものを大きな画面に映しだし、なぜ無効票であったのかを説明した。


 開票現場では、メディアと立候補者と投票者のゾーンは腰までの高さの仕切りで区切られているため、会場全体を俯瞰することができた。そこで感じたのは、「人口700万人を超える先進都市のトップが、『この仕切りの中で決められている』という不条理」である。


仕切られた投票ゾーンに座る人たちだけで香港の行政長官は決められた(左)、「バズーカ砲」だらけ。世界中から集まったメディアが投票結果に注目している(右)

分断が続く今後5年間とデモ

 03年の7月1日。香港の中国への返還記念日に、香港では50万人にも上るデモがあった。国家安全条例の制定問題や、重症急性呼吸器症候群(SARS)、当時の財政長官であった梁錦松(アントニー・リョン)氏による車の取得疑惑(自動車税が上がる前に高級自動車を取得した)という3点セットが響いたのだ。今年の7月1日は、中国返還20周年という節目の年だ。そして同日には、習近平国家主席が香港を初訪問するのではないかと噂されている。また、不人気であるキャリー・ラム氏が行政長官に就任する。この新たな3点セットに加えて、行政長官選挙の約1カ月前には曽蔭権(ドナルド・ツァン)元行政長官が、香港市民が一番敏感である住宅問題での便宜供与などの不適切行為の罪で、有罪判決を受けるというおまけまでついてきた。このまま、香港社会の閉塞感や見通しにくい将来への不安が強まれば、7月1日に再び大規模なデモが発生する可能性がある。


 当選直後の記者会見で、キャリー・ラム氏はそのことを自覚しているのか、「分断している香港を1つにする」ことを目標の1つに挙げ、「意見の相違が大きい所ではなく、合意ができるところから対処していった方がいいと思っている」と語った。新内閣には、民主党の創設メンバーである羅致光を迎え入れることが噂されており、融和をしようとする努力がうかがえる。しかし「合意できるところから」という意味の本質は、選挙制度改革について後ろ向きであることを示しているとも言える。また、国家安全条例制定は、中央政府からの〝業務命令〟であり、いずれ着手せざるを得ない。4月11日には、キャリー・ラム氏は習近平国家主席と面談。習氏は「中央政府は1国2制度を堅持する」と発言し、暗に香港の独立問題などにしっかり対処するよう求めた。つまり、いくら融和を唱えても香港を分断する問題として常にくすぶるため、今後5年間は、英国や米国と同様に、社会が分断したままの不安定な状態が続くことになりそうだ。




せきりゅう敵の魚雷を妨害、最新鋭潜水艦は560億円





最新鋭潜水艦「せきりゅう」最新鋭潜水艦「せきりゅう」



上自衛隊呉基地(広島県呉市)の第5潜水隊に配備された最新鋭潜水艦「せきりゅう」(排水量2950トン)が28日、母港となる呉基地に初めて入港した。


 せきりゅうは全長84メートル。運動性能が高い「そうりゅう」型の8隻目で、敵の魚雷を妨害して潜水艦の防衛能力を高めるシステムを新たに搭載した。65人が乗り込む。建造費は約560億円。13日に神戸市の造船所で引き渡し式があり、テスト航行をしていた。


 この日朝、呉基地の桟橋で隊員ら約320人がせきりゅうを出迎え、海自呉地方総監の池太郎海将が「艦の伝統は初代乗組員によって築かれる。1日も早く第一線の戦力となるよう訓練に励んでください」と歓迎のあいさつ。艦長の渡辺正裕2等海佐(45)は「しっかり練度をあげてわが国の安全保障に貢献したい」と話した。


 海自の現役潜水艦は17隻、このうち呉基地への配備は10隻となった。