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国連安全保障理事会は18日午前(日本時間同日夜)、緊急会合を開催して対応を協議する。
オーストラリアのアボット首相は18日、旅客機は「ロシアが支援する(ウクライナの)反政府勢力」により撃墜されたとの見方を示した。
墜落したアムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空の旅客機は高度約1万メートル上空を飛行中、レーダーから姿を消した。インタファクス通信によると、旅客機のフライトレコーダーは親露派勢力が回収したという
オバマ米大統領は、ウクライナのポロシェンコ大統領と電話で協議し、全ての残骸を調査のためウクライナ領内に留め置くよう求めた。親露派武装勢力やロシアによる「証拠隠滅」を警戒しているとみられるが、原因究明が難航する可能性もある。
一方、ウクライナの治安当局高官は親露派戦闘員とみられる人物が「飛行機を撃墜した」と打ち明ける電話の傍受内容を公表した
ウクライナ保安局は17日、東部でのマレーシア航空機墜落に関連し、地元の親ロシア派武装勢力のメンバーがロシア軍幹部に「撃墜を報告した」とする会話の盗聴記録を公表した。保安局は、親露派が民間機を軍用機と誤認して撃墜した証拠と主張しているが、真偽は不明。
[欧米メディアによると、公表された会話の一つは墜落20分後のものとされ、親露派勢力の指揮官とされる人物がロシア軍の情報将校に「われわれは飛行機を撃墜した。機体を捜索、写真撮影に向かっている」と報告。「どのぐらい前のことだ」との質問に「約30分前だ」と答えている。
ウクライナ東部のマレーシア航空機墜落現場から上がる黒い煙=17日(タス=共同)
ウクライナ東部のマレーシア航空機墜落現場で、炎を上げる残骸=17日(タス=共同)
安倍晋三首相(59)の豪州7月訪問は、中国もにらんだ「準同盟」を確認する大成果を上げたが、敵失にも助けられたと思っている。豪州は近隣の軍事大国出現を阻み、近隣に敵性軍事大国の基地を置かせない安全保障政策を伝統的に採ってきた。特に、北方は戦略的緩衝帯として絶対防衛権に位置付ける。ところが、中国海軍は豪北方の戦略的要衝で初軍事演習を断行、対中警戒をかつてないほど高めた。(SANKEI EXPRESS)
中国はわが国近代史の捏造に殊の外熱心だが、豪州が大東亜戦争(1941~45)中、大日本帝國陸海軍によるニューギニア島~ニューブリテン島~ガダルカナル島といった北方の支配に、多大な犠牲を払い徹底抗戦した戦史を学んでいないのか。目立ち始めた中国の戦略的錯誤が、対中包囲網→地球の平和へとつながる僥倖に期待する。
豪の「北の玄関口」に出る
豪国会で演説した安倍氏は、帝國陸海軍と豪軍を主力とする聯合軍とのニューギニア戦線における激戦「ココダ(道の戦い)」に触れた。「哀悼の誠を捧げる」ための引用だったが、豪州の対中警戒を覚醒させたとすれば巧妙だ。
中国海軍南海艦隊戦闘即応戦隊が1月29日、豪北西インドネシア・ジャワ島の最西端スンダ海峡を通りインド洋に進出。初の軍事演習を行い、豪北方沿岸を睥睨しつつジャワ島東のロンボク海峡を北上した。中国艦隊がインドネシア列島線を越え豪北方海域に出た前例はない。当該海域は豪州の「裏庭」ではない。「北の玄関口」である。
即応戦隊は輸送揚陸艦とイージス駆逐艦、ミサイル駆逐艦の3隻。潜水艦1隻が護衛していた可能性が高い。中国南部の軍港~南シナ海~西太平洋を反時計回りに23日間、1万5000キロ近くを航海した。当然、途中の示威行動は忘れない。
