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竹島問題では強硬路線を貫く韓国にとって、頼るべき米国が日本側に立ったのではないかと気が気でないようだ。
竹島と「独島」の併記が米国で増えていると指摘したのは、2014年2月20日付の大手紙「朝鮮日報」電子版(日本語)の記事だ。例として挙げたのが、米議会調査局(CRS)の報告書。ウェブサイトには、国政上の各種課題について実施された調査に関するリポートが何本も公開されているが、その中の一部で使われた地図での表現を問題視している。
例えば2013年8月2日発表の、日米関係をまとめた報告書。地図では竹島が「リアンクール岩礁(竹島/独島)」と書かれていた。リアンクール岩礁は、米地名委員会が標準名として使用している名称だ。そこに加えて竹島、「独島」の順で書かれているのが、どうやら韓国側は納得できないらしい。さらに2014年1月15日付の「北朝鮮:米国との関係、核外交、内部事情」と題された報告書での地図には、「独島/竹島」とまたもや併記されていた。
民間の地図にも同様の流れが起きているようだ。「ナショナル・ジオグラフィック」の公式サイトでは世界地図を閲覧できるが、ここでも「独島」と竹島は並べて書かれていた。
島の実効支配を続ける韓国にとって、「わが領土」であるはずの「独島」が竹島と併記されているのが不満なようだ。朝鮮日報は、CRSの報告書が米政府の政策立案、立法過程に影響を与えるため、今後の表記がどうなるか懸念を示した。
朝鮮日報は、米国で呼称が変更された時期や変更理由についてはとくに書いていない。
では米国が「日本寄り」に傾いたかと言えば、微妙だ。米地名委員会の公式サイトでは、米国内で用いられる外国の地名を検索できる。アルファベットで「リアンクール岩礁」「独島」「竹島」とそれぞれ入力すると、いずれも結果は同じ島が検出される。ただ、帰属する国名を見ると韓国となっているのだ。もっとも検索結果として表示される地名については、すべて「地理的な主権に対する米政府の見解を反映したものではない」との断り書きがついている。
CRSの報告書に掲載された地図で併記されていたのは、実は竹島と「独島」だけではない。先述の2013年8月2日付の資料を見ると、沖縄・尖閣諸島は、中国名の「釣魚島」と、さらに北方領土も「クリル諸島」というロシア名と、いずれも並んでアルファベットで表記されている。北方領土については「1945年に旧ソ連が占領、ロシアが実効支配しており日本が返還を要求」という注釈がついている。竹島と尖閣諸島については、このような記述は見当たらない。
CRSの真意は不明だが、近年になって火種となってきた竹島と尖閣諸島は、関係各国の間で波風が立たないようにと日中韓それぞれが主張する呼称を等しく用いただけかもしれない。
一方、こちらも韓国が攻勢を強めている日本海の名称について、CRSの報告書では「日本海(東海)」との書き方で、韓国側が主張する呼称は併記ではなく「カッコ」の中に収められた格好だ。
日本政府はこれまで、竹島問題の解決のため国際司法裁判所への付託を検討してきた。ただし付託は、当事国すべてが共同で行わないと認められない。過去3回にわたる日本側の呼びかけにも、韓国は拒否し続けてきた経緯がある。
朝鮮日報は、米国での「併記」の動きについて、竹島問題を「国際紛争化に悪用するのでは、と懸念されている」という言い回しで報じた。安倍晋三首相は1月30日の参院本会議で、国際司法裁判所への単独提訴を含め検討していると述べた。韓国としては、日本に加えて米国からも「外堀」を埋められれば、いずれ共同付託に応じざるを得ない、それは避けたい――。こんな思惑が、朝鮮日報の「国際紛争化に悪用するのでは、と懸念」という表現から読み取れる。