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時代を見通す日本の基礎情報

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東南アジアが期待する「強い日本」(その1

新たな防衛大綱策定や集団的自衛権行使をめぐる憲法解釈見直しの動きについて、安倍政権はアジア各国に丁寧に説明する努力を続けている。この姿勢に対する各国の評価はおおむね好意的だ。一方で今後の地域情勢への懸念もくすぶる。日本の防衛力向上は歓迎できる。ただ、中国との緊張がこれ以上激化することは避けてほしい……。安倍政権を見つめるアジア各国の見方は、この二点に集約される。

■■「防衛力整備」に理解

「東アジアの安定のため、日本が領土、領海をしっかり守っていく。(その取り組みの中に)防衛力整備があるのです」

 九月十八日、タイを訪問した小野寺五典防衛相は、ユタサック国防副大臣との会談で、自衛隊の水陸両用機能の強化などを盛り込んだ新たな「防衛計画の大綱(防衛大綱)」を策定し、防衛力向上を進めていく意図をこう説明した。また、集団的自衛権行使に道を開く憲法解釈見直しの議論にも言及。北朝鮮の弾道ミサイルの脅威など具体例を挙げ、見直しの議論が起こっている背景を解説した。六月末の内閣改造で、インラック首相が国防相兼任となって以来、実質的に国防相の役割を担うユタサック氏は「地域の安全と安定をより増大させる必要があることにはタイも同意する」と日本の取り組みに理解を示した。

 両氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国と中国の領有権争いが続く南シナ海問題についても意見交換し、「法の支配と、力でなく対話による問題解決」が重要との認識で一致。小野寺氏は、南シナ海での紛争防止のため、法的拘束力を持つ「行動規範」策定を目指すASEANと中国の協議を支持していくことも表明した。

 安倍政権の対ASEAN外交は、日本の防衛力向上について説明を重ねて理解を求めつつ、東アジアの安全保障分野でのプレゼンス強化を目指す。特に南シナ海問題への強い関心を示して各国と海洋安保協力を深めようとする姿勢が顕著だ。東南アジアの各国には、こうした日本の方針を支持する声が多い。

 シンガポールのウン・エンヘン国防相は、八月末にブルネイで開かれたASEAN拡大国防相会議で、小野寺防衛相から日本の防衛力整備について説明を聞いた。ASEAN一〇ヵ国と日米中など八ヵ国が参加した会議の後、ウン氏は記者団に「ほとんどの国が日本の説明を歓迎していた。各国とも、日本が安全保障上の必要に対応するために行っていることは納得しているようだった」と語った。シンガポールは、第二次大戦中は日本軍に占領され「昭南島」と呼ばれた歴史を持つが、ウン氏は「日本が(防衛力整備について)説明を行ったのは近隣国の感情を理解しているからだろう。我々はそれを歓迎する」と安倍政権の姿勢を肯定的に受け止める。

 太平洋とインド洋を結ぶ戦略的位置にあり、過去に日本軍に占領された歴史を持つインドネシアも同様だ。プルノモ国防相は今年六月にシンガポールで小野寺防衛相と会談した際、自衛隊を「国防軍」にするとした自民党の第二次憲法改正草案に賛意を示した。マラッカ海峡などいくつもの国際海峡を抱えるインドネシアにとって、沿岸警備能力の向上は緊急の課題であり、日本への期待も大きい。実際、日本から巡視船三隻の供与やシステムを運営する人材育成などの支援を受けている。

 ただ、シンガポールやインドネシアのこうした反応の裏にあるのは、日本への単純な信頼だけではない。日本が防衛力を高め、安全保障面で東南アジアへの関与を強めることが、海軍力増強と南シナ海の実効支配を進める中国への牽制になると見ているのだ。

■■「海洋安保協力」への期待

 ASEAN加盟国の間での日本への期待の度合いは、簡単に言えば、南シナ海での中国との緊張の度合いに比例している。日本に対し特に熱い歓迎ぶりを示しているのは、フィリピンとベトナムだ。

 フィリピン政府は今年、南シナ海の係争地スカボロー礁をめぐる中国の領有権主張は不当だとして、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判を申請した。中国はこうしたフィリピンの姿勢に強く反発し、九月初めに中国国内で開かれた恒例の「中・ASEAN博覧会」へのアキノ大統領の出席を拒むという異例の措置に出た。

 安倍首相は七月末にフィリピンを訪問した際、政府開発援助(ODA)を活用して海上保安庁の巡視船一〇隻を供与する考えを表明した。アキノ大統領との会談後の記者発表では「フィリピンは基本的価値、多くの戦略的利益を共有する戦略的パートナーだ」と強調。「国際的な法の支配堅持」を目指して仲裁裁判を申請したフィリピンへの支持を打ち出した。