例えば(1)ベトナムから武力強奪したパラセル(西沙)諸島=台湾も領有権主張(2)フィリピン軍駐屯の馬歓島=台越中も領有権主張(3)マレーシア沖50キロのEEZ(排他的経済水域)内ジェームス礁=中国も領有権主張=近くを巡った。
その後はインドネシア列島沿いに、既述した(4)スンダ海峡~ロンボク海峡(5)マカッサル海峡~フィリピン東沖(実弾射撃訓練実施)(6)比台間のバシー海峡を経て帰港した。
危機感を強めた豪公共放送は専門家の警告を紹介した。
「豪州北の玄関口周辺で新鋭艦が示威航海したが、豪州のインド洋における航路帯に中国海軍が直接影響力行使できる実態を初めて具体的に示した」
そもそも、スンダ海峡沖には歴史的にインド洋東部に影響を与えてきた豪領の島嶼が浮かぶ。特に、ココス諸島には米軍無人偵察機基地が陣取る。豪州大陸でも、米海兵隊2500人が半年間隔で北部にローテーション配備。中央部では、米軍とCIA(米中央情報局)が共同運用する衛星追跡施設が、東南アジアなどを偵察する軍事衛星のデータを解析している。
間の悪い艦隊大航海
対する中国も、南/西太平洋上の一部小群島国家への海軍艦艇寄港やEEZでの活動を活発化。“中国漁船”の一部も、米豪軍の通信傍受を担任していると観られる。
導火線は在ったにせよ、豪州を「その気」にさせた中国海軍は他にも、大きな過ちを犯した。即応戦隊がインドネシア海域を航行中の1月30日、超党派の米議会諮問機関《米中経済・安全保障検討委員会》において、米海軍情報局が中国海軍の戦力分析・評価を説明。即応戦隊大航海の「間の悪さ」を一層引き立てた。曰く-
《旧型が急速に退役、大型で多用途の先進兵器搭載艦に替わった。2013年だけで50隻超が建造・進水・就役。14年も同様の数を見込む。先進兵器のほとんどが、米軍介入阻止を目的としている》
各兵器の分析・評価も、米議会を刺激するに十分だった。
《将来型潜水艦・水上艦搭載の対地巡航ミサイルは、グアムなどの米軍基地に向けた攻撃力を増強。潜水艦発射型弾道ミサイルはハワイ/アラスカ/米本土西部を攻撃範囲に収める》
だのに、米オバマ政権の反応は相変わらずピリッとしない。オバマ政権を横目に、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国も腰を引く。マレーシアのヒシャムディン・フセイン国防相(52)に至っては「大国=中国に接する場合、自国能力に現実的でなければならない」と公言してはばからぬ。ASEAN諸国は輸入や開発援助など、中国が時々にぶら下げるアメと脅威烈度を秤にかけ、猫の目の如く態度を変える。
「勝利による敗北」の構図
実際5月11日、ASEAN首脳会議は、名指しは避けたが中国に「深刻な懸念」を表明(議長声明)した。声明は、あろうことか会議直前、中国がパラセル諸島付近のベトナムEEZ内に石油掘削リグを設置、中国海軍・海上警備当局の艦船80隻と越海洋警察・漁業取締当局の艦艇30隻が衝突した事態など、南シナ海で狼藉を止めない中国への強い牽制だった。
しかも、越比など対中強硬派は無論、越比同様領有権紛争を抱えても中国批判を控えるマレーシア、中国と加盟国のパイプ役インドネシアまで、ベトナムの対中非難を理解した。
縷縷論じてきたが、賢者を自任する中華帝国としては「間」が抜けている。《自滅する中国/なぜ世界帝国になれないのか=芙蓉書房》の著者エドワード・ルトワック(71)は、一方的勝利継続は相手の反動を呼び、結局は自らを滅ぼす逆説的論理《勝利による敗北》を指摘する。即ち-
《国際常識を逸脱した台頭・侵出は畢竟、各国の警戒感や敵愾心を煽る。中立的国家はじめ、友好国の離反まで誘発。敵対国同士の呉越同舟さえ促す。斯くして各国は連携・協力し、場合により同盟まで結ぶ。情勢は中国に次第に不利になり、その大戦略・野望は挫かれる》
