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時代を見通す日本の基礎情報

日本を取り巻くアジア情勢の変化 世界の情報を辛口で伝える情報部ログ 世の中はめまぐるしくかわっていきます その中で取り残されない為の情報をお伝えします Changing Asian situation surrounding Japan Tell the world information by information Department log The world is rapidly mood In order not to lag behind in its informed the <a href="https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=3BDZ68+72TSYA+4IRQ+5YJRM" rel="nofollow">なんでもまとめてお売りください!宅配買取「いーあきんど」</a> <img border="0" width="1" height="1" src="https://www19.a8.net/0.gif?a8mat=3BDZ68+72TSYA+4IRQ+5YJRM" alt="">

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韓国マスコミの日本報道 保守系より左派系のまともさ目立つ

韓国マスコミでは“日本叩き”や“安倍叩き”なら何をやっても許されるという風潮がある。国民をそうやって煽りに煽るのである。単行本『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』で韓国マスコミと世論の動向について分析している産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏が韓国のメディア事情を報告する。

 * * *
 とんでもない扇動の象徴が、今年5月に韓国で報じられた「731事件」だ。韓国マスコミが“安倍叩き”でいかに劣悪か、ぜひ記録に残しておきたい。

 安倍晋三首相は参院選に先立ち東日本大震災の被災地を視察した。津波で水没した航空自衛隊松島基地を訪れ、アクロバット飛行隊「ブルーインパルス」のT4練習機の操縦席に座り、記念写真を撮った。その機体ナンバーがたまたま「731」だった。これに韓国マスコミが飛びついた。

 戦前、満州に駐屯していた関東軍の細菌兵器部隊の部隊番号と同じだとして「極右軍国主義の安倍を象徴」というのだ。「731部隊」は韓国や中国の反日ドラマによく登場するが、この偶然の一致を大真面目に“安倍軍国主義イメージ”としてキャンペーンに利用した。

「731事件」をブラックユーモア的に受け流したところはどこもない。こんな子供ダマシのようなネタを全マスコミが横一線で反日キャンペーンに仕立てるところが韓国マスコミの拙劣さである。

 今年の8.15では韓国の野党国会議員が靖国神社にまで押しかけ安倍非難の反日デモをやろうとしたが、この“トンデモ議員”を事前に叱ったメディアはどこもない。昨年、鬱陵(うつりょう)島視察を計画した自民党議員を入国拒否しながら、自分たちは入国できるという身勝手、甘えを誰も指摘しない。

 公平を期すために、辛うじて左派系のハンギョレ新聞だけが、「日本の国民感情を無視した思い上がった行動」と批判していたことは付記しておく。

 韓国マスコミの日本報道では最近、朝鮮・中央・東亜といった保守系の大手紙より左派系のまともさが目立つ。やはり左派系の京郷新聞も「韓国の“反日無罪”的なやり過ぎが日本の反韓世論を刺激している」と正確に伝えている。左派系メディアは国際試合で繰り返される「スポーツ反日」にも批判的で、大手保守系メディアへの対抗、批判として手垢のついた反日国粋主義を批判している。

 まともな日本報道は左派系メディアにしか期待できないというのも、韓国マスコミのレベルを物語っている。

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上海で遺失物拾ってくれた台湾人に、日本人が2年越しの「お礼」

鍛邦雄(かじ・くにお)さんの顔は晴れ晴れとしていた。2年前の恩義に対して、再び感謝の気持ちを伝えることができたからだ。相手は台湾人男性の闕福栄さん。2年前に上海市内のホテルのレストランに置き忘れたかばんを見つけてくれた。おかげで大量の現金や重要書類がそのまま戻って来た。鍛さんはそれ以来、まだきちんとお礼ができていないと気に病んでいた。このたび台湾に足を運び、改めて闕さんに会って感謝の気持ちを伝えることができた。台湾メディアの聨合報が伝え、大陸メディアの中国新聞社なども報じた。

  闕さんは台湾北西部の新竹の住人。ブライダル関係の仕事をしている。2011年3月には見本市の仕事などで上海市に滞在していた。ホテルのレストランで朝食を取っていると、近くの席にかばんがひとつ、置いたままになっているのに気づいた。

  ビジネスマンが持つタイプのかばんだ。中を見ると、大量の人民元紙幣、米ドル、それに契約書などが入っていた。これをなくしたら、持ち主はとても困ると、すぐに分かった。そこで闕さんは10分あまり、落とし主が現れるのを待っていた。

