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狂気の独裁者、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の“暴走”が新段階に達した。28日深夜、北朝鮮中部から弾道ミサイルを発射した。米軍は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と断定し、米西海岸のロサンゼルス、さらに東海岸のワシントンを射程に収めるとの見方もある。危機感を強めるドナルド・トランプ米政権が軍事行動に踏み切る可能性はさらに高まったといえそうだ。
日本政府の発表によると、弾道ミサイルは28日午後11時42分、北朝鮮中部慈江道(チャガンド)から日本海に向けて発射された。約45分間飛行し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられる。航空機、船舶への被害は確認されていない。
「北朝鮮に対し、厳重に抗議し、最も強い言葉で非難する」。安倍晋三首相は29日未明、記者団に対してこう述べ、危機感を表した。
米国の緊張感を強まった。聯合ニュースは、29日午前5時45分(日本時間同)ごろ、米韓両軍が韓国東部の日本海側で弾道ミサイルの発射訓練を行ったと伝えた。
また、米韓両軍の制服組トップが電話会談し、米国防総省によると、北朝鮮への軍事的な対抗措置の選択肢を協議した。
トランプ米大統領は28日、声明を発表し、北朝鮮の行動は「無謀で危険だ」として非難し、「米本土の安全を確保し、地域の同盟諸国を守るため、あらゆる必要な対策を講じる」と強調した。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、発射に立ち会った正恩氏が「米本土全域がわれわれの射程圏内にあるということがはっきりと立証された」と述べたと伝えた。
正恩氏の言葉は、北朝鮮お得意の強がりではない。米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は28日、現時点で判明している発射データから計算して「通常軌道で飛行した場合の射程は9000~10000キロに達する可能性がある」との分析を明らかにした。事実であれば、北朝鮮のICBMはロサンゼルスを含む米西海岸を射程に収める。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「今回のICBMの性能を精査すると、地球の自転を加味すればワシントンに到達する。ニューヨーク、ボストンは十分に狙えるようになった」と話し、こう続けた。
「4、5月は日本や韓国など周辺国や在日、在韓米軍への被害を考慮し、踏みとどまった。だが、すでに7月のICBM発射時点で、トランプ政権が言っていた『レッドライン』は越えていた。北朝鮮が投げてきたボールに対し、米も応えなければならない。その中には、当然、軍事オプションは含まれている」
米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は、プリーバス大統領首席補佐官を解任し、後任にケリー国土安全保障長官を起用した人事について「軍人のケリー氏に代えたのは、北朝鮮をにらんだ人事シフトの面があるだろう」と指摘。今後の米国の動向について「軍事攻撃の可能性は確実に高まったと思われる。世論、議会の支持を得るため、北朝鮮の暴発を引き出すような工作を情報機関が進めていくのではないか」と語った。
日本も覚悟を固めないといけない。
北朝鮮の朝鮮中央通信は29日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の2回目の発射実験を28日夜に行い、「成功した」と報じた。発射に立ち会った金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は「任意の場所から任意の時間に奇襲発射できる能力を誇示した」と述べ、「米本土の全域が射程圏内にあることが立証された」と強調した。
同通信は、ミサイルは高度3724・9キロに達し、47分12秒間に998キロ飛行したとし、弾頭部の大気圏再突入技術について「数千度の高温でも安定性が確認された」と主張した。
発射については、朝鮮戦争休戦協定締結64年となる27日に金委員長が命令書に署名し指示したとしている。北朝鮮はこの日を「戦勝日」と位置付けている。金委員長は「分別を失った米国に厳重な警告を送るためだ」と述べたという。
【北京=藤本欣也】
中国側は連日、官製メディアなどを通じてインドを激しく非難し、インド軍の撤退を要求している。問題となっているドクラム地区での道路建設は、単なるインフラ整備ではなく、係争地を自国領に組み込む国策の一環との見方が強い。習近平政権は南シナ海における人工島の造成同様、断固として推進していく構えだ。
何度も言っていることだが、問題を解決するには、中国領に不法に越境してきたインド部隊の撤退しかない」。中国外務省の陸慷報道官は26日の記者会見でこう強調した。
中国メディアも強硬だ。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は21日付の社説で、領土を失わない限り平和が得られないというなら、「14億の中国人民はそんな平和は要らない」と主張。さらに「中国とインドの軍事費の格差は4対1、国内総生産(GDP)は5対1だ」と指摘した上で、「インドが1962年(の中印紛争)と同様の過ちを再び犯さないよう希望する」と警告した。
中国側が強硬姿勢を示す背景には、習国家主席が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」への参加を拒否するなど、中国の思い通りにならないインドへの反発が底流にある。
中国人民解放軍のシンクタンク、軍事科学院の趙小卓・大校(上級大佐)は26日付の中国英字紙、チャイナ・デーリーに寄稿し、「なぜ、インドは中国の道路建設に敏感なのか」と疑問を提示。インドはインフラ整備を経済発展ではなく、軍事上の観点だけで見ているとして、一帯一路への参加を拒否する同国の姿勢をも批判した。
ただ、係争地で中国がインフラを整備し領有の既成事実化を図る動きは、南シナ海と全く同じで、インドが激しく反発する理由となっている。
一帯一路をめぐっても、沿線国のスリランカで住民が港湾整備への反対運動を展開するなど、「相互利益、共同発展を掲げる一帯一路は世界で熱烈に歓迎されている」(趙氏)状況とは必ずしも言えないのが実情だ。