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時代を見通す日本の基礎情報

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中国・国産大型輸送機の脅威 戦略爆撃機に転用し日本本土爆撃

中国は1月28日、国産の軍用大型輸送機「運20」の試験飛行を行ったと発表した。尖閣諸島や南シナ海での紛争が現実味を帯びてくるなか、同機の出現により中国軍をより迅速に遠くまで展開することが可能で、中国メディア各紙は「大きな一歩だ」「進攻型の空軍になった」などと報じている。

これが中国初の国産大型輸送機「運20」だ!(写真は「新華網」より)

この輸送機の最大積載量は66トン(「China Daily」より)で、世界最大級だ。ちなみにロシア軍のイリューシン76の最大積載量は52トン、米軍のC17の最大積載量は77.5トン。航続距離に関しても、55トンの貨物を積載しても、中国西部からエジプトまでの距離にあたる4400kmの航続距離があるという(C17は72トン積載で航続距離は4630km)。「新京報」によれば、この運20は将来的に空中給油ができるように改造される計画もあり、哨戒機、戦略爆撃機に応用可能だという。ともかく、日本にとって空母やステルス戦闘機同様、新たな脅威になることは間違いない。

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尖閣・防空識別圏は習近平が人民解放軍へ与えた“飴”だった!?

中国が11月23日に発表した防空識別圏の問題は、日米や周辺国に波紋を広げている。

 尖閣諸島周辺の日本領海を中国が侵犯するのは、世界の多くの国にとって他人ごとでしかない。しかし、今回ばかりは遠く離れた欧州連合(EU)からも「事態を深刻化させ、地域の緊張を高める」と懸念する声明が出るなど、いわば世界中が中国の行動に批判的な視線を注いでいる。東シナ海の公海上空は多数の民間航空機が飛行経路としており、この空域を人民解放軍の事実上の管理下に置くと一方的に宣言したのだから、当たり前である。

 ここで、誰しも疑問を持つはずだ。中国はなぜ尖閣諸島の奪取という国家目標に反した判断をおこなったのだろうか。1949年の建国以来、中国共産党の戦略立案能力と政策遂行能力は世界屈指であり、日中戦争に続く国民党との内戦で疲弊し尽くした中国が、世界3位の核戦力と世界2位の経済力を有している現実は、ひとえに毛沢東と中国共産党の功績である。

 しかし、そんな毛沢東の優秀な後継者であるはずの習近平と最高指導部は、いま、およそ合理的とは言いがたい極めて不可解な行動に出ている。赤いベールに包まれた中国共産党の意思決定過程を外部から直接窺い知ることは難しいが、最高指導者と人民解放軍の関係性をベースとして独自の議論を展開しているのが陳破空氏だ。陳氏は「尖閣諸島は日本のものと毛沢東、人民日報も言っていた」と発言して注目を集めた、アメリカ亡命中の中国民主化運動の活動家である。中国内外に巡らせた情報網と、元大学教授の分析力を活かした陳氏の著書『赤い中国消滅 張り子の虎の内幕』では、腐敗極まる中国共産党の実態と、赤い支配に幻滅し尽くしている国民感情がつぶさに記されている。

◆軍権を掌握できていない習近平は、人民解放軍の面子を保つため沈黙!?

 同書での陳氏の論点は文革・尖閣諸島・権力闘争・長老支配・外交・経済・民族主義と多岐にわたり、いずれのテーマにも顔を出すのが人民解放軍である。あまりにも有名な毛沢東語録「鉄砲から政権は生まれる」は、中国共産党の政権獲得後60年が経ってもいまだ死文化せず、軍の掌握こそが安定した政権運営のキモだと陳氏は指摘する。そして、そのキモである軍権を習近平はいまだ掌握できておらず、ヘタをすれば軍部の暴走も……という状況だという。

「習近平は就任したばかりのころ、ほぼ全神経、全勢力を軍に注いだ。頻繁に軍を視察して軍幹部に取り入り、軍人を激励した。(中略)対外的には、軍のやりたいようにやらせて隣国との領海、領土をめぐる争いを激化させ、自分に有利な人事配置をおこなって統帥権を強化している。自分が強硬な軍事指導者であるとのイメージを作り出し、威風を吹かせて軍を治めようとしている。これは歴代の中国共産党指導者のやり方で、習近平が日本に対して強硬なのは、このためである」(赤い中国消滅 135Pより)