  困ったことに、闕さんもすぐに見本市の会場に行かねばならなかった。呼んでいたタクシーも来てしまった。そこで闕さんは、かばんをビニール袋に入れて封印した。その上で、ホテルのフロントスタッフに落し物として届けた。抜き取られることを恐れ、「中味は私も確認しています」と告げ、連絡用に自分の電話番号も渡しておいた。

  さらに10分ほどして、闕さんの携帯電話が鳴った。かばんが持ち主のもとに戻ったと分かった。闕さんはほっとした。闕さんによると、「実は私も海外で、書類や携帯電話をなくしたことがあるんですよ」という。戻って来たためしがなかった。それだけに、持ち主の気持ちはよく分かるという。とくにあれこれ考えたわけではない。「自分の物ではないのだから、自分の物にしてはいけない」。それだけだった。

  次の日、闕さんのもとに落とし主の鍛さんがやってきた。丁寧に礼を言い、「厚い謝礼」を渡そうとした。闕さんは柔らかな物腰で、しかしきっぱりと断った。「当然のこと。何も、たいしたことをしたわけじゃない」との考えだった。

  鍛さんは、どうにも気が晴れなかった。「やるべきことを、やっていない」と思えてしかたなく、それからの2年間の間、夜も眠れないことが、しばしばあったという。そこで、「これはどうしても、台湾に行って闕さんに改めてお礼をせねばならない」と決意した。

  電子メールを受け取った闕さんは驚いた。お礼のためにわざわざ台湾まで来たいという。嬉しい連絡だった。そこで、再会の場所と日時を約束した。

  台湾に到着した鍛さんは、そのまま闕さんの住む新竹に向った。鍛さんは通訳を連れていたが、闕さんに自分の気持ちを伝えるのに、言葉の壁は問題にならなかった。ぎこちない中国語で「シエシエ、ニイ(ありがとう)」とだけ言い、固く握手した。笑顔だけで、すべてが通じた。2人はきつく抱き合った。

  鍛さんは闕さんへの贈り物として、心を込めて選んだ茶道具を用意していた。こんどは、気持ちよく受け取ってもらえた。闕さんはホストとして、鍛さんら一行を街の名所の城隍廟に案内した。名物料理を味わってもらい、ショッピングモールで楽しんでもらった。

  鍛さんは「拾ったお金を、いい加減にしないのは『義』です。台湾の人は、ほんとうにすばらしい」と述べ、闕さんに「ぜひ、日本に来ていただきたい。今度は私がご案内します」と申し出た。

  鍛さんと闕さんの年齢は詳しく紹介されていないが、鍛さんは70歳近い男性という。写真をみるかぎり闕さんは30代か40代ぐらいと、比較的若い。日本人と台湾人の間に、出身地も世代も超えた信頼と友情の絆が、また深まった

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尖閣危機 元自衛隊幹部が描く悪夢のシミュレーション(その2)

■■ある日、尖閣に中国の旗が立てられる

山口 頭の体操ではあるが、ここで尖閣をめぐる事態のシミュレーションを試みてみたい。

香田 北京にとっての最悪のシナリオは、大規模軍事進攻であろう。中国人民解放軍が正面から尖閣に武力攻撃をすれば、これは日本の今の憲法解釈でも防衛出動が出る。何らかの軍事的なアクションが起こされれば、米国の日本防衛義務が定められた安保条約五条によって、米軍もやってくる。これは最も北京が避けたいシナリオである。

山口 昨秋、中国の民間漁船一〇〇〇隻が尖閣諸島海域に到着する──と中国で報じられたことを覚えているだろうか。結果的にそうしたことは起こらなかったが、日本の実効支配を崩すために中国政府の漁業監視船の護衛下で、日本領海内に入るのではないか──といった懸念が広がった。このシナリオはどうみたか。

香田 跳ね上がりの民間漁船がどれだけ押しかけようが、不法侵入した段階で海保と警察が逮捕することになる。それこそ尖閣は日本の法律が執行できることを世界に知らしめることができるので日本にとって好都合だ。一方、中国は世界の笑い物になりメンツを失うはめに陥る危険が高い。極めてリスクが高いのだ。

