忍者ブログ

時代を見通す日本の基礎情報

日本を取り巻くアジア情勢の変化 世界の情報を辛口で伝える情報部ログ 世の中はめまぐるしくかわっていきます その中で取り残されない為の情報をお伝えします Changing Asian situation surrounding Japan Tell the world information by information Department log The world is rapidly mood In order not to lag behind in its informed the <a href="https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=3BDZ68+72TSYA+4IRQ+5YJRM" rel="nofollow">なんでもまとめてお売りください!宅配買取「いーあきんど」</a> <img border="0" width="1" height="1" src="https://www19.a8.net/0.gif?a8mat=3BDZ68+72TSYA+4IRQ+5YJRM" alt="">

強硬であればあるほど良しとする」 共産党は人民解放軍を掌握しているのか・・中国

米クレアモントマッケナ大学のミンシン・ペイ教授が、National Interest誌ウェブサイトに2月10日付で掲載された論説で、中国の政軍関係について考察し、共産党は人民解放軍を支配してはいるが、その行動の自由を広く認めており、強硬であればあるほど良しとする「寧左勿右」の思考が蔓延していることが最大の問題である、と論じています。

 すなわち、中国と東アジアの隣国の間で起こり得る軍事衝突について、多くの人が懸念していることの一つは、中国の文民指導者が軍を強力に掌握しているかどうかである。この懸念は、2001年の中国軍戦闘機と米海軍電子偵察機の衝突、2007年の衛星破壊兵器実験、2011年のゲーツ訪中に合わせたステルス機の初飛行、尖閣近海での海自護衛艦への火器管制レーダー照射、尖閣上空へのADIZ設定といった、不穏な事件の続発によって高まっている。

 中国軍の戦略的意図を解読するための、実りあるアプローチは、人民解放軍(PLA)が享受してきた行動の自由の程度を分析することである。すなわち、一党独裁体制が、一貫して、過度にリスクを求めるPLAの行動を懲戒できなかったという経緯の中で検証することである。

 こうした観点から得られる一つの有用な観察は、PLAは、一般的に、共産党の確固たる支配の下にあり、主要な安全保障政策の策定においては、第二義的な影響力しか持たないということである。共産党が軍を支配する最も強力な手段は任命権である。PLAの最高司令部である中央軍事委員会は、政治的および個人的忠誠に基づいて文民指導者によって指名された、上級司令官で占められている。これらの将軍や提督は、中国の国家安全保障政策を議論する場で意見を言うことはあるかもしれないが、最終的な判断は、文民によってなされている。

 この推測が正しければ、東シナ海へのADIZの設定のような決定は、PLAの将軍の職責をはるかに越えるものであり、文民の最高指導者によって、最終判断がなされたはずである。同様に、衛星攻撃兵器の実験や、ステルス戦闘機の公開といった重要な決定が、時期は軍隊が決定したにせよ、文民指導者の承認なしでなされたはずはない。

 PLAは、主要な政策に決定的な影響力を持っていないかもしれないが、大きな行動の自由を持っている。これらは、最近の、中国と近隣諸国、米国との間の緊張を高める事件の要因となっている、危険な戦術的動きである。しかし、文民指導者に責任が無いというわけではない。PLAの兵士は、文民指導者によって承認された、一般的で曖昧な指令の下で行動していた、と考えるのが理に適っている。

 PLAには、組織として、前線の兵士に行動の自由を与える十分な手段を持ってはいないかもしれないが、最近の事件の、よりもっともらしい背景は、中国の軍人、あるいは中国の官僚機構全体に蔓延している「寧左勿右(右よりは左であれ)」という思考であるかもしれない。この思考の要点は、指揮命令系統上のあらゆる軍人が、トップからの一般的で曖昧な指令を、より攻撃的な方向に解釈し遂行する傾向を持っている、ということである。外交政策では、この思考が、過剰反応や過度にリスクのある行動に繋がっている。

 過去の記録によれば、より左翼的な行動をとった当局者は、出世したり、懲罰から免れたりしている。これまで、中国と隣国、米国の関係にダメージを与えた責任により懲戒されたPLA軍人は知られていない。

 それゆえ、PLAが乱暴になっているかどうかとの問いへの答えは、「安心もできるし心配でもある」ということになる。組織としては、PLAは共産党の強力な統制下にあるが、同時に、中国指導部は、PLAに、紛争の種を内包した政策指針と任務を与えている。PLAの大きな行動の自由と、トップレベルの決定のナショナリストあるいは敵対的側面を増幅させる思考という文脈の中で、中国の長年にわたる「紛争回避政策」を維持することは、決定的に困難になっている。

 最終的な解決法は、中国の文民指導者の手にある。文民指導者は、より明確な制約を軍に課すことで、より強力に軍の行動を統制しなければならない。最も重要なことは、向こう見ずな振る舞いに常に報奨を与える、危険なインセンティブの構造を止めなければならない、とうことである、と論じています。

* * *

 やり過ぎではないかと思われるぐらい過激な最近の中国の行動について、軍が党の意向に反して独走しているわけではなく、軍は今でも党の支配下にあるが、その範囲内ではかなり広い自由裁量権を持っており、その範囲の中では、「寧左勿右」(強硬を以て良しとする)の傾向が強く、党はそれを統制していない、という分析です。常識的で妥当な判断であり、おそらくは、この分析通りと思います。

 この分析が正しいとすれば、台湾侵攻、インド、ベトナム国境での武力進出などの大きな政策は、今でも党中央の統制下にあり、いかに「寧左勿右」の傾向が強くても、軍が独自の行動を取ることはない、と想定して良いのでしょう。

 ただ、尖閣周辺において、中国の海上警備船舶及び航空機が日本の領海に接近、侵入し、それに対抗する日本側の船舶、航空機に衝突ギリギリまでの行動を取るということは今後とも起こり得ると考えなければなりません。もっとも、火器管制レーダー照射などは、その国際的反応が強かった結果、今後は党の統制下に入った可能性はあります。

 この分析を、1930年代の中国大陸における日本の軍の行動と対比すると、「強硬論を以て良しとし、軟弱な態度を排斥する」傾向は全く同じであり、出先の裁量の範囲では、かなり危険な行動も予想されますが、それ以上の国家戦略において、かつての日本軍が「統帥権の独立」をかざして、中央の意向を無視する北支工作を行ったような行動をとることは、まだ無いと考えて良いでしょう。

拍手[0回]

PR