 毛沢東や鄧小平は日本軍や国民党軍との戦闘を生き残る中で軍事的権威を獲得している。しかし、江沢民、胡錦濤、習近平は、実戦を知らない文民出身の最高指導者であり、彼らが軍部の支持を得るためにはアメを与え続けるしか方策はない。軍部にとって尖閣諸島への軍事展開を容認することが軍部の面子を保つためのアメであるというわけだ。だが、ここで問題となるのは軍の暴走にブレーキをかけるためのムチがないということだ。では、そのアメを与えられた人民解放軍の実力は……というと、疑問符が付かざる得ない。近年は入隊するにも賄賂が必要という腐敗ぶりに加え、軍内部の士気はだだ下がりという。

「大学や公務員試験に受からなかった場合に、子どもの進路をどうするか。中国の親たちは苦慮の末、世間体も保たれる軍隊に入れようと殺到する。かくして人民解放軍は大人気の就職先となり、入隊するにはそれなりに金が……つまり賄賂が横行している。兵役に就くために必要な賄賂の相場は、農村出身の男子が2万元、都市部出身者の男子が5万元」(赤い中国消滅 139Pより)

 カネの魔力に取り憑かれた軍幹部たちの暴走はとどまることを知らない。国の資源から武器まで、あらゆるものを横流しして私腹を肥やしているという。その額は中国のGDPの20%に達するとまで言われている。

「武器の販売と密貿易は解放軍国境警備部隊の専売特許である。(中略)2012年12月、米ブルームバーグは、中国共産党の元老だった王震の息子の王軍、トウ小平の娘婿の賀平、陳雲の息子(陳元・現政協副主席)らは皆、武器の密貿易で巨万の富を得たと暴露した。これら3ファミリーの企業資産の合計額は中国の1年分の国民総生産(GDP)の5分の1を超えている」(赤い中国消滅 148P)

◆有事になれば人民解放軍は敵前逃亡必至!?

 近代国家の軍隊とは、所属する国家の道徳と規律を最高レベルで体現する存在である。それと真逆の道を行く状況に悲鳴をあげたのは一部の人民解放軍幹部だ。人民解放軍機関紙では兵士が敵前逃亡する可能性に言及するという前代未聞の論説を1面トップで掲載したのだ。

「2013年1月20日、『解放軍報』は『戦争に備えよ まずは平和の陋習(悪い習慣)にメスを』と題する1面トップ記事を掲載した。人類共通の目標である平和を『陋習』という2文字で綴っていることは、中国共産党の平和を無視した暴力的体質を暴露するものであるが、それ以上に中南海(編注:中国政府のこと)が軍に対して抱く危惧を吐露したものである。同記事は、人民解放軍が長期間戦争をしていないため、一部の兵士の間でだんだんと『平和の陋習』が蔓延していること、そして、これらの陋習が『部隊の訓練の隅々に潜んでおり、戦争をしたら大敗するだろう』と指摘している。文中ではその陋習を明らかにしていないが、それは驕り高ぶった解放軍の贅沢三昧と、頂点に達した腐敗のことを指している。(中略)『平和の陋習』(中略)が『部隊の訓練の隅々に潜んでおり、戦争をしたら大損を食うだろう』と指摘している。(中略)このような危機感を政府指導者が抱いており、自信をなくした解放軍が敵を恐れ、戦争を恐れていることが、紙上で明らかにされたのだ」(赤い中国消滅 161P)

 そして敵前逃亡をした者には厳しい罰則をもって対処することを政府は決定したのだ。

「2013年3月27日付の『解放軍報』は『軍人違反職責罪案件立案標準規定』を公布した。同規定は、戦時における兵士の国家への裏切りと敵への投降行為に主眼を置いたものである。(中略)中南海は、ひとたび戦争が起きれば、大量の解放軍兵士が逃亡するのではと危惧しているのだ」(赤い中国消滅 164P)