 巡視船供与という目に見える形での支援を受けたことについて、フィリピン沿岸警備隊のアルマンド・バリオ広報官は「我々の能力近代化に大きく寄与する」と手放しで歓迎した。フィリピンでは、南部ミンダナオ島を拠点とする武装勢力「モロ・イスラム解放戦線」などとの紛争が長年続いたことで、「陸戦力への偏重傾向」(外交筋)が指摘されていた。沿岸警備隊が所有する主な艦船は、一九九〇年代に日本から供与されたものを含めて一〇隻に満たず、今回日本が巡視船一〇隻を供与したことの意味は小さくない。

 フィリピン政府筋は、「七〇〇〇以上の島々からなるフィリピンでは巡視船はまだ足りない」とし、日本からのさらなる援助に期待を示す。その上で、「フィリピンの防衛能力は十分でない。だから、あらゆる手段を動員して安全を守っていく」と述べた。米軍の事実上の駐留に道を開く新協定締結と合わせ、日本との防衛協力拡大を重視していく考えだ。

 ベトナムは九月十七日、訪越した小野寺防衛相を中南部カムラン湾に招いた。ベトナム戦争中は米軍、その後は二〇〇二年まで旧ソ連・ロシア軍が駐留していた戦略的要衝だ。小野寺氏はベトナムが保有する最新鋭のフリゲート艦などを視察。基地司令官からは、カムラン湾がベトナムと中国が領有権を争う南沙諸島に面し、「南シナ海の警戒監視の要」になっていると説明を受けた。小野寺氏も、東シナ海で日本が中国船に対して行っている監視活動などを説明した。小野寺氏は記者団に「外国の軍関係者で初めて、日本を招待したそうだ。日本とベトナム。東シナ海と南シナ海。海域は違っても同じような環境にあるのだなと思った」と感慨深げに語っていた。この時期に日本の防衛相がカムラン湾を訪問したこと自体、日越による中国牽制の狙いが色濃い。

東南アジアが期待する「強い日本」(その2

日中「軍拡競争」に懸念も

 ASEAN各国は今、尖閣諸島をめぐる日中間の動きを注視している。その理由をシンガポール・ナンヤン工科大学のブビンダ・シン准教授(国際関係論)は「東シナ海における中国の(日本に対する)出方を見ることで(南シナ海で今後予想される)中国の出方、軍事面など各種能力を見られるからだ」と解説する。
 ただ、ASEANの中には、親中とされるカンボジアとラオスのような国もある。カンボジアが議長国だった二〇一二年七月のASEAN外相会議では、南シナ海問題で対中強硬派のフィリピン、ベトナムと対立。共同声明発表を見送るというASEAN創設以来初めての事態になったことは記憶に新しい。

 そのカンボジアは、日本の防衛力整備、東南アジアでの安保プレゼンス強化をどう見ているのか。カンボジア平和協力研究所のチェアン・バンナリス上席研究員は「日中の(尖閣諸島をめぐる)争いは地域の平和と安定に脅威となる。軍事衝突の可能性も排除できない。日中双方ともカンボジアにとっては開発と戦略上の重要なパートナーだ。日中の緊張が高まることで、カンボジアは大きな戦略的ジレンマに陥っている」と言う。
 ODAの受け入れ・調整窓口「カンボジア開発評議会」によると、二〇一二年の中国の対カンボジア援助(予測値)は三億四七一〇万ドルに対し、日本の援助は一億七五七〇万ドル。だが、中国の援助が大部分借款なのに対し、日本は無償支援(技術協力を含む)が三分の二以上だ。バンナリス研究員の言う通り、中国だけでなく日本との関係も重視せざるを得ない立場にあるのがカンボジアだ。

 またASEAN全体にとっても、中国と日本は共に重要な域外貿易相手国。国際通貨基金(IMF)によると、二〇一一年のASEANの輸出は、ASEAN域内を除くと対中国が一二・九%で一位。一〇・一%の日本は三位だった。域内を除く輸入も、一位は中国(一四・四%)で二位が日本(一〇・七%)だった。タイ・チュラロンコン大学安全保障・国際問題研究所上席研究員のカビ・チョンキタボン氏は「日中の衝突は双方にとり破滅的な結果をもたらすもので、考えにくい」との見方を述べたうえで、「ASEANの多くの国は日中双方との良好な関係を望んでおり、(日中の緊張が続く)今は困った状況と言える」と指摘する。