山口 中国にとって上策ではない。

香田 そう思う。中国がとる作戦は今述べた両極端の作戦の真ん中になる公算が高い。
 もし私が中国人民解放軍の指揮官だったら、まず特殊部隊を訓練するだろう。GPSを使いながらパラシュートで狙い定めた地点にピンポイントで降りられるように特訓する。そして、真っ暗闇の中で尖閣に降り立ち、中国国旗を立てさせる。
 海上保安庁の船には基本的には対空能力がない。だから、うまく風を使って数十キロも飛ぶようなパラシュートで二〇人くらいの特殊部隊が尖閣をめがけて降りようと試みれば、半数は失敗しても、半数は尖閣に降り立つことができるだろう。この作戦は成功率が高い。
 朝になると尖閣に中国国旗が立っていることが分かる。「一体、誰がやったのだ」ということになるのだが、相手が誰であるのか特定できないので、自衛隊は容易には動けない。偵察機を飛ばしたところで実態を把握するのは至難の業である。無人島なので誰か民間人に確認してもらうこともできない。
 中国軍によるものだ、ということが判明し、正面切った軍事作戦であるとされた場合は、治安出動で陸上自衛隊の偵察小隊が現場に行くこともできるが、相手が海の物とも山の物とも分からない場合は、何もできないのだ。
 また、相手が本当に中国軍の特殊部隊だった場合、覚悟を決めれば偵察に来た自衛隊を全滅させることもできる。自衛隊側は武器の使用に制限があり、どうすることもできない。さて、そこまでのリスクがありながら、日本政府は治安出動なり、海警行動などが出せるのか。官邸は悩むことになるだろう。

■■米国も手が出せない

山口 などと躊躇している間に、中国は全世界に向けて発信を始めるかもしれない。

香田 簡易型の衛星通信で「わが人民解放軍の英雄は、××年○月X日、勇敢な特殊作戦を決行。釣魚島を北京の実効支配とし、領有権を我が中国に取り返した」などと、中国国旗が立っている映像とともに大々的に発信することもできる。あくまでも机上の話だが、こうなると、理論上、米国は安保条約五条の義務がなくなってしまう。

山口 安保条約五条とは、「日本国の施政の下にある領域」における「武力攻撃」に、「共通の危険に対処するように行動すること」を明示したものである。だから、理屈でいえば、日本ですら日の丸を掲げたこともない島に中国の五星紅旗が揚がるのであれば、理論上、日本は瞬間的であっても施政権を失っているように見える。そのうえ、「武力攻撃」もないのだ。要するに、安保条約の適用外になる。

香田 では、中国の特殊部隊を兵糧攻めにできるか。これも難しいだろう。というのも、中国の高速船が水と食料を運んできたときに本格的に止める手段がないのだ。現行法でいけば海保は「あなたは日本の領海を侵犯している。領海外に離脱せよ」と警告するのみである。自衛隊が出動しても防衛出動は出ないから、実際には止めようがない。結果、目の前で中国船籍の船が尖閣に攻め入った特殊部隊に堂々と補給する様子を見守ることになりかねない。
 ただ実際に事態がここまで深刻化すれば日米両政府も何らかの措置を講じるとは思う。しかし、北京がその気になれば、尖閣が無人であることを利用して、弾の一発も打たずに、血の一滴も流さずにこうしたことができるということは認識しておかねばならない。

山口 まとめると、防衛出動を出したうえで、明確な攻撃があるというところまできて、初めて自衛権の発動ができる。そこに至るまでが大変であり、かつ、穴が多いということである。

香田 先ほどのシミュレーションに話を戻せば、世界的な基準からいえば、誰もいない場所で、侵入者が誰だか分からない──という事態は相当に危険であるとみなすのが普通だ。多くの国では自国防衛のために軍事行動に出る局面とされているが、日本は逆だ。この侵入事案は「急迫不正で組織的な進攻である」と見定めるまでに、数日の議論を費やすことになりかねない。
 こうしたシミュレーションを試みることで浮かび上がる日本の制度上の重大な欠陥について理解してほしい。