翻ってみれば、日本はベトナムに経済支援→ベトナムはロシアから潜水艦購入→同型潜水艦を運用するインド海軍が越海軍乗員を訓練する-意図せぬ構図を生んだ。米比軍事協力は復元し、米印関係も牛歩ながら前進している。今次日豪関係深化も含め全て中国の“お陰”だ。
中国の「傲慢ボケ」が創り出す「間の悪さ」=戦略的錯誤→中国の孤立という悪循環、否、好循環が地球を救う。(
京急電鉄が走らせている「京急イエローハッピートレイン」=京急電鉄提供
西武と京急コラボ「幸せ」の黄色と赤の電車を運行
(1)砂層型メタンハイドレートについて
我が国周辺海域に相当量の賦存が期待されるメタンハイドレートを将来のエネルギー資源として利用可能とするため、海洋産出試験の結果等を踏まえ、平成30年度を目途に、商業化の実現に向けた技術の整備を行う。その際、平成30年代後半に、民間企業が主導する商業化のためのプロジェクトが開始されるよう、国際情勢をにらみつつ、技術開発を進める。
(2)表層型メタンハイドレートについて
日本海側を中心に存在が確認された表層型のメタンハイドレートの資源量を把握するため、平成25年度以降3年間程度で、必要となる広域的な分布調査等に取り組む。
このように記述したうえで新「開発計画」は、中長期的なメタンハイドレートの開発方針に関して、図2のような工程表を掲げている。
新「開発計画」の最大の特徴は、海洋産出試験で成果をあげた砂層型メタンハイドレートの利用に関して、平成30年代後半(23~27年)に民間ベースでの商業化をめざすという目標時期を明示した点に求めることができる。
■実用化へ向けて解決すべき3つの課題
もちろん、メタンハイドレートの実用化・商業化には、解決しなければならない問題が多々存在する。開発への取り組みが一歩先行している砂層型メタンハイドレートに限ってみても、以下のような課題を達成しなければならない。
第1は、生産技術の確立である。13年に実施した海洋産出試験では、坑井内に砂が流入する出砂が想定以上に発生したこと、気象条件が悪化したことなどにより、当初2週間を予定していたガス生産実験が6日間で終了することとなった。出砂など長期安定生産を行ううえで障害となる課題を克服する技術開発が急務である。また、減圧法のさらなる改良によって、生産量を増大させる必要があることも判明した
○石油・天然ガス
我が国周辺海域の探査実績の少ない海域において、石油・天然ガスの賦存状況を把握するため、三次元物理探査船「資源」を活用した基礎物理探査及び賦存可能性の高い海域での基礎試錐を機動的に実施する。また、得られた成果等を民間企業に引き継ぐことにより、探鉱事業の推進を図る。
○海底熱水鉱床
国際情勢をにらみ、平成30年代後半以降に民間企業が参画する商業化を目指したプロジェクトが開始されるよう、既知鉱床の資源量評価、新鉱床の発見と概略資源量の把握、実海域実験を含めた採鉱・揚鉱に係る機器の技術開発、環境影響評価手法の開発等を推進する(中略)官民連携の下、推進する。
○コバルトリッチクラスト(要旨)
公海域については、平成40年(28年)末までに民間企業による商業化を検討する。南鳥島周辺のEEZについては、資源量評価のための取組を本格化する。
○レアアース堆積物(要旨)
当面、3年間程度で海底に賦存するレアアース堆積物の調査を行い、概略資源量の把握に努める。同時に高粘度特性堆積物の採泥技術、大水深下からの揚泥技術などの開発に取り組む。
一橋大学大学院商学研究科教授 橘川武郎=文 大橋昭一=図版作成