 日・インドネシア関係筋は「日本は緊張を高めるのでなく、安全地帯の構築に向け、東南アジアと共に働くような外交を進めるべきだ」と話す。

■■福田ドクトリンの遺産

 現在の東南アジア各国と日本の関係を形作った外交方針の一つに「福田ドクトリン」がある。一九七七年に福田赳夫首相(当時)が発表したASEAN外交の基本線で、「日本は軍事大国にならない」「ASEANと心と心の触れあう関係を築く」「日本とASEANは対等なパートナーである」と宣言した。インドネシアの有力英字紙『ジャカルタ・ポスト』のメイディヤタマ・スルヨディニングラット編集長は「日本の防衛力にそれほど強い警戒心が生まれなかったのは、日本がこの宣言を過去三五年実践し、東南アジアに援助と投資を続けてきたことが報われた、ということではないか」と言う。

 日本が「福田ドクトリン」を実践していることを示す出来事の一つが、マラッカ海峡での海賊対策をめぐる協力だ。

 ペルシャ湾岸から東アジアへの主要な石油輸送ルートであるマラッカ海峡の安全確保は、言うまでもなく日本の国益と安全保障に直結する問題だ。日本は、二〇〇〇年に東京で海賊対策国際会議を開催した後、翌年には小泉純一郎首相(当時)が海賊対策での地域協力促進を提唱。国際協力事業団(現・国際協力機構)が中心となり、マラッカ海峡周辺の国々の海上警備当局者らを対象とする研修を行ってきた。二〇〇六年には日本の呼びかけでASEANなど一六ヵ国が賛同して「アジア海賊対策地域協力協定」が締結され、締約国のための情報共有センターがシンガポールに置かれた。

 メイディヤタマ氏は「アメリカや中国なら、海賊対策、テロ対策と言うとすぐに、自国の艦船を現地に送り込んでくるところだ。日本はそんなことはしなかった」と話す。直接的な軍事的プレゼンスは示さず、海峡周辺国による取り組みを後押しする日本のやり方が安心感を与えるものだったという。これに対し、アメリカは二〇〇四年にマラッカ海峡警備のため海軍特殊部隊派遣の意向を表明したが、インドネシアとマレーシアの猛反発を招いて頓挫した。

 タイ・チュラロンコン大のカビ氏は「日本はすでに一九九〇年代初めに憲法解釈見直しを行ったが、それはカンボジアでの国連平和維持活動(PKO)参加を可能にするのが目的だった。今後行われる憲法の解釈見直しが日本の自衛力の向上につながるものであるなら、それが(福田ドクトリン以来の)路線修正につながるものなのかどうか、近隣国への説明は欠かせないだろう」と述べ、日・ASEAN間の「対等な関係」に基づく丁寧な対話がこれまで以上にカギを握るとの見方を示す。

 日本が南シナ海問題への関与を深めていることについても、シンガポール・ナンヤン工科大のシン准教授は「それ自体は歓迎すべきことだが、日本の関与でASEANの結束が乱れるようなことがあってはならない」と述べる。日本がフィリピンやベトナムに接近する一方で、対中関係を重視せざるを得ないカンボジアや、日中双方と良好な関係を維持してきたタイなどを居心地悪くさせない配慮と、何よりも日中関係を極端に悪化させない努力が重要になるという指摘だ。ASEANは二〇一五年末までの経済共同体発足を目指しており、加盟国間の調整が大詰めにさしかかっている時期でもある。その成否は、日本経済の回復にも大きな影響がある。

■■日本の「自信回復」

 九月七日(現地時間)に二〇二〇年夏季五輪・パラリンピックの東京開催が決定し、「七年後の日本」について様々な予想が行われるようになった。アジアの識者の間では、日本が急速に自信を回復し、経済だけでなく政治・安全保障面でもリーダーシップを発揮するようになるといった議論が聞かれる。

 ASEANと並んで、日本がアジアで対中牽制のパートナーと目してきたインド。首都ニューデリーの調査研究機関「アジア戦略研究センター」のA・B・マハパトラ所長は「中国は、北京五輪後すぐに地域での自国の存在を誇示し始めた。だから東京五輪を機に日本もそうした態度に出ると見て、警戒を強めることだろう」と述べ、当面、日中の緊張が高まることは避けられないと予想する。そのうえで、マハパトラ氏は、「中国がそういう出方なら、日本は逆に、五輪開催で高まる存在感を平和と地域の協調の追求に利用する姿勢を強調すればよい。それによって中国との違いを際立たせることができるし、第二次大戦の負のイメージ払拭にもつながるだろう」と話す。

 五輪という目標を得て自信を回復した「強い日本」。その日本が、中国の台頭で崩れかけた地域のパワーバランスを是正する。今のアジアには、そんな期待も生まれようとしている


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