 この軍人違反職責罪案件立案標準規定によれば、敵前逃亡したり、政治亡命した兵士は起訴されるべき大罪だと断じている。だが、腐敗の温床である賄賂などについてはほんの少ししか触れられていない。こうした状況に頭を痛めているのは他ならぬ習近平だ。

「習近平は軍事委員会主席に就任して以降、解放軍の腐敗について非常に憂慮している。習近平は南方軍を視察した際、『買官売官、派閥づくり、汚職』がはびこっているというと語り、気持ちが高ぶった様子でそばにいた兵士に質した。『もう長いこと軍隊にいて、いったいお前は戦えるのか戦えないのか、どうなんだ?』」(赤い中国消滅 163P)

◆中国政府の対日最大の武器、それはハッタリ

 さて、最後に陳氏の記述を整理しよう。習近平は、政権の安定のために軍の歓心を買う必要があり、軍の腐敗にはメスを入れず、軍が局地的な摩擦を起こすことも容認する。その際、摩擦相手が日本であれば、毛沢東支持層にアピールできる点でより望ましい。一方、解放軍の高級幹部は、自軍のモラル・士気・規律・風紀が軍事作戦に耐えられないほどの危険レベルにあることを認識している。以上を満たした上で中国が日本に対して実行できる選択肢は、ほぼひとつしかない。ハッタリだ。

 笑ってはいけない。武力衝突で勝つよりも、戦わずして敵を屈服させるほうが戦略としては上である。孫氏の兵法の故郷を自負しているのか、中国はこの手を多用してきた過去がある。2010年、朝鮮半島での天安艦沈没事件に対処するために米韓は黄海で合同軍事演習をおこなうこととした。これに対して副総参謀長を含む解放軍幹部がメディアに登場し、「黄海に進入すれば、中国の第2砲兵隊と海軍原子力潜水艦は飽和攻撃を開始する」「米国の空母が黄海地区に到達したなら、それは中国に『生きた標的』を捧げる行為に等しい。解放軍は反応の敏捷さと総合的な攻撃能力を試すことができ、弾がうまく当たるか、攻撃の精度と破壊力を確かめることができる」とまくしたてた。

 だが、このハッタリを完全無視して米艦隊が黄海に入ってしまったあとの中国の絶叫は無残なものだった。

「中南海はまた、心理作戦の効果がなく、米軍が中国の脅しをものともせずに、黄海で軍事演習がおこなわれることになった場合も考慮済みだ。早めに土俵を下りるための梯子を用意しておく一方、故意に『未来形』の言葉を作り出して恨みを発散するのである。例えば『米国の黄海での挑発行為は必ずやその報いを受けるであろう』『報復しないのではない、そのときがまだ来ていないだけのことだ』(中略)自らを強く見せかけようとして『対抗』するため、中国側は自分たちの軍事演習を専攻しておこなったが、演習に選んだ場所は黄海ではなく東シナ海であった。敵を恐れて戦争を回避しようとしている意図は明白なのに、『東海で軍事演習をおこなうことによって、黄海で軍事演習をする米韓海軍に対し、『封じ込め』を実施できる』と自ら解説している」(赤い中国消滅 180Pより)

 結局、中国の本音は「アメリカ怖い」ということなのか……。アメリカの出方を伺うために尖閣諸島への防空識別圏を設定したという側面もあるのかもしれない。中国のハッタリに負けず、日本も力強い外交政策で立ち向かうべきなのだ。

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儲かるのは元請けだけ。建設現場を襲う作業員不足

アベノミクスや東京五輪の決定で、住宅・オフィスビル需要が増え、建設ラッシュに湧いているというニュースをよく聞く。しかし、一方で地方の公共事業では、入札不調が数多く起きている。その原因のひとつが、深刻な建設作業員不足だ。現場ではいったい、何が起きているのか?

低予算&短工期! 過剰労働と低賃金でみんな逃げ出した!!

 消費増税や住宅ローン減税に便乗する住宅の新築ラッシュ、そして東北復興や東京五輪――住宅建設や公共事業など、建設関係者にとって見通しの明るい要素が並ぶなか、現場では作業員不足の悲鳴が上がって久しい。なぜ建設作業員の成り手がいないのか。

 背景にはま
東京五輪

東京五輪も現場の作業員不足で工事は難航する!?