■■尖閣上空で中国空軍のエアショーが始まったら……

山口 そのほかに危険なシミュレーションはあるか。

香田 もしわたしが中国人民解放軍の指揮官なら、尖閣の真上でエアショーを行うと思う。国産新鋭戦闘機で尖閣までは低空飛行で近づき、突然、尖閣上空でアクロバット飛行を始める。ダイヤモンドなどを描いて美しく飛んでみせる。この様子を衛星通信を使って実況中継する。「我が中国の同胞、勇敢なる空軍パイロットが尖閣上空でアクロバット飛行を行っている」などといった具合か……。
 このとき、日本は何ができるのか。こうした場合、航空自衛隊が出動し「対領空侵犯措置」がとれることになってはいる。とはいえ、防衛出動が出るはずもないので撃墜などの武力行使は不可能だ。
 実際にできることといえば「我が領空での飛行を中止せよ」という無線警告と信号射撃がせいぜいだ。
 中国側は百も承知で日本の警告を無視し、予定していたアクロバット飛行を続けるだろう。そして北京は全世界に向けて「中国軍が尖閣上空でアクロバット飛行をした際、日本の自衛隊は何もしなかった。尖閣は中国の領土だ」と主張することも可能だ。

山口 これが既成事実となる危険性もある。

香田 国際社会はどう見るだろうか。ASEAN諸国は、中国の横暴を嘆き日本に同情する一方で、「こんなことをされて手も足も出せないのか。日本は領土・領海・領空についてどう考えているのか」と問いただすかもしれない。日本は「日本国憲法は平和を追求しているから何もできないのだ」などと返答するのだろうか。

山口 ただ、こうした悪夢のシミュレーションが現実のものにならないであろうという安心材料がいくつかある。まず、冒頭述べたように、中国は南シナ海をはじめ、多くの懸案事項を抱え、尖閣で火を噴いている暇がない。次に尖閣周辺で中国の活動が活発化して以来、日中両国は、尖閣周辺に警備力を結集して蟻の子一匹も入れないほどに守りを固めており、何人といえども力で現状を変えるような行動をとることが容易でない状況になっている。理論上可能なことでも、現状では一種の手詰まり状態にあるといってよい。
 もう一つは米国だ。今年一月、当時のクリントン国務長官が「(米国は)日本の施政を害しようとするいかなる一方的行為についても反対する」と踏み込んだ表現で米政府の立場を表明した。四月にはヘーゲル国防長官が尖閣は日米安保条約の適用対象であると明言し、強い表現で中国の挑発行為を牽制している。昨今、米国はかなり旗幟鮮明にしている。これは日本にとって大きな安心材料になるだろう。

香田 確かに米国が旗幟鮮明にしたことで、北京は抑止されている。とはいえ、日本が防衛出動をしない段階で米国が助けに来てくれるかといえばそれは難しい。尖閣で日本は戦後初めて独立国としての主権とは何かと問われているにもかかわらず、制度的には一ミリも前進せず、防衛の欠陥は何一つ解決されていないことを繰り返し強調しておきたい。
 実は、防衛出動に至らない前段階において、日本の制度にこれほどの欠陥があることについては米国も把握していない。これほどまでに欠陥だらけだと知ったらどれほど驚くか。私が防衛省統合幕僚会議事務局長であった時分にも、在日米軍司令部とこうした話をしたことはない。本格的な戦争が起きた場合ばかり想定して議論しているのだ。

山口 米国の表明は大変に喜ばしいことなのだが、その一方で、防衛出動もできないグレーゾーンの段階においては五条が適用できないことが改めて浮き彫りになった。

香田 防衛出動を出すための要件の緩和も考えるべきなのだ。
 最後に同じ「海の仲間」として、日々の海保の努力に心から敬意を払う。彼らの頑張りがあるからこそ、中国の冒険主義を封じ込めているのだ。尖閣の主権をめぐり、体を張っている海保に感謝して、この対談を締めくくりたい

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尖閣危機 元自衛隊幹部が描く悪夢のシミュレーション(その1)

政権移行期にあたり、日中両政権が意地になった

山口 本誌九月号に掲載された我々の対談「暴発か、成熟か 軍拡中国の行く末」が大好評だったと編集部にいいくるめられ、再び引っ張り出されることになった。

香田 我々もおだてには弱い。

山口 冗談はさておき、昨年九月十一日に日本政府が尖閣購入を決定してから一年が経過する。今日は、尖閣問題をめぐり改めて浮き彫りになった日本の防衛制度の不備について議論したい。まずは尖閣をめぐるこれまでの動きを簡単に振り返ってみたい。

