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同法が国会で成立した翌日の7日付同紙朝刊は、1面が「秘密保護法が成立」の白抜き横の大見出し、2面も「数の力 強行突破」の白抜き横見出し。第1社会面は「反対あきらめぬ」の白抜き横大見出し、「『廃止する活動 始めよう』」の縦見出しに、「怒り 列島包む」として全国5カ所の反対運動の写真を掲載している。大勢集まったようには見えないのに…。第2社会面に至っては「戦中に戻すな」の白抜き横大見出しに「『国民同士監視 怖いんだ』」の縦見出しといった構成。異様な紙面づくりである。
8日付朝刊1面コラム「天声人語」も「戦争に駆り立てられる。何の心当たりもないまま罪をでっち上げられる。戦前の日本に逆戻りすることはないか。心配が杞憂(きゆう)に終わる保証はない。おととい、特定秘密保護法が成立した」と情緒的に読者の不安を煽(あお)る。
しかし、よく読むと、言葉の威勢はよいが、根拠は希薄だ
3日付朝刊は「秘密漏らせば民間人も処罰」と題してシミュレーションを載せた。防衛省から紙ベースの記録を電子化してデータベースにしてほしいという依頼を受けた民間会社はその際、厳重な守秘義務を課せられた。記録一式が「特定秘密」に当たるという。だが、担当した航空機マニアのシステムエンジニアが、資料の中にあった研究開発中の航空機設計図や性能試験の詳細について、航空機マニアの会議でつい口を滑らせてしまう。と、仲間の一人が秘密情報をブログに書き、ネット上で瞬く間に拡散して防衛省の気づくところとなり、システムエンジニアが処罰されるという内容だ。
≪既存法違反の事例まで動員≫
言うまでもないが、これは、これまでの法律でも処罰されるような案件だ。明らかに守秘義務違反だからだ。しかし、朝日は特定秘密保護法ができれば、「民間人も処罰の対象になる」と警告する。こんな社員がいるような企業に防衛省は仕事を発注できない。守秘義務を守らない企業と取引のある防衛省に、米国防総省もまた情報を提供できない。当たり前だ。
6日付朝刊も「規制の鎖 あなたにも」「懲役10年 民間人でも厳罰」との見出しで以下のようなケースを紹介している。「防衛産業」(防衛省関係か?)の研究員が酒席で、大学の同窓生に北朝鮮のミサイル情報を漏らす。同窓生がやはりブログで書き、他の防衛マニアがそれを分析してネットで流布してしまう。そのため研究員と同窓生は捜査機関に事情聴取されるというものだ。これまた既存の法律でもアウトの案件だ。言葉は踊るが、中身に根拠はなく、プロパガンダというほかない。
朝日は特定秘密保護法の制定を機に安倍政権批判にシフトチェンジしたように見える。第1次安倍政権では、同社幹部が「安倍の葬式はうちで出す」「安倍叩(たた)きはうちの社是」と述べたとの話もある(小川榮太郎『約束の日』=幻冬舎)ほど政権と全面対立した。
それが、今年2月初め、朝日の記者から会ってくれとの電話があって、記者は会うなり、「朝日は安倍政権と対立しないと決めた」と言う。第1次政権で対立してお互いに何もよいことがなかった。だから今度は是々非々で行くというのだ。理由を聞くと、第1次政権で対立して部数を相当落としたとのことだった。
≪憲法改正反対視野の前哨戦≫
その後の論調は、記者の言った通り、極めて穏健なものだった。ひどく責め立てる主張はなく、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)や消費税増税では歩調を合わせさえした。しかし、逆にコアな読者に、不評を買って東京新聞や共産党のしんぶん赤旗に移られるなどして、部数を落としたという話もある。
しかし、ここに来て是々非々の姿勢さえやめたようだ。原点に戻ったのである。視野に置いているのは憲法改正だろう。
近い将来の最大の課題が改憲であることは衆目の一致するところだ。安倍政権が続けば、改憲が実現してしまう。ならば倒せということだ。17日に閣議決定した「国家安全保障戦略」についても、18日付社説で「9条掘り崩す」「軍事力の拡大ねらう」と一方的に批判。中国の脅威を背景に改憲の是非をめぐる熾烈(しれつ)な攻防戦が始まったと見るべきだろう。