ず過剰労働がある。住宅向け鉄筋会社に勤務するH氏(43才)は、年末年始、一切休日の予定がない。

昨年11月以降、戸建建築は例年の1.2~1.5倍ペースで増えてます。だけど営業レベルの短観でも、アベノミクスによる住宅需要は、おそらく来期には収束する。短期的な受注増に対して設備投資なんかできないし、機械を増やせない。だから人を増やしても意味がない。結局、現場は今いる人間で回すわけで、もうパニック」

 この数か月、H氏の会社では、朝5時始業、午前0時終業になることも珍しくないという。

「常時、人材募集はしていますが、早いヤツは2日で辞める。残るのは1割未満。工場では3割はベトナム人研修生ですが、勤勉な彼らさえ逃げ出す過剰労働」(H氏)

◆利益を取るのは元請けばかり

 受注は増えているのに、なぜ人件費は上がらないのか。工務店を営むMさん(仮名・45歳)は、カラクリをこう解説する。

「不動産会社の営業は『家を建てるなら今でしょ!』と言いますが、大嘘です。確かに資材については新築ラッシュに加えて商社が資材を買い占めて大量に抱え込んでいるために、材木で3割ほど価格が上がってしまっていますが、住宅の本体価格に影響するほど人件費が上がったなんて話は聞かない。例え、本体価格を現場職人の日当5000円分上げたとしても、我々下請けレベルでは日当1000円上がるかどうか。残りの4000円分は、ハウスメーカーが自社利益にする。それで誰も逆らえないのは、いま日本の工務店のほとんどは生産力も技術力も低下して自社で仕事を取ってくることができず、ハウスメーカー専属で仕事をもらっているからです」

 実際、パネル工法の建売住宅では、30坪前後の物件を一棟建てて60万円程度というのが、M氏の工務店の大工の単価だという。これで、上物1000万円程度の戸建を作る。低賃金の結果、どこの現場に行っても若手は皆無だ。

「僕らが若い頃、職人の親方といったら、手間(賃金)で月100万円以上、毎晩飲み歩いて外車を乗り回す人がゴロゴロしてました。地元のやんちゃな子が、親方の羽振りに憧れて、住み込みで日給1000円、2000円で修行するという世界があった。でも昨今は親方自身が食うのに精いっぱい。憧れる要素がまったくない」

 工務店レベルでは「人を増やさず、会社は一人親方で、職人は派遣にすればいい』という風潮になっているという。

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中国識別圏に国際社会から批判続出

中国が、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したことに国際社会から批判が噴出した。日米安保条約で尖閣を防衛義務の対象としている米国は、B52爆撃機を飛行させるなど、中国との対立も辞さない姿勢を表明。英国などからも「愚かな行動」との声が上がる中、中国の防空圏に同国と管轄権を争う海中岩礁、離於島(イオド)(中国名・蘇岩礁)が含まれた韓国も危機感を強めている。

ニューヨーク・タイムズ(米国)

 ■米国は立ち上がる必要

 米紙ニューヨーク・タイムズは11月25日付の社説で、中国による防空識別圏の設定について、米国は空や海での航行の自由を守るために日本などを支援する必要性があるとした。ただし尖閣諸島周辺での不測の事態を避けるためには、日本に大胆な行動をとらせないようにすることが重要だとの考えも示している。

 社説は冒頭で、中国の防空圏の設定は、領土争いの平和的な解決を主張する姿勢と食い違っていると主張。「極めて挑発的で、緊張を高め、日本との直接的な衝突の可能性を高めた」と批判した。

 また中国は尖閣諸島周辺に公船や航空機を送り込むなどして「不安定化を作り出した」と強調。防空圏設定は日本による施政に対するさらなる挑戦だとし、米国による中国の習近平政権との関係強化を目指す取り組みを大きく複雑化させると論じた。