香田 尖閣をめぐる日中の対立と現場での衝突は、戦後初めて日本が独立国としての主権とは何であるのか、領有権とは何であるのかという問いを真正面から突きつけられた事象である。
 まず、ことの発端は二〇一〇年九月、尖閣諸島沖で違法操業していた中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件だ。中国人船長は公務執行妨害容疑で逮捕されたが、最終的に不起訴となった。
 法治国家は自国の領土・領海・領空で自国の法律を執行できるからこそ主権が保たれるのである。明らかに違法行為のあった船長に日本の法律を適用することで、世界に対して日本は尖閣に主権があるということを発信できる機会でもあったのだ。ところが当時は中国をこれ以上刺激してはいけない──といった本質とはズレた議論がなされ、及び腰の対応になった。このため、日本は尖閣をめぐる自らの主権感覚の弱さを世界に発信した格好になった。

山口 この対応をめぐり、日本国内では民主党政権の弱腰外交を批判する声が高まった。それが二〇一二年四月に石原慎太郎都知事が尖閣購入をいいだすきっかけにもなったのだろう。
 民主党政権にとっての不幸は、政権交代後、普天間をめぐり日米同盟にヒビを入れたことなどを背景として外交・安保政策に対する信用を失ったことだ。そんな中で中国船長の事件に対しても中国を刺激したくないという気持ちから及び腰に見える対応をとったことで、さらに負い目を持つことになった。
 これを受けた野田政権は、これ以上に弱腰外交という批判を受ける訳にいかず、今度は、逆に強硬になり、国有化に乗り出すことになる。国による尖閣購入に際し、胡錦濤国家主席は野田首相に対し、断固反対だと怒りをあらわにしたとされる。ところが、そのわずか二日後、日本政府は国による尖閣諸島の購入を閣議決定した。こうなると中国も振り上げた拳を下ろすことができなくなる。

香田 日本政府は、地方自治体が領有するよりは国の管轄とすることで、日中関係のトゲにならないようにする……というメッセージを送ったつもりだった。ところが、そうした日本政府の意図がまるで中国側に伝わっていなかった。パイプがなかったということか。これほど単純なメッセージすら中国に伝わらなかったのだとすれば、それ自体が日中関係の冷え込みを端的に物語っているように思え、鳥肌が立つ。ともかく結果的には日中関係は悪化した。

山口 また、日中ともに振り上げた拳を下ろせなくなった理由には、双方の国が政権移行期にあたっていたということもあるだろう。日本でいえば野田首相が「近いうちに」解散と宣言したのは昨年八月だ。そう遠くない将来、総選挙になることが分かっていた。このため、尖閣をめぐっては弱腰の外交姿勢を見せるわけにはいかなかった。

香田 安全保障について、また、中国に対して慎重だったはずの民主党が、あの時期には自民党より強硬な姿勢を見せた。主権については一切交渉さえしないといった原理主義者のようになり、凝り固まってしまっていた。

山口 一方の中国も最高指導者が胡錦濤氏から習近平氏になる直前の出来事であった。そういう時期には国民に対して弱腰の姿は見せられない。両国ともにそれぞれに事情があったということが不幸を招いた。

香田 同感だ。ただ、本誌九月号で詳しく議論したが、北京にとって尖閣は最優先事項ではない。交易の要所である南シナ海の確保のほうが東シナ海よりはるかに重要だ。チベットやロシアとも問題を抱えている。国内の暴動も気がかりだ。日本や米国に対して、中国から荒業をかけてわざわざもめ事を増やすことが得策であるはずもない。日本国内で大騒ぎされているほど尖閣をめぐり日中間は緊迫していない。

山口 今年一月には海上自衛隊の護衛艦が、中国海軍艦艇から射撃に使う火器管制レーダーを
照射された事件が発生し、大騒ぎになったが、以後、同様の現象は起きていない。ここ半年は比較的落ち着いている。北京にとっても尖閣問題は沈静化させたいというのが本音なのだろう。

香田 このため北京が突然、冒険主義に走ることは考えにくい。そうはいっても、日本側の防衛態勢に不備があれば、その間隙を突くという軍事的誘惑心を引き起こさせる危険はある。

山口 その通りだと思う。江戸時代、窃盗は厳罰だったが、戸締まりをしていない家の場合は減刑されたという。相手に付け入るスキを与えた側にも責任があるということだ。日本の自衛隊法を含めて制度の欠陥について、この際確認しておく必要があるだろう。