朝日の論調を侮れないのは、テレビのワイドショーでそれに合わせた番組作りをするところが少なくなく、ワイドショーが世論を作るからだ。冒頭の女性はその象徴だ。安倍政権にはこれらに抗すべく戦略的対応が求められる
徴用工訴訟は、来年1月にも大法院で被告の新日鉄住金と三菱重工業に対する判決が出る見通しだ。昨年7月の高裁判決では両者への賠償が命じられ、大法院で覆る可能性は低いとみられている。
日韓両政府は7月以降、実務者が東京とソウルを往復し、最高裁判決が出た場合の対処方針を協議。日本側は敗訴判決が確定した場合「明確な国際法違反になる」と指摘してきた。
韓国側は「三権分立の原則から、政府は司法判断を尊重せざるを得ない」としながらも、政府間で一度結んだ協定を一方的に覆す行為を「国際社会の信用を損ないかねない」と懸念。日本企業が原告側に見舞金を支払うことなどで和解し、判決を回避できないかと暗に打診してきたという
しかし日本側は「韓国側に金銭を支払えば、請求権協定の趣旨を日本側から否定しかねない」(外務省幹部)と反発。菅義偉官房長官や岸田文雄外相は、(1)判決前の和解には応じない(2)敗訴判決が確定し、韓国側が日本企業の資産差し押さえに出た場合は、日韓請求権協定に基づいて協議を呼びかける(3)協議が不調に終わった場合は国際司法裁判所(ICJ)へ提訴する-との方針を確認した。
韓国側にも複数の外交ルートを通じて伝えたという。
日本政府は、韓国最高裁での判決を控え、三菱重工業、新日鉄住金とも協議を重ねており、2企業の敗訴が確定しても賠償金を支払わないよう求めている。日韓関係は安倍晋三首相の靖国神社参拝で悪化しているが、首相周辺は「国際法を無視するような振る舞いは国際社会からも批判が集まる」として、韓国側への妥協は拒む考えだ。
◇
日韓請求権協定 昭和40年、日韓の国交正常化に合わせて結ばれた戦後賠償に関する2国間協定。日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの経済支援をすることで、両国間の請求権は「完全かつ最終的に解決された」と規定している。韓国政府は平成21年、徴用工の未払い賃金についても、「請求権協定で外交上解決済み」との見解を示している。
朴政権は負債総額493兆4千億ウォンにものぼる土地・住宅公社などの「公企業・公共機関」の改革を目指している。鉄道公社については累積赤字が17兆ウォンに達するとされ、朴政権は新たに敷設される高速鉄道路線を子会社に運営させて、運賃や乗客サービス、経営合理化に「競争」を導入して合理化を進める考えだ。
これに対して、親北朝鮮・左派に支えられた国内最大の労組団体「全国民主労働総連盟(民主労総)」と、左派メディアが一体となって朴政権を攻撃。鉄道公社の経営合理化を「公社売却による民営化で労働者の待遇が犠牲になる」として激しく揺さぶりをかけ、社会全体の分裂につながっている。
大統領に「体でも売れ」
分裂の象徴とされるのがピョン・ソウンという女性タレントの“ネット書き込み事件”。韓国メディアによると、ピョンは18日、鉄道ストにからみ自身のフェイスブック(FB)にこう書き込んだ。
「(鉄道が)民営化されても電車代は変わらないから乗れ? あきれた話。国民の税金でつくったもの(鉄道公社)を何で売る? そんなに売りたいなら、姉さんの体でも売れ」
「姉さん」とは朴大統領を指す。これにはさすがに「一国の大統領を売春婦呼ばわりするとは何事だ」とする非難があふれ、FBは炎上。ピョンは「配慮が足りなかった」と謝罪する羽目になった。
「政権はもともと、公社を売却・民営化するとは一言も言っていないが、いまの経営状況をみれば破綻は必至。国家財政の負担軽減を考えればいずれは大なたをふるうことはさけられず、その流れは、多額の負債を抱えるほかの公共事業体にも波及するとみている」
韓国の保守系シンクタンクの幹部はこう指摘。そのうえで、「タレントのFB書き込みは、浅はかの一言だが、たいした思慮もないタレントが安易にこんな発言をすることをみると、朴政権の権威・信用性の失墜現象が始まっているのかもしれない」と分析している。
「民営化」モデルは日本?