 また中国の一方的な行動を踏まえ、「米国は日本や他のアジア諸国のために立ち上がる必要がある」とした。

 社説は中国が将来的な防空圏の拡大の可能性に含みをもたせていることを踏まえ、「現段階では中国の行動が最も気がかりだ」と牽制(けんせい)。中国が日本などの航空機に軍事的な対応をとる意思があるかどうかは不明だとしつつ、不測の事態の可能性が高まっているとしている。

 さらにバイデン副大統領の中国などへの訪問にふれ、米国との間で「新型の大国関係」を目指すとした習近平政権の意図に「新たな疑問が出ている」と、改めて米中関係への影響に懸念を示した。

 ただし社説はこれまでの経緯について、「極めて国家主義的な」安倍晋三政権がしばしば混乱を作る要因となってきたとも指摘する。さらに安倍首相の外交方針について「中国に対する過激な言葉や攻撃的な態度に偏っている」との見方も示し、オバマ政権は安倍政権に中国との緊張を高める「愚かなリスク」をとらせないようにしながら、日本の国益を守る道を探らねばならないとしている。

□フィナンシャル・タイムズ(英国)

 ■中国の無責任なゲーム

 英紙フィナンシャル・タイムズは「危険なゲーム」と題する11月26日付の社説で、中国の防空識別圏設定により、「偶発、故意による(日中)衝突の可能性が高まっている」と懸念を表明、日本への圧力を強める中国に挑発行為をやめるよう求めた。

 社説はまず、尖閣諸島をめぐる論争が19世紀末にさかのぼり、「戦争で日本に盗まれた」とする中国側に対し、日本側は、無人島であることを確認し、1895年に合法的に日本領に組み込んだとしていることを紹介。中国は「古代から自国の固有領土」と譲らず、「領土問題が存在する」ことを日本に認めさせたがっているが、日本はこれを受け入れていないと解説した。

 そのうえで、「尖閣諸島は100年以上にわたり日本の実効支配下にある。中国は威嚇行為でその現状を打破しようとしている」として、「中国の行動は愚かだ」と切り捨てた。

 さらに、中国の狙いが「潜水艦の重要航路に位置する尖閣諸島を支配下に置いて、その行動範囲を広げるという海軍の野心実現と、(日本への)歴史的報復にある」と指摘。だが、「尖閣諸島は日米安全保障条約で米国の防衛義務の対象となるため、事態がエスカレートすれば危険は倍増する」と警告した。

 今後については、「中国政府が国際法に照らしても自らの主張は正しいと確信できるのなら、国際仲裁機関への提訴を目指すべきだ」と提案。一方で「日中両国は問題の解決を将来の世代の知恵に任せて棚上げし、以前の状態に戻すよう努めて漁業権や石油探査権など天然資源の共同管理を目指すべきだ」との見解も披露した。


中国の防空識別圏設定で、尖閣諸島周辺上空の「安全」に国際社会から懸念の声があがっている=2011年10月13日
 社説は中国には別の狙いもあるのではないかとの疑念も示す。中国が、日米同盟に亀裂を生じさせる手段として尖閣諸島をとらえているのなら、「それは無責任なゲームだ」と断じた

 11月29日付の朝鮮日報は、「苦悶(くもん)深まる安保問題」とする分析記事で、中国の防空識別圏設定を受け、韓国が「安保同盟関係にある米国と最大の貿易市場である中国という2大国間でジレンマに陥っている」との見方を提示。防空圏をめぐって激しく対立する米中が、いずれ韓国に対し「(米中の)どちら側につくのか選択を迫る要求も高まるかもしれない」との危惧を示した。

 中韓間では、東シナ海の排他的経済水域(EEZ)をめぐる海洋境界線が未画定だ。韓国は離於島の近くに将来の資源開発をにらんだ海洋研究基地を置いているだけに、韓国側にとっては今回の中国の行為はナショナリズムを刺激する挑発行為と映り、メディアも「関係国と事前協議なく一方的に識別圏を宣言したのは中国の明白な誤りだ」(29日付、中央日報社説)として強く非難している。

 しかし、韓国にとっての最大の懸念は、不測の事態が起き、韓国が米中間の軍事衝突などに巻き込まれることだ。

 中央日報社説もこの点について、離於島管轄権では断固とした立場を維持しつつも「偶発的事故の発生と判断のミスによって衝突する可能性は最大限に避けなければならない」と、朴槿恵(パククネ)政権に慎重な対応を促している。