■■自衛隊出動への高い壁が中国にスキを与える

香田 現在、尖閣周辺を守っているのは主に海上保安庁だが、法律によって海保に規定されている任務とは海上の安全と治安の維持である。つまり領土や領域の防衛、警備という任務はない。近年、大挙してやってくる中国漁船に対応するために、厳密にいえば海保は法律をはみ出している側面もある。海保に問題があるのではなく、海保を支える法律的な根拠がないにもかかわらず、海保に頼らざるを得ないから無理をさせているということだ。
 海保に領土、領域の防衛ができないなら自衛隊を出せという威勢のよい意見もあるが、自衛隊の出動には高いハードルが課されている。八月中旬、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が、法整備をするよう提言する方針を固めたとされるが、今日はいま一度、この現実を論じておきたい。

山口 自衛隊法には「主たる任務」として、日本防衛のための防衛出動が、「従たる任務」として国民保護、治安出動、災害派遣などが定められている。
 首相が防衛出動を下令するためには、安保会議に諮問し、閣議にかけたうえで国会の承認を得ることが必要だ。その条件は、現に武力攻撃を受けるか、それが切迫しているということだ。
 防衛出動が下令された後、さらに、自衛権行使のために武力を使用する上では、第一に我が国に対する急迫かつ不正の侵害があること、第二にこれを排除するために他に適当な手段がないこと、第三に必要最小限度の実力行使にとどまること、という三要件を満たさなければならない。
 また、ここでいう武力攻撃は、外国からの計画的、組織的な攻撃とされ、いわば本格的な武力進攻を想定した規定になっている。ここに相手に付け入られるスキが生まれるのだ。

香田 ひとたび防衛出動が下されれば、後は国際法の戦争法規等を基本に行動することになるので、相手が大砲を撃てば、こちらも大砲を撃てる。
 問題は、防衛出動に至る前、つまり平時の場合、自衛隊には警察権と同程度の権限しか認められていないという点にある。治安出動であっても海上警備行動であっても武器などの使用は一般国民を相手にしている警察権と同じで、基本的には認めないという規定になっている。
 そうなると現場でどういうことが起きるかといえば、極めて怪しい武装集団がいても、その集団を拘束しない限り、何者であるか分からないということになり、それが軍隊であるという認定ができない限りは「平時」とみなされ、自衛隊は武器の使用ができない。ところがその怪しい武装集団が中国人民解放軍の特殊部隊だった場合、相手は中国の規則に基づいて行動するので、遠慮なく自衛隊を狙って撃ってくることができる。これは極めて恐ろしいことである

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温家宝が食った中国の巨大生保 破綻への序章

「影の銀行」の負債規模がGDPの2倍にも膨らむ中国で、金融危機に追い打ちをかける懸念が浮上している。中国の三大生命保険会社の健全性、支払い余力を示すソルベンシー・マージン比率が急速に悪化しているのだ。

 日本ではソルベンシー・マージン比率が200%を切ると危険水域として、早期是正措置の対象となる。日本をはじめ世界の大手生保は軒並み1000%以上の数字を保っている。だが中国では、最大手の「中国人寿」が238%、2位の「平安保険」は163%、「中国太平洋保険」は282%という惨憺たる状況だ。

 「中国の基準は世界に比べて甘く、保険監督当局の設定基準は150%以上。しかし、日本では過去に200%以上あった生保でも破綻していることから、非常に危険な状態です」(大手商社中国アナリスト)

 そもそも共産主義の中国においては近年まで保険の概念そのものが存在しなかった。死ぬまで国が生活を支えるのが建前であったためだ。だが、金融の自由化から保険会社が乱立し、株式会社として上場。国民は保険に加入するだけでなく、こぞって生保の株式を購入した。

 「巨額の資金を手にした保険会社は、その資金を不動産や株式に投資する一方、積極的な買収を展開し、総資産を拡大させていった。だが、経済成長が鈍化する中、過剰な投資の多くが含み損を抱え不良資産化しつつある」(同前)

 その結果がソルベンシー・マージン比率の悪化にほかならない。中国の生保は金利自由化による競争激化と保有資産の劣化という二重苦を抱え、財務内容が急速に悪化してしまったのだ。

 なかでも2位の平安保険は共産党中枢との癒着が問題視されている。温家宝前首相は昨年、27億ドルを超す巨額の蓄財がニューヨーク・タイムズに暴露された。同紙は「07年、温首相の親族名義の会社が平安保険の株式を上場前に不正取得し、上場後は22億ドルにもなった」と報じている。さらに「平安保険の本社ビルのワンフロアには、温夫人の部屋がある」(前出・アナリスト)という。

 巨大生保の不正のからくりが習近平体制下で炙(あぶ)り出される可能性もある。その時、中国発の金融危機がどう世界に波及するのか。要注目だ

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