そもそも、労組側が、赤字を抱える鉄道公社の売却・民営化が必至と認識しているのには先例がある。
日本の旧国鉄である。
12月26日の左派系ハンギョレ新聞は、1面トップでこれに触れた。
「日本 鉄道民営化 その後…彼ら(従業員)は安寧ではいられなかった」とする記事で1987年に分割民営化された日本の国鉄の“その後”を、日本の新社会党機関紙「週刊新社会」を引用して紹介。特に注目しているのは、経営合理化とJR北海道で頻発する鉄道事故の関連だ。
それによると、JR北海道民営化当時1万4000人だった職員は6800人に減少する一方、特別列車の運行は2倍に増加。路線保守作業を外注化、下請けに回して経験のない未熟練労働者を現場に送っている-。
ハンギョレは事故の背景をこう指摘。さらに、週刊新社会を引用して「(JR北海道の事故では)線路が(本来の位置から)4センチ近くも外れていても、人員と予算の余裕がなく、1年も修理できずにいる」「民営化以降、極端な採用抑制と人員削減の結果、40歳代の職員が全体の10%にも満たない」としている。
ハンギョレはさらに朝日新聞からの引用として「(朝日は)鉄道民営化のせいで、本社と現場労働者の間にコミュニケーションの問題があるという事実を指摘し『2005年以降100億円台だった設備投資予算が経営悪化のため10年度には58億円に減った。路線を補修しようにも金がなく、補修しなければならない、と言ってもうるさい野郎だという反応を示されるので言えない』という会社内の雰囲気を(朝日は)伝えた」とし、「民営化が日本の鉄道の安全に致命的な悪影響を及ぼした」と主張。37兆円にものぼった国鉄当時の累積赤字解消の道筋を示したことや、サービス向上、運行ダイヤや運賃の安定化などの成果には一切触れず、民営化の“暗部”をことさら強調している。
日韓の労組連携で闘争強化?
一方、ストで多数の逮捕者を出しながら闘争を続ける韓国鉄道公社の労組と、日本のJR総連が連携する動きを強め、日韓の公安当局が重大な関心を示していることが分かった。
韓国公安当局によるとJR総連は組織部長を代表とする代表団を韓国に派遣。12月8日~12日の間、ソウル駅前やソウル市役所前での大規模集会に参加。さらに、韓国の国土交通大臣や国会議員らへの訪問にも同行。韓国側にカンパを手渡して協力を強調すると、韓国側から支援への謝意があり、両者の緊密な連携を物語ったという。
日韓の治安機関が懸念するのは、JR総連と日本の過激派・革マル派との関連だという。
韓国側治安機関は、今年11月22日の衆院国土交通委員会での、警察庁出身の平沢勝栄衆院議員と警察庁との問答に注目している。
平沢氏はこの中で、JR北海道労組の上部団体がJR総連であると指摘。「JR総連については、政府が質問主意書の中で『(JR総連内部の)影響力を行使しうる立場に革マル派が浸透している』と言っているが、間違いないか」と質問。
警察庁側は、「そう認識している」と答弁。さらに問答の中で「JR総連の執行役員の中には、JR北海道労組幹部だった者が含まれていると認識している」と答えた。
平沢氏は最終的に、JR北海道労組の中に革マルが入っていること、その出身者がJR総連に移って主要ポストを占めており、革マルとJR北海道労組、JR総連が「一体みたいなものだ」と述べた。
新たな脅威にも
韓国の民主労総が親北朝鮮・左派であることは周知の事実である。
そのため、韓国の労働運動は激しい政権攻撃に走り、保守体制の転覆にさえ挑むことがある。
その民主労総傘下の主要労組である韓国鉄道公社労組と、日本の過激派、革マル派が浸透しているとされるJR総連が共闘態勢を取っているという事実。
「日本の鉄道事故では原因は分かっても、状況や背景的に不可解なものが多いと聞いている。わが国においては、北朝鮮に扇動された勢力が国民、乗客の命を人質に取りかねない状況下、日本の過激派の浸透が懸念されるJR総連が韓国鉄道公社労組と連携を強めていることに注目すべきだろう」
韓国治安機関筋は、公共鉄道の経営合理化をめぐる日韓の労組連携が新たな脅威にならないか、警戒感を示している。