 防空圏設定は、重大な安全保障危機との考えが支配的となる中で、危機に共同対処する立場にあり、米国の同盟国である日本に背を向け続ける朴政権の外交政策への風当たりも強くなってきた。

 28日付の中央日報社説はこの点について「朴政権の対応には失望を受ける」と手厳しい。ただ、朴政権が対日接近に転じる可能性は未知数だ

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 11月29日付の朝鮮日報は、「苦悶(くもん)深まる安保問題」とする分析記事で、中国の防空識別圏設定を受け、韓国が「安保同盟関係にある米国と最大の貿易市場である中国という2大国間でジレンマに陥っている」との見方を提示。防空圏をめぐって激しく対立する米中が、いずれ韓国に対し「(米中の)どちら側につくのか選択を迫る要求も高まるかもしれない」との危惧を示した。

 中韓間では、東シナ海の排他的経済水域(EEZ)をめぐる海洋境界線が未画定だ。韓国は離於島の近くに将来の資源開発をにらんだ海洋研究基地を置いているだけに、韓国側にとっては今回の中国の行為はナショナリズムを刺激する挑発行為と映り、メディアも「関係国と事前協議なく一方的に識別圏を宣言したのは中国の明白な誤りだ」(29日付、中央日報社説)として強く非難している。

 しかし、韓国にとっての最大の懸念は、不測の事態が起き、韓国が米中間の軍事衝突などに巻き込まれることだ。

 中央日報社説もこの点について、離於島管轄権では断固とした立場を維持しつつも「偶発的事故の発生と判断のミスによって衝突する可能性は最大限に避けなければならない」と、朴槿恵(パククネ)政権に慎重な対応を促している。

 防空圏設定は、重大な安全保障危機との考えが支配的となる中で、危機に共同対処する立場にあり、米国の同盟国である日本に背を向け続ける朴政権の外交政策への風当たりも強くなってきた。

 28日付の中央日報社説はこの点について「朴政権の対応には失望を受ける」と手厳しい。ただ、朴政権が対日接近に転じる可能性は未知数だ

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メンツ丸つぶれ! 日米に防空識別圏を無視された中国が大慌て

日中間の緊張高まる防空識別圏問題で、当の中国が頭を悩ませているという。

 中国が防空識別圏の設定を発表してから3日後の26日には、米軍の軍用機「B52戦略爆撃機」2機が、防空識別圏内を事前通告なしで飛行。さらに28日までに、自衛隊機と海上保安庁の航空機が、この空域を中国への通告なしで飛行した。

 一方、「新華社通信」は29日、東シナ海上空に設定した防空識別圏に同日午前に進入した米軍機と自衛隊機に対し、中国空軍が戦闘機をスクランブル発進させたと報じている。空軍の報道官が明らかにしたというが、小野寺五典防衛相はその事実を否定しており、中国当局による国内向けアピールである可能性が高そうだ。

 「防空識別圏が、自分のクビを絞めることとなってしまっている」と指摘するのは、広東省ブロック紙社会部記者だ。

「当局は、防空識別圏を日米にこれほどあっさりと無視されるとは思っていなかった。まさにメンツ丸つぶれ。中国のネット上では、防空識別圏の設定を支持する声が上がっており、対日強硬論も高まっている。そんな中、日米の航空機の進入を許し、さらに結局何もしなかったというのでは、一気に『弱腰だ』という批判が高まりかねない。当局は、それを一番恐れている。そこで『スクランブル発進を行った』と強調しているのだろう。微博(中国版Twitter)では、自衛隊機が防空識別圏内を飛行したという日本の報道を翻訳した投稿に対し、空軍の探知能力やスクランブル発進技術を疑う書き込みも目立ったが、その後、一斉に削除されたようだ」 

 国際社会での立場と、国民のナショナリズムとの板挟みとなってしまった中国当局。自業自得ではあるが、国民からの弱腰批判を恐れるあまり、最悪のシナリオになることだけは回避してもらいたい

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